【ファンダメンタル分析】久光製薬【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

久光製薬株式会社は2023年度において、総資産が約11.9%増加し、負債が約6.9%減少、純資産が約38.3%増加するなど、財務健全性が大幅に向上しました。特に自己資本比率が51.4%に達し、前年の41.7%から改善されている点が注目されます。

2023年度の総括

項目 2023年度 前年度
総資産 136,701百万円 122,154百万円
総負債 66,366百万円 71,276百万円
純資産 70,335百万円 50,878百万円

これにより、自己資本比率は51.4%に達し、財務の健全性が向上しています。流動比率も219,186.62%と非常に高く、短期的な支払い能力も十分であることが示されています。

収益性の動向

売上高は2022年度の19,302百万円から2023年度には15,957百万円に減少し、営業利益は前年度の1,105百万円から-4,396百万円に転落しました。一方、純利益は6,102百万円に達し、前年の1,007百万円から大幅に増加しています。このような状況は、営業利益の赤字が影響を与えているものの、他の要因(例えば、特別利益や税金の減少など)が純利益を押し上げた可能性があります。

来年度以降の事業計画

久光製薬は「HX2025」という中期経営計画を掲げており、以下の目標を設定しています。

  1. 連結売上高のCAGR(年平均成長率): 5%以上
  2. ROE自己資本利益率: 8%以上
  3. 海外売上高比率: 50%以上

これらの目標を達成するために、以下の戦略が考えられます。

  • 新製品の開発: 特に慢性疾患や高齢者向けの医薬品に注力し、研究開発を強化する。
  • 外市場の拡大: サロンパスブランドを中心に、海外市場でのシェア拡大を図る。
  • コスト管理: 営業利益の改善に向けて、販売費及び一般管理費の効率化を進める。

今後の動向予測

久光製薬は、財務健全性が向上していることから、今後の成長に向けた投資が可能です。特に海外市場での成長が期待される一方で、国内市場の競争や規制の影響を受けるリスクも考慮する必要があります。新製品の開発や市場投入が成功すれば、売上高の回復が見込まれ、営業利益の改善にもつながるでしょう。

また、環境への配慮や人的資本の育成に取り組むことで、企業の持続可能性が高まり、長期的な成長が期待されます。全体として、久光製薬は中期的な目標達成に向けて良好な基盤を持っていると評価できますが、外部環境の変化に対する柔軟な対応が求められます。

資産、負債、純資産の構成

資産

項目 金額 増加額 増加率
総資産 136,701百万円 14,547百万円 約11.9%

負債

項目 金額 減少額 減少率
総負債 66,366百万円 4,910百万円 約6.9%

純資産

項目 金額 増加額 増加率
純資産 70,335百万円 19,457百万円 約38.3%

財務健全性の評価

自己資本比率:

  • 当年度: 51.4%
  • 前年度: 41.7%

自己資本比率が増加しており、財務健全性が向上していることを示しています。

トレンドの比較

項目 前年度 当年度 トレンド
資産 122,154百万円 136,701百万円 増加傾向
負債 71,276百万円 66,366百万円 減少傾向
純資産 50,878百万円 70,335百万円 増加傾向

結論

久光製薬株式会社は、2023年度において資産が増加し、負債が減少し、純資産が大幅に増加しています。自己資本比率も改善されており、全体的に財務健全性が向上していると評価できます。

 

売上高、営業利益、純利益の推移

項目 前事業年度 当事業年度
売上高 19,302百万円 15,957百万円
営業利益 1,105百万円 -4,396百万円
純利益 1,007百万円 6,102百万円

トレンド

  • 売上高は減少しています。
  • 営業利益は前事業年度は黒字でしたが、当事業年度は赤字に転落しています。
  • 純利益は前事業年度から当事業年度にかけて増加していますが、営業利益の赤字が影響を与える可能性があります。

営業利益率と純利益率

営業利益率や純利益率を計算するための具体的な数値が有価証券報告書には記載されていないため、収益性を判断することができません。

事業セグメントの収益と利益率の動向

久光製薬は主に医薬品の製造販売を行っており、以下のようなセグメントが考えられます。

  • 医薬品事業: 主力の事業であり、売上高の大部分を占めると推測されます。
  • その他の事業: 医薬品以外の関連事業がある場合、これも収益源となりますが、主力事業に比べると規模は小さい可能性があります。

成長セグメントとリスクの高いセグメント

  • 成長セグメント: 医薬品事業は、特に新薬の開発や市場投入に成功した場合、成長が期待されます。
  • リスクの高いセグメント: 競争が激しい市場や、規制の影響を受けやすいセグメントはリスクが高いと考えられます。

結論

久光製薬の事業セグメントは医薬品事業が中心であり、成長が期待される一方で、競争や規制のリスクも存在します。

リスク要因

  • 経済環境の変化
  • 医療費抑制策
  • 競争の激化
  • 規制の変化
  • 研究開発の不確実性

将来の業績予測と中期計画

  1. 経営方針と目標: HX2025を掲げ、連結売上高のCAGR 5%以上を目指す。
  2. 経営環境と対処すべき課題: 医療関係者への学術情報活動を強化し、新製品の開発を目指す。
  3. 財務状況: 2023年度の売上高は1,417億6百万円で、前年同期比10.4%増加。
  4. 気候変動への対応: CO2排出量の削減を目指す。
  5. 人的資本の育成: 多様な人材の活躍を促進する。

目標達成の可能性

久光製薬は中期的に設定した目標を達成するための基盤を整えていると評価できますが、外部環境の変化や競争の激化に対する柔軟な対応が求められます。