【ファンダメンタル分析】日本調剤【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

日本調剤株式会社の当期の業績において、売上高は340,310百万円と前年同期比で約8.6%の増加を示しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は2,553百万円と前年同期比で約42.7%の減少を記録しました。この大幅な純利益の減少は、企業の収益性に対する懸念を引き起こしています。

当期の総括

日本調剤株式会社は、調剤薬局事業を中心に売上を伸ばしましたが、純利益の大幅な減少が目立ちます。特に、営業利益は9,142百万円で前年同期比20.5%の増加を示しているものの、純利益の減少は企業のコスト構造や経営効率に問題があることを示唆しています。流動比率は93.6%と前年の364.5%から大幅に減少しており、短期的な支払い能力に懸念が生じています。一方で、自己資本比率は78.1%と改善しており、財務的な安定性は維持されています。

来年度以降の事業計画

  1. 調剤薬局事業の強化
    • 新規店舗の開設や既存店舗のサービス向上を図り、売上のさらなる増加を目指します。
    • 薬剤師の配置に関する規制を考慮し、必要な人材の確保に注力します。
  2. 医薬品製造販売事業の拡大
  3. 人材育成と確保
    • 専門人材の育成プログラムを強化し、競争の激しい市場での人材確保を目指します。
  4. 環境への取り組み
    • 2030年までにCO2排出量を30%削減する目標を掲げ、持続可能な経営を推進します。

今後の動向予測

  • 売上高の成長: 調剤薬局事業の成長が続くと予測されますが、競合の増加や規制の影響を受ける可能性があります。
  • 収益性の改善: 営業利益は増加しているものの、純利益の減少が続く場合、コスト管理や効率化が求められます。
  • リスク管理の強化: 情報セキュリティやサプライチェーンのリスクが高まっているため、これらに対する対策を強化する必要があります。

結論

日本調剤株式会社は、売上高の増加を維持しつつ、収益性の改善に向けた取り組みが求められます。人材確保や環境への取り組みを通じて、持続可能な成長を目指すことが重要です。

1. 連結貸借対照表の主要な数値

項目 金額 (百万円)
有形固定資産 24,234
無形固定資産 13,865
投資その他の資産 9,321
合計 47,421
連結総資産の占める割合 24%

2. のれんの金額

のれん: 12,834百万円

3. 減損損失

減損損失: 3,225百万円

4. 退職給付債務

項目 金額 (百万円)
退職給付債務の期首残高 2,601
退職給付債務の期末残高 2,796
退職給付費用 377 (前年度), 373 (当年度)

5. セグメント情報

事業セグメント 売上高 (百万円)
調剤薬局事業 302,805
医薬品製造販売事業 27,632
医療従事者派遣・紹介事業 9,873
合計売上高 340,310

6. 資産の内訳

セグメント 資産 (百万円)
調剤薬局事業 115,690
医薬品製造販売事業 71,055
医療従事者派遣・紹介事業 4,993
合計 191,739

7. 負債の内訳

項目 金額 (百万円)
長期借入金 53,090
リース債務 1,384

8. 純資産

連結貸借対照表に計上された負債と資産の純額: 2,587百万円

9. 金融商品時価

項目 時価 (百万円)
長期貸付金 5,131
敷金及び保証金 7,188
長期借入金 53,092
リース債務 1,579

10. 重要な数値のトレンド

項目 連結会計年度 (百万円) 連結会計年度 (百万円)
退職給付債務の期末残高 2,796 2,912
退職給付費用 377 373

これらの情報をもとに、企業の財務健全性を評価することができます。特に、資産と負債のバランス、減損損失の発生、退職給付債務の動向などが重要な指標となります。

流動比率自己資本比率の計算

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、企業の短期的な支払い能力を示します。

流動資産

項目 金額 (百万円)
現金及び預金 26,034
受取手形 69
売掛金及び契約資産 21,761
電子記録債権 395
長期貸付金 272
敷金及び保証金 1,253
合計流動資産 49,787

流動負債

項目 金額 (百万円)
短期借入金 450
長期借入金 10,981
リース債務 8,660
合計流動負債 53,066

流動比率の計算

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100 = (49,787 / 53,066) × 100 ≈ 93.6%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、企業の財務的安定性を示します。

自己資本

自己資本: 195,087百万円(2024年3月31日)

総資本

総資本: 自己資本 + 負債 = 195,087 + 54,672 = 249,759百万円

自己資本比率の計算

自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100 = (195,087 / 249,759) × 100 ≈ 78.1%

3. 過去との比較トレンド

流動比率の過去データ

連結会計年度(2023年3月31日): 流動比率 = (45,656 / 12,533) × 100 ≈ 364.5%

自己資本比率の過去データ

連結会計年度(2023年3月31日): 自己資本比率 = (185,297 / 239,829) × 100 ≈ 77.3%

4. トレンドのまとめ

この結果から、流動比率は大幅に減少しており、短期的な支払い能力に懸念がある一方で、自己資本比率は若干の改善が見られ、財務的安定性は維持されていることがわかります。

売上高、営業利益、純利益の推移

売上高

  • 連結会計年度 (2022年4月1日 - 2023年3月31日): 280,161百万円
  • 連結会計年度 (2023年4月1日 - 2024年3月31日): 340,310百万円

純利益

トレンド分析

  • 売上高: 前年度から当年度にかけて、売上高は280,161百万円から340,310百万円に増加し、約21.5%の成長を示しています。
  • 純利益: 前年度の4,458百万円から当年度の2,553百万円に減少しており、約42.8%の減少を示しています。

営業利益率と純利益率の計算

1. 営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

連結会計年度(2024年3月31日)

  • 売上高: 340,310百万円
  • 営業利益: 5,137百万円
  • 営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100 = (5,137 / 340,310) × 100 ≈ 1.51%

連結会計年度(2023年3月31日)

  • 売上高: 340,310百万円(同じ)
  • 営業利益: 6,468百万円
  • 営業利益率 = (6,468 / 340,310) × 100 ≈ 1.90%

2. 純利益率の計算

純利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を売上高で割ったものです。

連結会計年度(2024年3月31日)

  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 2,553百万円
  • 純利益率 = (親会社株主に帰属する当期純利益 / 売上高) × 100 = (2,553 / 340,310) × 100 ≈ 0.75%

連結会計年度(2023年3月31日)

  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 4,458百万円
  • 純利益率 = (4,458 / 340,310) × 100 ≈ 1.31%

3. トレンドの比較

  • 営業利益率のトレンド: 2023年度: 約1.90% → 2024年度: 約1.51% (減少)
  • 純利益率のトレンド: 2023年度: 約1.31% → 2024年度: 約0.75% (減少)

事業活動が現金を生成しているかの評価

1. 売上高

  • 調剤薬局事業: 302,805百万円
  • 医薬品製造販売事業: 27,632百万円
  • 医療従事者派遣・紹介事業: 9,873百万円
  • 合計売上高: 340,310百万円

2. セグメント利益

  • 調剤薬局事業: 15,189百万円
  • 医薬品製造販売事業: 250百万円
  • 医療従事者派遣・紹介事業: 937百万円
  • 合計セグメント利益: 16,376百万円

3. 営業利益

  • 営業利益: 9,142百万円(調整後)

4. キャッシュフローの生成

売上高が340,310百万円であり、セグメント利益が16,376百万円、営業利益が9,142百万円であることから、企業は事業活動を通じて現金を生成していると評価できます。

5. 重要な指標

  • 減価償却: 2,760百万円
  • のれん償却費: 1,828百万円
  • 有形固定資産及び無形固定資産の増加額: 8,932百万円

これらの情報から、企業は安定した売上を上げており、利益を生み出していることが確認できます。特に、調剤薬局事業が大きな売上を上げており、全体の利益に寄与しています。

事業セグメントの収益状況や成長性、リスクの評価

1. 事業セグメントの収益状況

全体売上高: 340,310百万円(前年同期比8.6%増)

2. 利益率の動向

  • 営業利益: 9,142百万円(前年同期比20.5%増)
  • 経常利益: 9,439百万円(前年同期比22.9%増)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 2,553百万円(前年同期比42.7%減)

3. セグメントの成長性とリスク

  • 調剤薬局事業:
    • 成長性: 店舗数の増加やサービスの多様化により成長が期待されます。
    • リスク: 薬剤師の配置に関する規制があり、必要人員数が確保できない場合、出店計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
  • 医薬品製造販売事業:

4. 事業ポートフォリオのバランス

調剤薬局事業と医薬品製造販売事業の両方が成長を支えているが、調剤薬局事業の利益率が低下していることが懸念されます。

5. 過去との比較トレンド

  • 売上高: 前年同期比で8.6%増加
  • 営業利益: 前年同期比で20.5%増加
  • 経常利益: 前年同期比で22.9%増加
  • 当期純利益: 前年同期比で42.7%減少

リスク要因と潜在的なリスクの評価

1. リスク要因の抽出

  • 情報セキュリティリスク
  • 人材の確保に関するリスク
  • 人権に関するリスク
  • サプライチェーンに関するリスク
  • 金利の変動、原材料市況に関するリスク
  • 気候変動に関するリスク
  • 大規模災害、感染症の拡大に関するリスク
  • 技術革新によるビジネスモデルの変革に関するリスク
  • 訴訟等に関するリスク

2. 潜在的なリスクの評価

  • 情報セキュリティリスク: 高リスク
  • 人材の確保に関するリスク: 中リスク
  • 人権に関するリスク: 中リスク
  • サプライチェーンに関するリスク: 高リスク
  • 金利の変動、原材料市況に関するリスク: 中リスク
  • 気候変動に関するリスク: 中リスク
  • 大規模災害、感染症の拡大に関するリスク: 高リスク
  • 技術革新によるビジネスモデルの変革に関するリスク: 中リスク
  • 訴訟等に関するリスク: 中リスク

業績予測や中期計画に関する情報

業績予測

  • 売上高: 340,310百万円(前年同期比8.6%増)
  • 営業利益: 9,142百万円(前年同期比20.5%増)
  • 経常利益: 9,439百万円(前年同期比22.9%増)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 2,553百万円(前年同期比42.7%減)

中期計画

  1. 調剤薬局事業: 調剤報酬の改定やターゲット医療機関、競合店の状況に応じて、売上高の見積もりには不確実性が伴う。
  2. 人材の確保: 専門人材の確保や従業員の育成プログラムの整備を実施。
  3. 環境への取り組み: 2030年までに調剤薬局事業の1店舗あたりのCO2排出量を30%減を目指す。

目標達成の可能性

  • 売上高の増加: 調剤薬局事業の成長が見込まれるが、競合状況や規制の影響を受けるため、慎重な見積もりが必要。
  • 人材確保: 人材獲得競争が激化しているため、適切な人材を確保できるかが課題。
  • 環境目標: 環境への取り組みは企業イメージ向上に寄与するが、実行可能な計画とリソースの確保が重要。