株式会社キーエンス 2023年度総括
はじめに総括
特記事項
株式会社キーエンスは、2023年度において売上高が前年同期比4.9%増加し、純利益も1.8%増加するなど、全体的に堅調な成長を維持しています。一方で、営業利益は0.8%減少しており、コスト管理の課題が浮き彫りになっています。
2023年度の総括
株式会社キーエンスは、2023年度において以下のような業績を達成しました。
- 売上高: 967,288百万円(前年同期比4.9%増)
- 営業利益: 495,014百万円(前年同期比0.8%減)
- 経常利益: 519,295百万円(前年同期比1.3%増)
- 当期純利益: 369,642百万円(前年同期比1.8%増)
総資産は2,964,792百万円に達し、前年から約11.8%増加しました。負債は158,599百万円とわずかに減少し、純資産は2,806,193百万円に増加しました。自己資本比率は94.7%と非常に高く、財務的な健全性が保たれています。
来年度以降の事業計画
来年度以降、キーエンスは以下の戦略を採用することが予想されます。
- 海外市場の拡大: 海外市場、特に欧米での成長が顕著であるため、さらなる営業体制の強化と新商品の投入が期待されます。
- コスト管理の強化: 営業利益が減少していることから、販売費及び一般管理費の見直しが必要です。
- 研究開発の強化: 研究開発費は25,183百万円であり、今後も新技術や製品の開発に注力することで、競争力を維持・向上させることが期待されます。
- 持続可能な成長の追求: 環境問題への対応や社会的責任を果たすための取り組みが求められています。
今後の動向予測
- 売上高の成長: 海外市場の拡大により、売上高は引き続き成長する見込みです。
- 利益率の改善: コスト管理の強化により、営業利益率の改善が見込まれます。
- 配当政策の維持: 安定した配当政策を維持しつつ、利益成長に応じた配当の増加が期待されます。
結論
株式会社キーエンスは、2023年度において堅調な成長を維持し、財務的な健全性も高い水準にあります。今後は海外市場の拡大やコスト管理の強化を通じて、持続可能な成長を目指すことが期待されます。
財務健全性の評価
総資産
負債
純資産
財務比率の計算
- 2024年: 94.7%
- 2023年: 94.0%
自己資本比率は高く、94.7%と非常に健全な水準です。
経営成績のトレンド
売上高
- 2024年度: 967,288百万円(前年同期比4.9%増)
- 2023年度: 922,423百万円
営業利益
- 2024年度: 495,014百万円(前年同期比0.8%減)
- 2023年度: 498,914百万円
経常利益
- 2024年度: 519,295百万円(前年同期比1.3%増)
- 2023年度: 512,830百万円
当期純利益
- 2024年度: 369,642百万円(前年同期比1.8%増)
- 2023年度: 362,964百万円
結論
株式会社キーエンスは、2023年度においても堅調な成長を維持しており、特に売上高と純利益が増加しています。自己資本比率も高く、財務的な健全性が保たれています。
流動比率と自己資本比率の計算
流動比率の計算
流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。
流動資産
流動資産の合計は、827,882百万円です。
流動負債
流動負債の具体的な金額は省略されていますが、一般的には受取手形及び売掛金の金額を考慮する必要があります。
自己資本比率の計算
自己資本
- 純資産合計: 2,806,193百万円
総資産
- 総資産: 2,964,792百万円
過去の数値との比較
流動比率
流動比率の過去の数値は記載されていないため、具体的なトレンドを示すことはできません。
自己資本比率
自己資本比率は94.6%であり、非常に高い数値です。
売上高、営業利益、純利益の推移
売上高
- 2022年度: 922,423百万円
- 2023年度: 967,288百万円
- 増加額: 44,865百万円
- 前年同期比: 4.9%増
営業利益
- 2022年度: 498,914百万円
- 2023年度: 495,014百万円
- 減少額: 3,900百万円
- 前年同期比: 0.8%減
純利益
- 2022年度: 362,964百万円
- 2023年度: 369,642百万円
- 増加額: 6,678百万円
- 前年同期比: 1.8%増
トレンド分析
営業利益率と純利益率の計算
営業利益率の計算
営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。
- 2023年度: 51.2%
- 2022年度: 54.1%
純利益率の計算
純利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を売上高で割ったものです。
- 2023年度: 38.2%
- 2022年度: 39.3%
トレンド分析
営業利益率と純利益率の両方が前年に比べて減少していることから、収益性に若干の圧力がかかっていることが示唆されます。
営業活動によるキャッシュフローの状況
営業活動によるキャッシュフロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加額は387,916百万円となっています。
企業の事業活動が現金を生成しているかの評価
営業活動によるキャッシュフローが387,916百万円の増加を示していることは、企業が本業から現金を生成していることを示しています。
結論
株式会社キーエンスは、営業活動を通じて十分な現金を生成しており、事業活動が健全であると評価できます。
事業セグメントの収益状況や成長性、リスクの評価
事業セグメントの収益状況
国内
- 売上高: 344,567百万円(前年同期比1.0%減)
海外
- 売上高: 622,720百万円(前年同期比8.4%増)
利益率の動向
- 営業利益: 495,014百万円(前年同期比0.8%減)
- 経常利益: 519,295百万円(前年同期比1.3%増)
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 369,642百万円(前年同期比1.8%増)
成長セグメントとリスクの特定
- 成長セグメント: 海外市場が成長を示している。
- リスク: 国内市場の設備投資の慎重さや、アジア地域の景気の弱さがリスク要因。
事業ポートフォリオのバランス評価
国内市場の成長が鈍化している一方で、海外市場が成長を続けているため、全体としてはバランスが取れていると評価できます。
過去との比較トレンド
リスク要因の評価
経済環境の変動
世界経済の不透明感や景気後退の影響を受ける可能性があります。
競争環境
業界内での競争が激化しており、価格競争や新技術の導入による競争力の低下が懸念されます。
技術革新
技術の急速な進化に対応できない場合、競争力を失うリスクがあります。
海外市場のリスク
海外市場への依存度が高まる中で、地政学的リスクや為替リスクが影響を及ぼす可能性があります。
サプライチェーンのリスク
原材料や部品の供給に関するリスクがあり、特に自然災害やパンデミックなどの影響で供給が滞る可能性があります。
法規制の変化
環境規制や労働関連の法規制が厳しくなることで、コストが増加するリスクがあります。
人材の確保と育成
専門的な技術を持つ人材の確保が難しくなっており、これが事業運営に影響を与える可能性があります。
内部統制のリスク
財務報告に関する内部統制が不十分である場合、誤った財務情報が提供されるリスクがあります。
環境リスク
環境への配慮が求められる中で、持続可能な事業運営ができない場合、企業イメージや顧客からの信頼を失うリスクがあります。
配当履歴と配当政策
配当履歴
- 2022年度: 1株当たり配当額: 100円
- 2023年度: 1株当たり配当額: 150円
配当政策
キーエンスは、利益剰余金を基にした配当政策を採用しており、株主還元を重視しています。
配当性向
- 2022年度: 約6.7%
- 2023年度: 約9.8%
将来の配当予想
2024年度の配当金総額は、2023年度と同様に36,378百万円が予定されています。
配当利回り
仮に株価が10,000円とすると、2023年度の配当利回りは1.5%となります。
過去との比較トレンド
配当金は2022年度から2023年度にかけて約50%増加し、配当性向も上昇傾向にあります。