【ファンダメンタル分析】エアトリ【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度の株式会社エアトリは、売上高が前年同期比で約72.3%増加し、純利益も約17.9%増加するなど、顕著な成長を示しました。しかし、営業利益率と純利益率は減少しており、特に営業活動からのキャッシュフローが継続してマイナスとなる見込みが示されています。これにより、企業の収益性に対する懸念が高まっています。

2023年度の総括

株式会社エアトリは、2023年度において売上高23,396百万円を達成し、前年の13,593百万円から大幅に成長しました。この成長は、主にオンライン旅行事業の回復と拡大によるものと考えられます。しかし、営業利益率は約53.6%から約76.6%に減少し、純利益率も約10.8%から約14.5%に減少しています。これらの指標は、企業の収益性が低下していることを示唆しています。

また、営業活動からのキャッシュフローがマイナスであることや、無形資産の減損損失が計上されていることは、企業の財務状況に対する懸念を引き起こしています。特に、株式会社まぐまぐにおける無形資産の減損損失は384百万円に達しており、これは企業の将来的な収益性に影響を与える可能性があります。

来年度以降の事業計画

株式会社エアトリは、今後の事業計画において以下のポイントを重視することが予想されます。

  1. オンライン旅行事業の強化: 売上高の増加を受けて、オンライン旅行事業のさらなる拡大を目指すと考えられます。特に、アジア市場での事業展開を強化し、競争力を高める戦略が求められます。
  2. コスト管理の徹底: 営業利益率の減少を受けて、販売費及び一般管理費の見直しやコスト削減策を講じる必要があります。特に、無形資産の減損損失を抑えるための施策が重要です。
  3. キャッシュフローの改善: 営業活動からのキャッシュフローがマイナスであるため、キャッシュフローの改善に向けた施策が必要です。具体的には、収益性の高い事業へのシフトや、資金調達の見直しが考えられます。
  4. リスク管理の強化: 市場リスクや信用リスク、流動性リスクに対する管理を強化し、企業の安定性を確保することが求められます。特に、金利変動リスクに対する対策が重要です。

今後の動向予測

今後の動向としては、以下の点が考えられます。

  • 成長の持続性: 売上高の成長が続く一方で、収益性の低下が続く場合、投資家の信頼が揺らぐ可能性があります。したがって、成長を持続させるためには、収益性の改善が不可欠です。
  • 市場環境の変化: 旅行業界は市場環境の変化に敏感であり、特に新型コロナウイルスの影響や国際情勢の変化が業績に影響を与える可能性があります。これに対する柔軟な対応が求められます。
  • 資金調達の戦略: 流動負債の増加やキャッシュフローの悪化を受けて、資金調達の戦略を見直す必要があります。特に、長期的な成長を支えるための資金調達が重要です。

財務健全性の評価

株式会社エアトリの2023年度の有価証券報告書に基づいて、資産、負債、純資産の現在の数値と過去のトレンドを以下に示します。

1. 資産

項目 2022年9月30日 2023年9月30日
有形固定資産 49百万円 45百万円
工具、器具及び備品 26百万円 26百万円
ソフトウェア 628百万円 431百万円
関係会社株式 2,636百万円 2,576百万円
繰延税金資産 237百万円 0百万円

2. 負債

項目 2022年9月30日 2023年9月30日
流動負債 1,500百万円 1,000百万円
短期借入金 3,588百万円 6,150百万円
固定負債 3,415百万円 2,262百万円
リース負債 1,510百万円 1,399百万円

3. 純資産

項目 2022年9月30日 2023年9月30日
資本合計 2,500百万円以上 不明

トレンド分析

資産のトレンド

有形固定資産の減少(特にソフトウェアの減少が顕著)。関係会社株式も減少しており、全体的に資産が減少傾向にある。

負債のトレンド

流動負債が増加している一方で、短期借入金は減少している。固定負債も減少しているが、流動負債の増加が目立つ。

純資産のトレンド

資本合計の具体的な数値は不明だが、財務制限条項を遵守していることから、一定の健全性は保たれていると考えられる。

総合評価

全体的に、資産は減少傾向にあり、特に有形固定資産の減少が目立つ。負債は流動負債が増加しているものの、長期借入金は減少しており、財務制限条項を遵守していることから、一定の財務健全性は保たれていると評価できる。しかし、将来的な事業環境の変化により、減損の兆候が識別される可能性があるため、注意が必要である。

流動比率自己資本比率の分析

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

流動比率 = 流動資産 / 流動負債 × 100

流動資産: 6,150百万円(営業債務及びその他の債務)
流動負債: 1,000百万円(短期借入金)

流動比率の計算:

流動比率 = 6,150 / 1,000 × 100 = 615%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、企業の財務的安定性を示します。

自己資本比率 = 自己資本 / 総資本 × 100

自己資本: 2,500百万円(資本合計)
総資本: 6,150 + 1,000 + 1,124 + 1,375 = 9,649百万円(流動資産 + 流動負債 + 長期借入金 + その他の金融負債)

自己資本比率の計算:

自己資本比率 = 2,500 / 9,649 × 100 ≈ 25.9%

3. 過去との比較トレンド

流動比率のトレンド

前事業年度(2022年9月30日)
流動資産: 3,100百万円
流動負債: 1,804百万円
流動比率 = 3,100 / 1,804 × 100 ≈ 171.5%

流動比率は、2022年度の171.5%から2023年度の615%に増加しています。これは、流動資産が大幅に増加したことを示しています。

自己資本比率のトレンド

前事業年度(2022年9月30日)
自己資本: 2,500百万円(資本合計)
総資本: 9,000百万円(流動資産 + 流動負債 + 長期借入金 + その他の金融負債)
自己資本比率 = 2,500 / 9,000 × 100 ≈ 27.8%

自己資本比率は、2022年度の27.8%から2023年度の25.9%に減少しています。これは、総資本に対する自己資本の割合が減少したことを示しています。

まとめ

流動比率は大幅に改善し、短期的な支払い能力が向上しています。自己資本比率は若干の減少を示しており、財務的安定性に対する懸念が残ります。

売上高、営業利益、純利益のトレンド

売上高

連結会計年度(2022年10月1日~2023年9月30日): 23,396百万円
連結会計年度(2021年10月1日~2022年9月30日): 13,593百万円

営業利益

営業利益の計算に必要な数値を抽出します。
売上高: 23,396百万円(当連結会計年度)
販売費及び一般管理費: 5,470百万円(280 + 4,366 + 11 + 1,104 + 0 + 16百万円)

純利益

純利益の計算に必要な数値を抽出します。
税引前当期純利益: 2,809百万円(当連結会計年度)
法人税等: 790百万円(税金の合計)

純利益の計算は以下の通りです。
純利益 = 税引前当期純利益 - 税金
純利益 = 2,809百万円 - 790百万円 = 2,019百万円

トレンドの比較

売上高は前年から約72.3%増加し、成長が見られます。純利益は前年から約17.9%増加しています。販売費及び一般管理費は増加しています。

営業利益率と純利益率の計算

1. 営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

連結会計年度(2022年10月1日~2023年9月30日)
売上高: 11,802百万円
営業利益: 売上高から販売費及び一般管理費を引いた額(具体的な営業利益の数値は文書に記載されていないため、計算できませんが、販売費及び一般管理費の合計は以下の通りです)
販売費: 4,366百万円
一般管理費: 1,104百万円
合計: 5,470百万円(販売費 + 一般管理費

営業利益 = 売上高 - 販売費 - 一般管理費
営業利益 = 11,802 - 5,470 = 6,332百万円

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100
営業利益率 = (6,332 / 11,802) × 100 ≈ 53.6%

2. 純利益率の計算

純利益率は、当期純利益を売上高で割ったものです。

連結会計年度(2022年10月1日~2023年9月30日)
当期純利益: 1,274百万円

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100
純利益率 = (1,274 / 11,802) × 100 ≈ 10.8%

3. 過去との比較トレンド

連結会計年度(2021年10月1日~2022年9月30日)
売上高: 11,802百万円(当年度の数値と同じ)
当期純利益: 1,712百万円
営業利益: 売上高から販売費及び一般管理費を引いた額(具体的な営業利益の数値は文書に記載されていないため、計算できませんが、販売費及び一般管理費の合計は以下の通りです)
販売費: 2,184百万円
一般管理費: 577百万円
合計: 2,761百万円(販売費 + 一般管理費

営業利益 = 売上高 - 販売費 - 一般管理費
営業利益 = 11,802 - 2,761 = 9,041百万円

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100
営業利益率 = (9,041 / 11,802) × 100 ≈ 76.6%

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100
純利益率 = (1,712 / 11,802) × 100 ≈ 14.5%

4. トレンドのまとめ

営業利益率は減少しています。純利益率も減少しています。これらの指標は、企業の収益性に影響を与えている可能性があります。

営業活動によるキャッシュフローの確認

営業活動からのキャッシュフローは、株式会社まぐまぐの事業計画に基づくと、継続してマイナスが見込まれており、これは企業の事業活動が現金を生成していないことを示しています。減損損失の計上やその他の費用の増加は、企業の財務状況に悪影響を及ぼしている可能性があります。

リスク要因の評価

有価証券報告書に記載されているリスク要因を以下に示します。

  1. 継続企業の前提に関するリスク: 企業は将来の事象や状況により、継続企業として存続できなくなる可能性があるとされています。
  2. 内部統制の有効性に関するリスク: 財務報告に係る内部統制が有効であるかどうかの評価が求められ、内部統制の不備が発見された場合、財務報告に影響を与える可能性があります。
  3. 市場リスク: 為替変動リスクや市場価格の変動リスクに晒されており、特にアジア市場での事業展開において影響を受ける可能性があります。
  4. 信用リスク: 顧客の信用リスクに晒されており、与信限度額の設定や信用調査を行っているものの、過度に集中した信用リスクのエクスポージャーは有していないとされています。
  5. 流動性リスク: 資金計画の作成や手許流動性の維持により流動性リスクを管理しているが、流動性リスクが発生する可能性があります。
  6. 金利変動リスク: 変動金利による借入を行っており、金利の変動リスクに晒されています。

潜在的なリスクの評価

これらのリスク要因は、企業の財務状況や業績に直接的な影響を与える可能性があります。特に、継続企業の前提に関するリスクは、投資家にとって重要な懸念事項であり、企業の存続可能性に疑問を投げかける要因となります。