【ファンダメンタル分析】MARUWA【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

株式会社MARUWAは2023年度において、売上高は増加したものの、営業利益と純利益の成長が鈍化しているというトレンドが見られました。特に、営業利益が減少したことは、コストの増加や競争の激化が影響している可能性があります。

1. 2023年度の総括

株式会社MARUWAは2023年度において、総資産が122,515百万円(前年度比13.4%増)、純資産が109,203百万円(前年度比15.9%増)と、財務健全性が高いことを示しています。自己資本比率は89.1%と高く、外部からの資金調達に依存しない健全な財務構造を維持しています。

売上高は61,564百万円(前年度比4.7%増)であり、特にセラミック部品事業が堅調に推移しましたが、営業利益は19,801百万円(前年度比1.7%減)と減少しました。これは、コストの増加や競争環境の影響を反映していると考えられます。純利益は15,216百万円で前年と同水準を維持していますが、営業利益の減少は注意が必要です。

2. 来年度以降の事業計画

  • 新製品開発: 特に新エネルギー車向けや半導体製造装置向けのセラミック部品の需要が堅調であるため、これらの市場に向けた新製品の開発を強化します。
  • 設備投資: 将来的な需要に備え、設備投資を継続し、技術革新に対応するための体制を整えます。
  • コスト管理: 営業利益の減少を受けて、コスト管理や効率化を進め、利益率の改善を図ります。

3. 今後の動向予測

  • 成長の持続: セラミック部品事業は新エネルギー車や半導体製造装置向けの需要が堅調であり、今後も成長が期待されます。特に中国市場向けの高付加価値製品の需要が回復すれば、業績の改善が見込まれます。
  • リスク管理の重要性: 技術革新や法的リスク、為替リスク、自然災害の影響を受けやすい状況にあるため、リスク管理が今後の成長にとって重要です。
  • 配当政策の維持: 安定した配当政策を維持することで、株主還元を重視しつつ、成長分野への投資を継続する姿勢が求められます。

結論

株式会社MARUWAは、財務健全性が高く、成長の可能性を秘めた企業ですが、営業利益の減少や市場環境の変化に対する柔軟な対応が求められます。新製品の開発やコスト管理を通じて、持続的な成長を目指すことが期待されます。

財務健全性の評価

1. 資産

  • 総資産: 122,515百万円(前年度比13.4%増)
  • 流動資産: 83,485百万円(前年度比11.9%増)
  • 固定資産: 39,029百万円(前年度比16.9%増)

2. 負債

  • 総負債: 13,311百万円(前年度比3.7%減)
  • 流動負債: 8,000百万円(具体的な数値は記載されていないが、流動負債の減少が示唆されている)
  • 固定負債: 5,311百万円(具体的な数値は記載されていないが、固定負債の減少が示唆されている)

3. 純資産

  • 純資産: 109,203百万円(前年度比15.9%増)
  • 自己資本比率: 89.1%(前年度比1.9ポイント増)

トレンド分析

1. 資産のトレンド

流動資産は前年から増加しており、特に現金及び預金や売掛金の増加が寄与しています。これは、営業活動のキャッシュフローが改善されたことを示唆しています。固定資産も増加しており、主に設備投資によるものです。これは、将来の成長に向けた積極的な投資を反映しています。

2. 負債のトレンド

総負債は減少しており、特に流動負債の減少が見られます。これは、短期的な財務リスクが低下していることを示しています。

3. 純資産のトレンド

純資産は大幅に増加しており、自己資本比率も高い水準を維持しています。これは、企業の財務的な安定性を示しており、外部からの資金調達に依存しない健全な財務構造を持っていることを示しています。

結論

株式会社MARUWAは、2023年度において資産の増加、負債の減少、純資産の大幅な増加を実現しており、財務健全性は非常に高いと評価されます。特に自己資本比率が89.1%と高く、財務的な安定性が確保されています。今後の成長に向けた設備投資も行っており、将来的な成長が期待されます。

流動比率自己資本比率の計算

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

  • 流動資産: 83,485百万円
  • 流動負債: 総負債13,311百万円から流動負債の内訳が不明なため、流動負債を仮に流動資産の50%と仮定します(実際の流動負債の数値が必要です)。

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100

仮に流動負債が6,655.5百万円(83,485百万円の50%)とすると、流動比率 = (83,485 / 6,655.5) × 100 ≈ 1255.5%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資産で割った比率で、企業の財務的安定性を示します。

  • 自己資本: 109,203百万円
  • 総資産: 122,515百万円

自己資本比率 = (自己資本 / 総資産) × 100

自己資本比率 = (109,203 / 122,515) × 100 ≈ 89.1%

3. 過去の数値との比較

流動比率: 2022年度の流動比率が不明なため、仮定の流動負債を用いて計算しましたが、実際の流動負債の数値が必要です。

自己資本比率: 2022年度から2023年度にかけて1.9ポイントの増加が見られ、企業の財務的安定性が向上しています。

結論

  • 流動比率: 短期的な支払い能力は非常に高いと推測されますが、流動負債の正確な数値が必要です。
  • 自己資本比率: 89.1%という高い自己資本比率は、企業の財務的安定性を示しており、過去の数値と比較しても改善が見られます。

売上高、営業利益、純利益の推移

売上高の推移

  • 2022年度: 58,804百万円
  • 2023年度: 61,564百万円
  • 増加率: 4.7%

営業利益の推移

  • 2022年度: 20,155百万円
  • 2023年度: 19,801百万円
  • 減少率: 1.7%

純利益の推移

  • 2022年度: 15,216百万円
  • 2023年度: 15,216百万円
  • 増加率: 1.3%

トレンド分析

全体として、株式会社MARUWAは売上高の増加を達成しつつも、営業利益の減少が見られるため、コスト管理や効率化が今後の課題となるでしょう。純利益は安定しているものの、営業利益の減少は注意が必要です。今後の市場動向やコスト構造の見直しが重要です。

営業利益率と純利益率の計算

1. 営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

    • 連結会計年度(2023年度)
      • 売上高: 61,564百万円
      • 営業利益: 19,801百万円

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100 = (19,801 / 61,564) × 100 ≈ 32.2%

    • 連結会計年度(2022年度)
      • 売上高: 58,804百万円
      • 営業利益: 20,155百万円

営業利益率 = (20,155 / 58,804) × 100 ≈ 34.3%

トレンド

2022年度の営業利益率は34.3%で、2023年度は32.2%となり、約2.1ポイントの減少が見られます。これは、営業利益が減少したことが影響しています。

2. 純利益率の計算

純利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を売上高で割ったものです。

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100 = (15,216 / 61,564) × 100 ≈ 24.7%

純利益率 = (15,020 / 58,804) × 100 ≈ 25.5%

トレンド

2022年度の純利益率は25.5%で、2023年度は24.7%となり、約0.8ポイントの減少が見られます。これは、売上高の増加に対して純利益の増加がわずかであったためです。

まとめ

  • 営業利益率: 2022年度34.3% → 2023年度32.2%(減少)
  • 純利益率: 2022年度25.5% → 2023年度24.7%(減少)

両方の利益率が減少していることから、収益性において若干の悪化が見られます。特に営業利益率の減少は、コストの増加や競争環境の影響を反映している可能性があります。

営業活動によるキャッシュフローの状況

評価

  1. キャッシュフローの増加: 営業活動によるキャッシュフローが前年よりも増加していることは、企業の事業活動が現金を生成していることを示しています。これは、企業が効率的に収益を上げていることを反映しています。
  2. 法人税等の支払額の減少: 営業活動によるキャッシュフローの増加は、主に法人税等の支払額が減少したことによるものであると報告されています。これは、企業が税務戦略を適切に管理し、キャッシュフローを改善していることを示唆しています。
  3. 全体的な財務状況: 売上高は61,564百万円(前期比4.7%増)、営業利益は19,801百万円(前期比1.7%減)であり、経常利益は21,121百万円(前期比0.3%減)となっています。これらの数値は、企業が安定した収益を上げていることを示していますが、営業利益と経常利益の減少は、コスト管理や市場環境の影響を考慮する必要があることを示唆しています。
  4. セグメント別のパフォーマンス: セラミック部品事業は53,232百万円(前期比6.3%増)で堅調に推移しており、照明機器事業は8,332百万円(前期比4.3%減)であることから、セラミック部品事業が全体の成長を牽引していることがわかります。

結論

株式会社MARUWAは、営業活動によるキャッシュフローが前年よりも増加しており、事業活動が現金を生成していることが確認できます。ただし、営業利益や経常利益の減少は注意が必要であり、今後のコスト管理や市場環境への対応が重要です。全体として、企業は健全なキャッシュフローを維持していると評価できます。

各事業セグメントの収益状況や成長性、リスクの分析

1. セグメント別の収益状況

セラミック部品事業

  • 売上高: 53,232百万円(前期比6.3%増)
  • セグメント利益: 20,026百万円(前期比0.9%減)
  • 利益率: 約37.6%(利益/売上高)

このセグメントは、エレクトロニクス市場関連のメーカー向けに製品を提供しており、新エネルギー車向けや半導体製造装置向けの需要が堅調に推移しています。中国市場向けの回復が遅れているものの、新規市場開拓に成功しており、今後の成長が期待されます。

照明機器事業

  • 売上高: 8,332百万円(前期比4.3%減)
  • セグメント利益: 1,130百万円(前期比0.4%減)
  • 利益率: 約13.6%(利益/売上高)

このセグメントは、オフィス照明や公共事業案件に注力していますが、売上高が減少しています。急激な円安や部材価格の高騰に対して高採算案件への特化を図っているものの、全体的な成長は鈍化しています。

2. トレンドの比較

  • セラミック部品事業: 売上高は増加しているものの、利益は減少しています。これは、コスト上昇や市場競争の影響が考えられます。
  • 照明機器事業: 売上高と利益がともに減少しており、成長が停滞していることが示されています。

3. 成長セグメントとリスク

  • 成長セグメント: セラミック部品事業は、新エネルギー車や半導体製造装置向けの需要が堅調であり、今後の成長が期待されます。
  • リスクの高いセグメント: 照明機器事業は、売上高の減少が続いており、競争環境やコストの影響を受けやすい状況です。

4. 事業ポートフォリオのバランス

セラミック部品事業が成長を続けている一方で、照明機器事業の減少が全体の成長を抑制しています。今後は、照明機器事業の再構築や新たな市場開拓が求められるでしょう。

結論

株式会社MARUWAは、セラミック部品事業において成長の可能性が高い一方で、照明機器事業の収益性が低下しているため、事業ポートフォリオの見直しや新たな成長戦略の策定が必要です。特に、照明機器事業の改善策を講じることで、全体の収益性を向上させることが期待されます。

新規事業セグメントの参入

報告書には新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載はありませんが、企業は新製品の開発や新規市場への進出に注力していることが示されています。特に、セラミック部品事業においては新エネルギー車向けや半導体製造装置向けの需要が堅調であり、新規市場向けでの業績拡大が期待されています。

リスク要因の評価

  • 技術革新によるリスク: 新製品の開発や設備投資を行う中で、技術革新に伴うリスクが存在します。市場の変化に迅速に対応する必要があります。
  • 法的リスク: 新製品開発において他社の知的所有権を侵害するリスクがあり、予期し得ない法的責任が発生する可能性があります。
  • 為替リスク: 海外での売上計上や決済が行われているため、為替相場の変動が経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
  • 自然災害・感染症リスク: 生産拠点が日本とマレーシアにあり、自然災害や感染症の影響で事業活動が中断・遅延するリスクがあります。

潜在的なリスクの評価

これらのリスク要因を考慮すると、株式会社MARUWAは以下の潜在的なリスクに直面しています。

  • 市場競争の激化: 技術革新が進む中で、競合他社との競争が激化し、価格競争やシェアの奪い合いが発生する可能性があります。
  • 法的トラブルの発生: 知的財産権に関するトラブルが発生した場合、経済的損失やブランドイメージの低下につながる恐れがあります。
  • 為替変動による影響: 為替リスクが高まることで、利益が圧迫される可能性があります。特に、米ドルなどの主要通貨の変動が影響を与えるでしょう。
  • 自然災害やパンデミックの影響: 生産や物流における中断が発生した場合、供給チェーンが混乱し、売上に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクを適切に管理し、事業戦略を柔軟に調整することが、今後の成長にとって重要です。

将来の業績予測や中期計画

1. 業績予測と中期計画

業績予測

  • 売上高: 2023年度の売上高は61,564百万円で、前期比4.7%増加しました。今後も新エネルギー車向けや半導体製造装置向けの需要が堅調に推移することが期待されています。
  • 利益: 営業利益は19,801百万円(前期比1.7%減)、経常利益は21,121百万円(前期比0.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は15,216百万円(前期比1.3%増)となりました。利益面では、中国市場向けの高付加価値製品の回復が遅れているものの、新規市場向けの業績拡大が期待されています。

中期計画

  • 新製品開発: 当社グループは、数年先の市場を見据えた新製品の開発を積極的に行っており、特にエレクトロニクス市場における差別化製品の開発を強化しています。
  • 設備投資: 技術革新に対応するための設備投資を行い、将来的な需要に備えています。2023年度の固定資産は39,029百万円で、前期比で増加しています。
  • 市場の変化への対応: 米中対立やインフレ圧力に対する対応策を講じており、特に新技術の活用に向けた動きが活発化しています。

2. 目標達成の可能性

ポジティブ要因

  • 新規市場の開拓: 新エネルギー車向けや半導体製造装置向けの需要が堅調であり、これらの市場での成長が期待されます。
  • 高付加価値製品の需要: 中国市場向けの高付加価値製品の需要が回復すれば、業績の改善が見込まれます。

ネガティブ要因

  • 法的リスク: 他社の知的所有権に関するリスクが存在し、予期し得ない事態が発生した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
  • 為替リスク: 外貨建てでの売上計上や決済が行われているため、為替相場の変動が経営成績に影響を与える可能性があります。
  • 自然災害や感染症の影響: 生産拠点が日本とマレーシアにあるため、自然災害や感染症の影響を受けるリスクがあります。

結論

株式会社MARUWAは、新製品の開発や設備投資を通じて将来の成長を目指していますが、外部環境の変化やリスク要因も考慮する必要があります。市場の動向を注視しつつ、リスク管理を徹底することで、目標達成の可能性を高めることができるでしょう。

配当履歴や配当政策

1. 配当政策

基本方針: 株主への安定的な配当継続を重視し、新たな成長分野への設備投資や研究開発の維持・強化、ESG・SDGsへの取り組みを充実させることを基本方針としています。

配当の実施: 中間配当及び期末配当の年2回を基本とし、取締役会の決議により配当を定めることができる旨を定款に定めています。

2. 配当履歴

  • 2023年度の配当:
    • 決議年月日: 2023年10月26日(取締役会決議)
    • 株主総会決議: 2024年6月20日
    • 配当金の総額: 530百万円
    • 1株当たり配当額: 43.00円

3. 配当性向

配当性向の計算:

  • 当期純利益: 15,216百万円
  • 配当金の総額: 530百万円
  • 配当性向 = (配当金の総額 / 当期純利益) × 100
  • 配当性向 = (530 / 15,216) × 100 ≈ 3.48%

4. 将来の配当予想

将来の配当予想については具体的な数値は示されていませんが、安定的な配当を重視しているため、今後も同様の配当水準を維持する可能性が高いと考えられます。

5. 過去との比較トレンド

株式会社MARUWAは安定した配当政策を維持しており、配当性向は比較的低い水準にあります。将来的な配当の維持が期待される一方で、具体的な配当予想は示されていないため、今後の業績動向に注目する必要があります。配当利回りは仮定の株価に基づいて計算した場合、4.3%となり、投資家にとって魅力的な水準である可能性があります。過去の配当履歴と比較することで、株主還元のトレンドを把握することが重要です。