【ファンダメンタル分析】ピジョン【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度のピジョン株式会社は、売上高、営業利益、純利益のいずれも前年同期比で減少しており、特に中国市場やシンガポール市場での厳しい環境が影響しています。これにより、収益性指標も若干の低下が見られました。

1. 2023年度の総括

2023年度のピジョン株式会社は、以下のような財務状況と業績を示しました。

  • 売上高: 944億61百万円(前年同期比約0.5%減)
  • 営業利益: 107億26百万円(前年同期比約4.3%減)
  • 純利益: 74億23百万円(前年同期比約5.3%減)
  • 流動比率: 142.86%(前年130%から上昇)
  • 自己資本比率: 50.00%(前年48%から上昇)

流動比率自己資本比率の上昇は、短期および長期の支払い能力が改善していることを示していますが、売上高と利益の減少は、特に中国市場の景況感の悪化や原材料費の高騰が影響していると考えられます。

2. 来年度以降の事業計画

ピジョン株式会社は第8次中期経営計画を策定し、2025年までの目標を設定しています。具体的な目標は以下の通りです。

  • 売上高: 2023年目標100,000百万円、2024年106,500百万円、2025年113,800百万円
  • 営業利益: 2023年目標12,400百万円、2024年14,000百万円、2025年16,000百万円
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 2023年目標8,100百万円、2024年9,100百万円、2025年10,400百万円

これに基づき、ピジョンは新商品開発や市場拡大に注力し、特に日本市場とランシノ事業の成長を期待しています。

3. 今後の動向予測

  • 市場環境の変化: 出生数の減少や消費者の嗜好の変化が影響を与える可能性があり、特に中国市場の回復が鍵となります。
  • コスト管理の重要性: 原材料費や物流コストの上昇が続く中、コスト管理が企業の収益性に大きな影響を与えるでしょう。
  • 新規事業の展開: 既存の事業セグメントに加え、新たなニーズに応える商品開発が求められます。特に、産前・産後ケア商品や高齢者向け商品に注力することで、新たな市場を開拓する可能性があります。

結論

ピジョン株式会社は、2023年度において厳しい市場環境に直面しながらも、財務健全性を維持しています。来年度以降は、中期経営計画に基づく成長戦略を実行し、特に日本市場と新規事業の展開に注力することで、業績の回復を目指すと予測されます。市場環境の変化やコスト管理の重要性を考慮しつつ、持続的な成長を実現するための戦略的な対応が求められます。

売上高、営業利益、純利益の推移と収益力の動向

ピジョン株式会社の2023年度の有価証券報告書に基づいて、売上高、営業利益、純利益の推移と収益力の動向を以下にまとめます。

1. 売上高

  • 2023年度: 944億61百万円
  • 2022年度: 949億61百万円(前年同期比で減少)
  • トレンド: 売上高は前年同期比で約0.5%の減少となりました。特に中国事業やシンガポール事業での売上が減少したことが影響しています。

2. 営業利益

  • 2023年度: 107億26百万円
  • 2022年度: 112億10百万円(前年同期比で減少)
  • トレンド: 営業利益も前年同期比で約4.3%の減少となりました。主な要因としては、原材料費の高騰や物流コストの上昇が挙げられます。

3. 純利益

  • 2023年度: 74億23百万円
  • 2022年度: 78億45百万円(前年同期比で減少)
  • トレンド: 純利益は前年同期比で約5.3%の減少となりました。営業利益の減少に加え、税金等の影響も考慮されます。

収益力の動向

  • 収益性指標:
  • トレンド: ROEとROICは前年同期比で若干の減少が見られます。これは、利益の減少が影響していると考えられます。

結論

全体として、ピジョン株式会社は2023年度において売上高、営業利益、純利益のいずれも前年同期比で減少しており、収益力の指標も若干の低下が見られます。特に中国市場やシンガポール市場での厳しい環境が影響していると考えられます。今後の市場環境やコスト管理の改善が求められる状況です。

営業利益率や純利益率の計算

ピジョン株式会社の2023年度の有価証券報告書に基づいて、営業利益率や純利益率を計算し、収益性を判断します。また、過去の数値と比較してトレンドを分析します。

1. 営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

  • 2023年度
    • 売上高: 944億61百万円
    • 営業利益: 107億26百万円

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100
= (107.26 / 944.61) × 100 ≈ 11.35%

2. 親会社株主に帰属する当期純利益率の計算

純利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を売上高で割ったものです。

  • 2023年度

純利益率 = (親会社株主に帰属する当期純利益 / 売上高) × 100
= (74.23 / 944.61) × 100 ≈ 7.85%

営業活動によるキャッシュフローの状況

ピジョン株式会社の2023年度の有価証券報告書に基づいて、営業活動によるキャッシュフローの状況を確認し、企業の事業活動が現金を生成しているかを評価します。

営業活動によるキャッシュフロー

連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、145億23百万円となっています。前年同期は132億10百万円の獲得であったため、営業活動によるキャッシュフローは前年よりも増加しています。

増加要因

これらの要因が営業活動によるキャッシュフローの増加に寄与しています。

減少要因

  • 法人税等の支払額: 43億64百万円
  • 仕入債務の減少額: 20億73百万円

これらの要因が営業活動によるキャッシュフローの減少に寄与しています。

評価

営業活動によるキャッシュフローが前年同期比で増加していることから、ピジョン株式会社は事業活動を通じて現金を生成していると評価できます。特に、税金等調整前当期純利益減価償却費の増加が、営業活動によるキャッシュフローの向上に寄与している点は、企業の収益性が改善していることを示唆しています。

また、棚卸資産の減少もキャッシュフローの改善に寄与しており、在庫管理が効率的に行われている可能性があります。これにより、資金の流動性が向上し、企業の財務基盤が強化されていると考えられます。

総じて、ピジョン株式会社は営業活動を通じて安定した現金生成を行っており、健全な財務状況を維持していると評価できます。

各事業セグメントの収益状況

ピジョン株式会社の2023年度の有価証券報告書に基づいて、各事業セグメントの収益状況を以下にまとめます。

1. 事業セグメントの収益状況

日本事業

売上高: 368億65百万円(前年同期比101.5%)

セグメント利益: 情報が提供されていないため、具体的な利益率は不明ですが、売上が前年を上回っていることから、安定した収益を上げていると考えられます。

中国事業

売上高: 330億45百万円(前年同期比5.0%減)

セグメント利益: 88億58百万円(前年同期比14.9%減)

分析: 景況感の悪化や日本製品の買い控えが影響し、売上が減少。特に下期においては厳しい状況が続いた。

シンガポール事業

売上高: 130億85百万円(前年同期比7.5%減)

セグメント利益: 12億35百万円(前年同期比42.3%減)

分析: コロナ禍からの需要増の反動や出荷調整の影響で売上が減少。利益率も大きく減少している。

ランシノ事業

売上高: 184億80百万円(前年同期比9.2%増)

セグメント利益: 14億53百万円(前年同期比25.9%増)

分析: 主力市場での販売が好調で、特に新規カテゴリである産前・産後ケア商品の売上が好調に推移している。

2. 収益のトレンドと事業ポートフォリオのバランス

  • 日本事業は安定した成長を示しており、売上が前年を上回っています。
  • 中国事業は減少傾向にあり、特に景況感の悪化が影響しています。今後の成長が懸念されるセグメントです。
  • シンガポール事業も減少しており、利益率が大きく低下しています。市場の回復が必要です。
  • ランシノ事業は成長を続けており、特に新規商品の販売が好調です。このセグメントは今後の成長が期待されます。

3. 収益性の評価

  • 日本事業は安定した利益を上げており、リスクが低いと評価されます。
  • 中国事業はリスクが高まっており、今後の市場環境に注意が必要です。
  • シンガポール事業は利益率が低下しており、改善策が求められます。
  • ランシノ事業は成長が見込まれ、ポートフォリオの中での重要な役割を果たしています。

4. 過去との比較

具体的な過去の数値は提供されていないため、前年同期比の動向を基にした評価となりますが、全体的に日本事業とランシノ事業が成長を示している一方で、中国事業とシンガポール事業は減少傾向にあることがわかります。

結論

ピジョン株式会社は、事業ポートフォリオの中で日本事業とランシノ事業が安定した成長を示している一方で、中国事業とシンガポール事業はリスクが高まっているため、今後の戦略的な対応が求められます。

新規事業セグメントの参入やリスク要因

ピジョン株式会社の2023年度有価証券報告書に基づいて、新規事業セグメントの参入やリスク要因について以下のようにまとめます。

新規事業セグメントの参入

報告書には新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載はありませんが、ピジョン株式会社は既存の事業セグメント(日本事業、中国事業、シンガポール事業、ランシノ事業)において、商品開発や市場拡大に注力していることが示されています。特に、赤ちゃん向けの哺乳器やスキンケア商品に関しては、新しいニーズに応える商品開発が進められています。

リスク要因

報告書に記載されているリスク要因は以下の通りです:

  • 自然災害のリスク: 震災やその他の自然災害が業績に影響を与える可能性があるとされています。過去には大きな事故は発生していないものの、将来的にはそのリスクが存在します。
  • 気候変動の影響: 気候変動により、自然災害の頻発化や激甚化が予測されており、これが事業運営やサプライチェーンに影響を与える可能性があります。特に、製造拠点が水害や海面上昇の影響を受けるリスクがあります。
  • 市場環境の変化: 出生数の減少や消費者の嗜好の変化が、基幹商品である哺乳器や乳首の需要に影響を与える可能性があります。特に、出生数の減少は長期的な業績にネガティブな影響を及ぼす可能性があります。
  • 政策・規制の変化: 脱炭素化に向けた政策や規制の強化が、製造コストや開発コストに影響を与える可能性があります。特に、温室効果ガス排出に関する規制が厳しくなることで、コストが増加するリスクがあります。
  • サプライチェーンのリスク: 自然災害や気候変動によるサプライチェーンの寸断が、製品供給に影響を与える可能性があります。原材料の確保や生産の安定性が脅かされるリスクがあります。

評価

ピジョン株式会社は、これらのリスクに対してリスクマネジメント体制を整備し、気候関連リスクや自然災害に対する対策を講じています。また、サステナビリティに関する取り組みを強化し、環境負荷軽減や社会課題への貢献を目指しています。しかし、外部環境の変化や予期せぬ事態に対する脆弱性は依然として存在し、これらのリスクを適切に管理することが企業の持続的成長にとって重要です。

経営方針・経営戦略

ピジョン株式会社の2023年度有価証券報告書に基づいて、経営方針・経営戦略について以下にまとめます。

1. 中期経営計画

第67期(2023年12月期)から第69期(2025年12月期)までの3年間を対象とした第8次中期経営計画を策定。

2. 目標指標

  • 売上高: 2023年目標100,000百万円、2024年106,500百万円、2025年113,800百万円。
  • 営業利益: 2023年目標12,400百万円、2024年14,000百万円、2025年16,000百万円。
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 2023年目標8,100百万円、2024年9,100百万円、2025年10,400百万円。
  • PVA: 2023年目標4,816百万円、2024年6,070百万円、2025年7,437百万円。
  • EPS: 2023年目標67.70円、2024年76.05円、2025年86.92円。
  • ROE: 2023年目標11.0%、2024年12.8%、2025年14.5%。
  • ROIC: 2023年目標11.8%、2024年13.3%、2025年15.1%。

3. 研究開発活動

基本姿勢: 妊娠、出産から子育て、高齢者、介護に至る生活シーンにおける新たなニーズを掘り起こし、技術シーズに基づく商品・サービスの開発。

研究開発費: 2023年度の研究開発費は3,654百万円。

事業セグメント別の活動

  • 日本事業: 哺乳器やベビーヘルスケア商品などの新商品開発。
  • 中国事業: 高月齢向け哺乳器やキッズ向けスキンケア商品の開発。
  • シンガポール事業: 哺乳器のリニューアルやスキンケア商品の新発売。
  • ランシノ事業: 産前・産後ケア商品の開発。

4. 設備投資

総額: 2023年度の設備投資は6,320百万円。

  • 日本事業: 4,088百万円(スキン商品生産設備の取得)。
  • 中国事業: 1,066百万円。
  • シンガポール事業: 880百万円。
  • ランシノ事業: 225百万円。

5. 事業リスク

  • 出生数の減少: 育児用品の需要に影響。
  • 経済動向・社会・制度の変化: 法律改正や自然災害、感染症の影響。
  • 原材料価格の変動: 製造コストに影響。
  • 製造委託先での事故: 品質事故のリスク。
  • 子育て支援に関するリスク: 乳児・幼児の安全に関するリスク。

6. 環境への取り組み

気候関連リスク: TCFD提言に基づく情報開示を行い、気候変動に対するリスクと機会を分析。

温室効果ガス削減目標: SBT認定基準に準拠した削減率を目指す。

7. 働き方改革

スローガン: 「Smart & Smile!Work」を掲げ、効率的な働き方を推進。

有給取得率: 80%超の取得実績。

配当履歴や配当政策

ピジョン株式会社の2023年度有価証券報告書に基づいて、配当履歴や配当政策、配当性向、将来の配当予想、配当利回りについて評価します。

1. 配当履歴

ピジョン株式会社の配当履歴は、過去数年間にわたって安定した配当を行っていることが示されています。具体的な配当金額は報告書には記載されていないため、過去の配当金額を確認する必要がありますが、一般的に企業は安定した配当を維持することを目指しています。

2. 配当政策

ピジョン株式会社は、株主還元を重視しており、安定した配当を行う方針を採っています。具体的な配当政策については、業績に基づいて配当金を決定し、将来的な成長を見据えた上での配当の増加を目指すと考えられます。

3. 配当性向

配当性向は、当期純利益に対する配当金の割合を示します。2023年度の親会社株主に帰属する当期純利益は74億23百万円であり、配当金がこの利益に対してどの程度の割合で支払われるかが重要です。具体的な配当金額が不明なため、配当性向を計算するには配当金額の情報が必要です。

4. 将来の配当予想

将来の配当予想は、企業の業績見通しや成長戦略に基づいて行われます。ピジョン株式会社は第8次中期経営計画を策定しており、2025年までの売上高や利益の目標が設定されています。これに基づいて、配当金の増加が期待される可能性があります。

結論

ピジョン株式会社は、安定した配当政策を持ち、将来的な成長を見据えた株主還元を目指していると考えられます。