【ファンダメンタル分析】JDI【有価証券報告書】

株式会社ジャパンディスプレイの有価証券報告書はこちら

はじめに総括

特記事項

株式会社ジャパンディスプレイは、2023年度において7期連続の営業損失を計上し、10期連続で当期純損失を計上しています。このトレンドは、企業の収益性に対する深刻な懸念を示しています。また、減損損失が11,115百万円計上され、特に茂原工場の事業用資産に関する減損が影響しています。

1. 資産、負債、純資産の構成

  • 総資産: 369,324百万円
  • 有形固定資産: 69,324百万円
  • 無形固定資産: 1,408百万円
  • 棚卸資産: 63,951百万円
  • 総負債: 205,253百万円
  • 純資産: 164,071百万円
  • 自己資本比率: 44.4%

自己資本比率は健全な水準にあり、企業の財務的な安定性を示していますが、流動負債の具体的な数値が不明なため、流動比率の評価は難しいです。

2. 財務健全性の評価

自己資本比率が44.4%であることは、一般的に健全な水準とされますが、営業損失や減損損失が続いているため、収益性に対する懸念が残ります。流動比率が1以上であれば短期的な支払い能力は良好とされますが、流動負債の具体的な数値が不明なため、詳細な評価はできません。

3. 過去との比較トレンド

  • 営業損失: 7期連続で営業損失を計上しており、収益性の低下が続いています。
  • 減損損失: 減損損失が11,115百万円計上され、資産の評価に対するリスクが示唆されています。

4. 収益力の動向

  • 売上高: 239,153百万円(前年から約11.7%減少)
  • 当期純損失: 44,313百万円(前年から約71.6%悪化)

売上高の減少と純利益の悪化は、企業の収益力が厳しい状況にあることを示しています。

5. 事業計画と今後の動向

株式会社ジャパンディスプレイは、次世代OLED技術「eLEAP」に注力し、2025年3月期下期から茂原工場での量産を開始する予定です。これにより、将来的な成長が期待されますが、LCDセグメントの収益性改善が急務です。

6. リスク要因

  • 市場動向の変化: 完成品市場の変動や競争激化により、売上高の減少や販売価格の低下が生じる可能性があります。
  • 技術競争: 他社の技術開発により、当社の技術優位性が低下するリスクがあります。

結論

株式会社ジャパンディスプレイは、自己資本比率が健全な水準にある一方で、営業損失や減損損失が続いているため、収益性に対する懸念が残ります。今後の収益改善策やコスト削減策が重要となるでしょう。特に、次世代OLED技術の商業化が成功すれば、将来的な業績改善が期待されますが、外部環境や競争状況の変化に対するリスクも考慮する必要があります。

株式会社ジャパンディスプレイの2023年度の有価証券報告書に基づく分析

1. 資産、負債、純資産の構成

資産

  • 総資産: 2024年3月31日現在、総資産は約369,324百万円です。
  • 有形固定資産: 約69,324百万円(液晶ディスプレイ及び有機EL製造ラインの資産を含む)。
  • 無形固定資産: 約1,408百万円。
  • 棚卸資産: 約63,951百万円(評価損計上前の帳簿価額は78,114百万円)。

負債

  • 総負債: 2024年3月31日現在、総負債は約205,253百万円です。
  • 流動負債: 具体的な数値は記載されていませんが、流動負債が高い場合、短期的な支払い能力に影響を与える可能性があります。

純資産

  • 純資産: 2024年3月31日現在、純資産は約164,071百万円です。
  • 自己資本比率: 自己資本比率は約44.4%(純資産 / 総資産)であり、一般的に健全な水準とされます。

2. 財務健全性の評価

  • 自己資本比率: 44.4%は、企業が自己資本でどれだけの資産を賄っているかを示し、財務的な安定性を示す指標です。一般的に、自己資本比率が高いほど、企業の財務健全性は高いとされます。
  • 流動比率: 流動負債に対する流動資産の比率が高い場合、短期的な支払い能力が高いことを示します。具体的な流動資産の数値は記載されていませんが、流動比率が1以上であれば、短期的な支払い能力は良好とされます。

3. 過去との比較トレンド

  • 営業損失及び減損損失: 会社は7期連続で営業損失を計上しており、10期連続で当期純損失を計上しています。このトレンドは、企業の収益性に対する懸念を示しています。
  • 減損損失: 減損損失が11,115百万円計上されており、特に茂原工場の事業用資産に関する減損が影響しています。これは、資産の回収可能価額が帳簿価額を下回ったことを示しており、資産の評価に対するリスクを示唆しています。

結論

株式会社ジャパンディスプレイは、自己資本比率が健全な水準にある一方で、営業損失や減損損失が続いているため、収益性に対する懸念が残ります。今後の収益改善策やコスト削減策が重要となるでしょう。また、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるため、経営陣は慎重な経営判断が求められます。

株式会社ジャパンディスプレイの2023年度の有価証券報告書に基づいて、流動比率自己資本比率を計算し、過去の数値と比較したトレンドを示します。

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

流動比率の計算式:

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資産で割った比率で、企業の財務的な安定性を示します。

自己資本比率の計算式:

自己資本比率 = (自己資本 / 総資産) × 100

3. 必要な数値の抽出

有価証券報告書から以下の数値を抽出します。

  • 流動資産: 具体的な数値は記載されていないため、流動資産の金額を確認する必要があります。
  • 流動負債: 具体的な数値は記載されていないため、流動負債の金額を確認する必要があります。
  • 自己資本: 自己資本の金額を確認する必要があります。
  • 総資産: 2023年度の総資産額は記載されており、31,405百万円の事業用資産が総資産の17%を占めているため、総資産は以下のように計算できます。

総資産 = 31,405百万円 / 0.17 ≈ 184,176百万円

4. 過去の数値との比較

過去の流動比率自己資本比率の数値が記載されていないため、具体的なトレンドを示すことはできません。過去の数値を知るためには、前年度の有価証券報告書を参照する必要があります。

5. 結論

流動比率自己資本比率を計算するためには、流動資産、流動負債、自己資本の具体的な数値が必要です。これらの数値が有価証券報告書に記載されていない場合、他の資料を参照する必要があります。過去のトレンドを把握するためには、前年度の数値も確認する必要があります。

株式会社ジャパンディスプレイの2023年度の有価証券報告書に基づいて、売上高、営業利益、純利益の推移を確認し、収益力の動向を評価します。

売上高の推移

  • 2022年度(2023年3月31日まで): 270,746百万円
  • 2023年度(2024年3月31日まで): 239,153百万円

トレンド: 売上高は前年から減少しています。具体的には、約31,593百万円(約11.7%)の減少です。

営業利益の推移

営業利益に関する具体的な数値は有価証券報告書には記載されていませんが、営業損失が続いていることが示されています。特に、7期連続で営業損失を計上しているとのことです。

純利益の推移

トレンド: 純利益も前年から悪化しており、損失が約18,495百万円(約71.6%)増加しています。これは、企業の収益力がさらに低下していることを示しています。

収益力の評価

売上高の減少と営業損失の継続、さらに純利益の悪化は、企業の収益力が厳しい状況にあることを示しています。特に、減損損失や遊休資産の減額が影響している可能性があり、これらの要因が企業の財務状況に大きな影響を与えていると考えられます。継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在することも、将来的な収益力に対する懸念を示唆しています。

結論

株式会社ジャパンディスプレイは、売上高の減少、営業損失の継続、純利益の悪化といった厳しい財務状況に直面しており、収益力の回復には時間がかかる可能性があります。投資判断を行う際には、これらの要因を十分に考慮する必要があります。

株式会社ジャパンディスプレイの2023年度の有価証券報告書に基づくと、営業活動によるキャッシュフローの状況

1. 営業損失の連続計上

当社は、7期連続で営業損失を計上しており、これは事業の収益性に対する重大な懸念を示しています。特に、重要な減損損失を計上していることから、資産の回収可能性に疑問が生じています。

2. 継続企業の前提に関する重要な疑義

10期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、これにより継続企業の前提に重要な疑義が生じています。この状況は、将来的なキャッシュフローの生成能力に対する不安を引き起こします。

3. 事業構造改革の取り組み

当社は、全社的な事業構造改革を進めており、設備利用効率の改善や資産規模の適正化を通じて生産性向上を目指しています。また、サプライチェーンの見直しによるコスト削減にも取り組んでいます。

4. 資産の譲渡契約

2023年3月には、東浦工場の建物をソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社に譲渡する契約を締結し、2024年4月1日付で譲渡を完了しています。このような資産の売却は、短期的にはキャッシュフローの改善に寄与する可能性があります。

5. 成長戦略「METAGROWTH 2026」

当社は、成長戦略「METAGROWTH 2026」を策定し、技術基盤を価値創造の源泉とし、収益性の改善を図る方針を示しています。この戦略には、新技術の導入や製品・事業ポートフォリオの再編が含まれています。

結論

現在の状況から判断すると、株式会社ジャパンディスプレイは営業活動によるキャッシュフローの生成において厳しい状況にあります。継続的な営業損失や減損損失の計上は、将来的なキャッシュフローの生成能力に対する不安を引き起こしていますが、事業構造改革や成長戦略の実施により、将来的な改善の可能性もあります。投資判断を行う際には、これらの要因を慎重に考慮する必要があります。

株式会社ジャパンディスプレイの2023年度の有価証券報告書に基づいて、事業セグメントの収益性や成長性について分析します。

1. 事業セグメントの概要

当社グループは、主にディスプレイ製品の製造・販売を行っており、特に次世代OLED技術「eLEAP」に注力しています。事業ポートフォリオは、液晶ディスプレイ(LCD)と有機EL(OLED)に分かれています。

2. 売上高と利益率の動向

  • 売上高: 2023年度の売上高は239,153百万円で、前期比で31,593百万円(11.7%)の減少となりました。これは、旧東浦工場の生産停止や茂原工場における液晶パネル生産能力の縮減が影響しています。
  • 営業損失: 営業損失は34,145百万円で、前期の44,386百万円の損失から改善されましたが、依然として厳しい状況です。
  • 経常損失: 経常損失は33,188百万円で、前期の42,924百万円の損失から改善しています。
  • 当期純損失: 親会社株主に帰属する当期純損失は44,313百万円で、前期の25,818百万円の損失から悪化しました。

3. セグメント別の成長性

  • LCDセグメント: 旧東浦工場の生産停止により、LCDの生産能力が縮小し、売上高が減少しました。固定費削減の努力は行われていますが、全体的な市場環境の厳しさが影響しています。
  • OLEDセグメント: 次世代OLED「eLEAP」は、顧客からの強い引き合いを受けており、2025年3月期下期から茂原工場での量産を開始する予定です。この技術は、環境性の高さからも注目されています。

4. 過去との比較トレンド

  • 売上高のトレンド: 売上高は前年から減少しており、特にLCDセグメントの影響が大きいです。OLEDセグメントは今後の成長が期待されますが、現時点では全体の売上高に対する寄与は限定的です。
  • 利益率のトレンド: 営業損失は改善傾向にありますが、依然として赤字が続いており、特に研究開発費の増加やエネルギー費・部材費の高止まりが影響しています。

5. 事業ポートフォリオのバランス

  • 成長セグメント: OLED技術は今後の成長ドライバーとして期待されており、特に「eLEAP」技術の商業化が鍵となります。
  • リスクセグメント: LCDセグメントは市場競争が激化しており、固定費の高止まりが業績に影響を与えています。

結論

株式会社ジャパンディスプレイは、OLED技術の成長を目指しつつ、LCDセグメントの収益性改善に取り組んでいます。全体的には厳しい経営環境が続いていますが、次世代技術の商業化が成功すれば、将来的な業績改善が期待されます。

株式会社ジャパンディスプレイの2023年度有価証券報告書に基づいて、以下の情報を提供いたします。

新規に参入した事業セグメント

2023年度において、株式会社ジャパンディスプレイは次世代OLED「eLEAP」に関する事業を強化しています。この技術は、マスクレス蒸着及びフォトリソ方式による量産技術を確立したもので、2025年3月期下期から茂原工場にて量産を開始する予定です。また、株式会社JOLEDからOLEDディスプレイに関する従業員及び知的財産権を含む技術開発ビジネスを承継するための事業譲渡契約を締結し、2023年7月に事業譲受を完了しました。さらに、中国安徽省蕪湖市との間でeLEAPの事業立ち上げに関する覚書を締結し、2024年10月末までの許認可取得に向けて取り組んでいます。

潜在的なリスク要因

  • 事業活動リスク
    • 市場動向・競争環境の変動: 完成品市場の変動や競争激化により、売上高の減少や販売価格の低下が生じる可能性があります。
    • 技術・研究開発: 技術の優位性が確保できない場合、売上高の減少に繋がるリスクがあります。
    • 生産活動: 生産性の低下や品質トラブルが発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
    • 調達活動: 原材料や部品の供給遅延や価格高騰が生じた場合、生産に影響を与えるリスクがあります。
    • 他社との協業・提携: 協業や提携が維持できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
    • 特定のアプリケーション及び顧客への依存: 特定の顧客や市場への依存度が高い場合、需要の減退が業績に悪影響を与える可能性があります。
    • 気候変動リスク: 脱炭素化への取り組みや自然災害の影響が業績に影響を及ぼす可能性があります。
    • 特定人物への依存: 代表執行役会長CEOへの依存が高い場合、その人が業務を継続できなくなった場合のリスクがあります。
  • 財務リスク
    • 資金調達・資金繰り: 資金調達が困難になる場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
  • 社会リスク
  • 政治リスク
    • 地政学的リスク: 海外事業展開における政治情勢の不安定化や法規制の変更が業績に影響を及ぼす可能性があります。

結論

これらのリスク要因は、企業の業績や財政状態に直接的な影響を与える可能性があるため、注意深く管理する必要があります。

株式会社ジャパンディスプレイの2023年度の有価証券報告書に基づいて、将来の業績予測や中期計画、目標達成の可能性について説明いたします。

1. 業績予測と中期計画

業績予測

当社グループは、ディスプレイ製品の製造・販売を行っており、特に次世代OLED技術「eLEAP」の開発と市場展開に注力しています。これにより、顧客の需要に応じた製品の提供を目指し、売上高の維持・拡大を図っています。市場動向や競争環境の変化に敏感に対応し、適切な在庫管理や生産管理を行うことで、業績の安定を図る方針です。

中期事業計画

中期事業計画においては、以下のポイントが挙げられます:

  • 技術革新: 「世界初、世界一」の技術を追求し、次世代OLED技術の開発を進める。
  • 市場拡大: 新技術や新製品の開発を通じて、顧客基盤の拡大を図る。
  • コスト管理: 生産性向上や固定費の削減を目指し、効率的な生産体制を構築する。

2. 目標達成の可能性

リスク要因

目標達成には以下のリスク要因が影響を及ぼす可能性があります:

  • 市場動向の変化: 景気の変動や消費者嗜好の変化により、完成品市場が変動するリスクがあります。
  • 技術競争: 他社の技術開発により、当社の技術優位性が低下する可能性があります。
  • 生産活動の効率性: 生産性の低い工場の閉鎖や新技術の導入に伴う品質トラブルが発生するリスクがあります。
  • 調達リスク: 原材料や部品の供給遅延や価格高騰が生じた場合、生産に影響を及ぼす可能性があります。

対策

これらのリスクに対して、当社は以下の対策を講じています:

  • 市場調査の強化: 顧客の需要動向を注視し、適切な製品をタイムリーに提供する。
  • 研究開発の推進: 技術の優位性を維持するため、継続的な研究開発を行う。
  • 生産体制の見直し: 生産性向上のための設備投資や工場の統廃合を進める。
  • サプライチェーンの多様化: 複数のサプライヤーからの調達を行い、リスクを分散する。

3. 結論

株式会社ジャパンディスプレイは、技術革新と市場拡大を通じて持続可能な成長を目指していますが、外部環境や競争状況の変化により、業績に影響を及ぼすリスクが存在します。これらのリスクに対する適切な対策を講じることで、目標達成の可能性を高めることが期待されます。今後の業績回復に向けた取り組みが、企業の持続可能な成長に寄与することが期待されます。