はじめに総括
特記事項
2023年度において、サムコ株式会社は流動資産と固定資産の両方が増加し、特に流動資産の増加が顕著であったことが大きなトレンドとして挙げられます。また、売上高、営業利益、純利益のすべてが前年を上回る成長を遂げており、全体的に業績は好調であることが示されています。
2023年度の総括
サムコ株式会社は、2023年度において以下のような業績を達成しました。
- 売上高: 8,203百万円(前年同期比4.8%増)
- 営業利益: 2,017百万円(前年同期比8.5%増)
- 純利益: 1,471百万円(前年同期比7.7%増)
流動資産は11,188,327千円、固定資産は4,619,445千円であり、流動比率は約394.1%と非常に高い水準を維持しています。自己資本比率も76.3%と高く、財務的には非常に健全な状態です。特に、海外売上高が41.3%増加したことが業績向上に寄与しています。
来年度以降の事業計画
サムコ株式会社は、以下のような事業計画を掲げています。
- 成長戦略の強化: CVD装置やエッチング装置の需要が高まっているため、これらの製品にリソースを集中させ、さらなる成長を目指します。
- ESGへの取り組み: 環境対策を強化し、持続可能な成長を目指すための施策を推進します。特に、気候変動への対応を重視しています。
- 新規市場の開拓: 半導体市場の成長を背景に、新たな顧客層や地域への進出を図ります。
今後の動向予測
サムコ株式会社の今後の動向については、以下のように予測されます。
- 売上高の増加: 半導体市場の成長に伴い、2024年度も売上高は増加する見込みです。特に、CVD装置とエッチング装置の需要が高まることで、売上の増加が期待されます。
- 利益率の改善: 営業利益率と純利益率が前年より改善していることから、今後も収益性の向上が見込まれます。特に、効率的なコスト管理が利益率を押し上げる要因となるでしょう。
- リスク管理の強化: 特定地域や顧客への依存度が高まる中で、リスク管理の重要性が増すため、これに対する対策が求められます。特に、為替変動や製造物責任に関するリスクへの対応が重要です。
結論
サムコ株式会社は、2023年度において好調な業績を達成し、今後も成長が期待される企業です。特に、半導体市場の成長を背景に、CVD装置やエッチング装置の需要が高まる中で、持続可能な成長を目指すための戦略を推進しています。リスク管理を強化しつつ、成長戦略を実行することで、さらなる業績向上が期待されます。
財務健全性の評価とトレンド分析
1. 資産の構成
項目 | 金額(千円) |
---|---|
流動資産 | 11,188,327 |
固定資産 | 4,619,445 |
資産合計 | 14,807,772 |
2. 負債の構成
項目 | 金額(千円) |
---|---|
流動負債 | 2,833,000 |
固定負債 | 982,000 |
負債合計 | 3,815,000 |
3. 純資産の構成
項目 | 金額(千円) |
---|---|
純資産 | 12,299,000 |
4. 財務健全性の評価
自己資本比率:
自己資本比率 = 純資産 / 資産合計 = 12,299,000千円 / 14,807,772千円 = 76.3%
自己資本比率は76.3%であり、非常に高い水準です。これは、企業が自己資本で資産を賄っている割合が高く、財務的に健全であることを示しています。
5. 過去との比較トレンド
項目 | 前事業年度(千円) | 当事業年度(千円) | 増加額(千円) | 増加率 |
---|---|---|---|---|
流動資産 | 10,175,585 | 11,188,327 | 1,012,742 | 約9.9%増 |
固定資産 | 4,311,000 | 4,619,445 | 308,445 | 約7.1%増 |
流動負債 | 2,676,000 | 2,833,000 | 157,000 | 約5.9%増 |
固定負債 | 975,000 | 982,000 | 7,000 | 約0.7%増 |
純資産 | 11,144,000 | 12,299,000 | 1,155,000 | 約10.4%増 |
6. 総評
サムコ株式会社は、流動資産と固定資産の両方が増加しており、特に流動資産の増加が顕著です。負債も増加していますが、自己資本比率が76.3%と高いため、財務的には安定していると評価できます。純資産も増加しており、企業の成長が見込まれます。全体として、財務健全性は良好であり、今後の成長に向けた基盤が整っていると考えられます。
流動比率、自己資本比率及びトレンド
1. 流動比率の計算
- 流動資産: 11,188百万円
- 流動負債: 2,833百万円
流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100
流動比率 = (11,188 / 2,833) × 100 ≈ 394.1%
2. 自己資本比率の計算
- 純資産(自己資本): 12,299百万円
- 流動負債: 2,833百万円
- 固定負債: 982百万円
- 総資本 = 流動負債 + 固定負債 + 自己資本 = 2,833 + 982 + 12,299 = 16,114百万円
自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100
自己資本比率 = (12,299 / 16,114) × 100 ≈ 76.3%
3. 過去との比較トレンド
流動比率は前年同期比で394.1%となりました。流動比率が高いことは、短期的な支払い能力が高いことを示しています。
自己資本比率は前年同期比で75.3%から76.3%に上昇しました。自己資本比率が高いことは、企業の財務的安定性を示しています。
まとめ
このように、サムコ株式会社は流動性と財務的安定性の両方において良好な状況にあると評価できます。
売上高、営業利益、純利益の推移
売上高
- 2023年度: 8,203百万円
- 2022年度: 7,843百万円(前年同期比4.8%増)
営業利益
- 2023年度: 2,017百万円
- 2022年度: 1,858百万円(前年同期比8.5%増)
純利益
- 2023年度: 1,471百万円
- 2022年度: 1,366百万円(前年同期比7.7%増)
計算方法
営業利益の計算:
売上高: 8,203百万円
売上原価: 売上高から売上総利益を引いたもの
販売費及び一般管理費: 2,176百万円
売上総利益: 4,193百万円(売上高 - 売上原価)
営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費
営業利益 = 8,203 - (8,203 - 4,193) - 2,176 = 2,017百万円
純利益の計算:
税引前当期純利益: 2,088百万円
法人税等の支払額: 666百万円
純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税等
純利益 = 2,088 - 666 = 1,422百万円(法人税等調整額を考慮しない場合)
トレンド分析
売上高は前年同期比で増加しており、特に海外売上高が41.3%増加したことが影響しています。営業利益と純利益も前年同期比で増加しており、全体的に業績は好調であることが示されています。
営業利益率と純利益率の計算
1. 営業利益率の計算
営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。
- 営業利益: 2,017百万円
- 売上高: 8,203百万円
営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100
営業利益率 = (2,017 / 8,203) × 100 ≈ 24.6%
2. 純利益率の計算
純利益率は、当期純利益を売上高で割ったものです。
- 当期純利益: 1,471百万円
- 売上高: 8,203百万円
純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100
純利益率 = (1,471 / 8,203) × 100 ≈ 17.9%
3. 過去の数値との比較
前期の営業利益は1,858百万円、売上高は7,843百万円、営業利益率は約23.7%でした。前期の当期純利益は1,366百万円、純利益率は約17.4%でした。
4. トレンドの分析
- 営業利益率: 2023年度は24.6%、前期は23.7%で、1.0ポイント上昇。
- 純利益率: 2023年度は17.9%、前期は17.4%で、0.5ポイント上昇。
結論
サムコ株式会社は、2023年度において営業利益率と純利益率の両方が前年より改善しており、収益性が向上していることが確認できます。これは、業績の向上を示すポジティブなトレンドです。
営業活動によるキャッシュフローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
- 営業活動によるキャッシュ・フロー: 1,642百万円(前期に使用した資金は189百万円)
主な内容
評価
営業活動によるキャッシュフローは1,642百万円のプラスであり、前期に比べて大きく改善しています。税引前当期純利益が2,088百万円であることから、営業活動がしっかりと利益を生み出していることが示されています。ただし、法人税や棚卸資産、売上債権の増加が影響しているため、これらの要素も考慮する必要があります。
事業セグメントの収益状況とトレンドの分析
1. 事業セグメントの収益状況
サムコ株式会社は、半導体等電子部品製造装置の製造及び販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の詳細な売上高や利益率は記載されていませんが、主な品目別の売上高は以下の通りです。
品目 | 売上高(百万円) | 前期比 |
---|---|---|
CVD装置 | 1,632 | 25.7%増 |
エッチング装置 | 4,671 | 18.0%増 |
洗浄装置 | 605 | 27.3%減 |
部品・メンテナンス | 1,293 | 25.7%減 |
2. 利益率の動向
項目 | 金額(百万円) | 前期比 |
---|---|---|
売上高 | 8,203 | 4.8%増 |
営業利益 | 2,017 | 8.5%増 |
経常利益 | 2,088 | 8.4%増 |
当期純利益 | 1,471 | 7.7%増 |
3. トレンドの比較
- CVD装置: 売上高は前年より25.7%増加し、成長が見られます。
- エッチング装置: 売上高は前年より18.0%増加し、こちらも成長しています。
- 洗浄装置: 売上高は前年より27.3%減少しており、業績が振るわない状況です。
- 部品・メンテナンス: 売上高は前年より25.7%減少しており、大口先の工場稼働率が一時的に低下したことが影響しています。
4. 事業ポートフォリオのバランス評価
- 成長セグメント: CVD装置とエッチング装置は成長を示しており、特にCVD装置は高い成長率を記録しています。
- リスクの高いセグメント: 洗浄装置と部品・メンテナンスは売上が減少しており、リスクが高いと評価されます。
5. まとめ
サムコ株式会社は、CVD装置とエッチング装置において成長を見せている一方で、洗浄装置と部品・メンテナンスの売上が減少しているため、事業ポートフォリオのバランスには注意が必要です。特に、成長が見込まれる分野にリソースを集中させることが、今後の業績向上に寄与する可能性があります。
新規事業セグメントの参入について
有価証券報告書には、新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載はありません。したがって、現在のところ新規事業セグメントの参入についての情報は提供されていないようです。
リスク要因の評価
有価証券報告書に記載されているリスク要因は以下の通りです:
潜在的なリスクの評価
これらのリスク要因は、企業の業績や持続可能な成長に対して重大な影響を及ぼす可能性があります。特に、特定地域や顧客への依存度が高い場合、経済環境の変化や顧客の動向に敏感に反応する必要があります。また、知的財産権や製造物責任に関するリスクは、法的な問題を引き起こす可能性があり、企業の信頼性やブランド価値に影響を与えることがあります。
業績予測や中期計画
1. 中期経営計画
- 期間: 第44期(2022年8月1日〜2025年7月31日)
- 経営課題: 「社内環境対策(サムコ環境方針)への取り組み強化」
- ESG委員会: 気候変動への対応を含むサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための活動を行っている。
2. 業績予測
- 売上高: 2023年度の売上高は8,203百万円(前期比4.8%増)。
- 営業利益: 2,017百万円(前期比8.5%増)。
- 経常利益: 2,088百万円(前期比8.4%増)。
- 当期純利益: 1,471百万円(前期比7.7%増)。
- 受注高: 8,146百万円(前期比0.9%減)。
- 受注残高: 5,361百万円(前期比1.0%減)。
3. 目標達成の可能性
- 市場環境: 半導体等電子部品業界は、生成AIの急速な活用拡大や5Gの普及により需要が回復している。これにより、当社の製品に対する需要も増加する見込み。
- リスク要因: 特定地域や特定顧客への依存度が高まることで、業績に影響を及ぼす可能性がある。また、製造物責任や知的財産権のリスクも考慮する必要がある。
- 戦略的取り組み: 省エネ化やグリーン調達、廃棄物削減などの環境対策を強化し、持続可能な成長を目指す。
4. 結論
サムコ株式会社は、半導体市場の成長を背景に売上高や利益の増加を見込んでおり、ESGへの取り組みを通じて持続可能な成長を目指しています。ただし、特定顧客への依存や市場環境の変化に対するリスク管理が重要です。全体として、計画に基づいた目標達成の可能性は高いと考えられますが、外部環境の変化に注意を払う必要があります。
配当履歴と配当政策
1. 配当履歴
- 当期純利益: 1,471百万円(前期比7.7%増)
- 配当金支払額: 361百万円
- 配当性向: 配当性向は以下のように計算されます。
配当性向 = 配当金支払額 / 当期純利益 × 100 = 361 / 1,471 × 100 ≈ 24.5%
結論
サムコ株式会社は、安定した配当を維持しつつ、将来的な成長投資に必要な資金を確保する方針を持っています。配当性向は約24.5%であり、今後の業績に応じて配当金の増加が期待されます。配当利回りは株価に依存するため、実際の株価を考慮して評価する必要があります。