はじめに総括
特記事項
中部電力株式会社は2023年度から2024年度にかけて、総資産が増加した一方で、負債も大幅に増加しましたが、純資産は大きく増加しています。特に、営業利益は減少したものの、純利益は増加しており、全体的には安定した財務基盤を維持しています。
2023年度の総括
項目 | 金額(百万円) | 前年度比 |
---|---|---|
総資産 | 7,399,274 | +85,163 |
合計負債 | 6,505,632 | +867,499 |
純資産 | 893,642 | +217,664 |
売上高 | 4,207,000 | +220,319(増減率約5.5%) |
営業利益 | 47,636 | -17,512(減少率約26.9%) |
純利益 | 38,098 | +1,994(増減率約5.5%) |
財務健全性の評価
- 資産対負債比率: 2024年度は1.14であり、依然として健全な水準を維持。
- 純資産比率: 12.06%(前年度9.24%)と改善。
- 流動比率: 29.2%(前年度27.2%)と短期的な支払い能力が向上。
- 自己資本比率: 18.9%(前年度15.2%)と長期的な支払い能力も改善。
来年度以降の事業計画
- 中期経営目標: 2025年度の連結経常利益2,000億円以上、ROIC3.2%以上を目指す。
- 再生可能エネルギーの拡大: 2030年までに320万kW以上の再生可能エネルギーを開発・保有する目標。
- カーボンニュートラルの実現: 2050年までに事業全体のCO2排出量ネット・ゼロを目指す。
今後の動向予測
中部電力は、燃料価格の安定化や再生可能エネルギーの拡大に向けた取り組みを進めており、これにより中期経営目標の達成が期待されます。特に、再生可能エネルギーの拡大は、今後の成長を支える重要な要素となるでしょう。
一方で、競争の激化や市場環境の変化、規制リスクなどの外部要因が影響を及ぼす可能性があるため、慎重な対応が求められます。特に、JERAセグメントの赤字が全体の利益を圧迫しているため、改善策が必要です。
結論
中部電力は、財務基盤が強化されている一方で、営業利益の減少が懸念されます。再生可能エネルギーの拡大やカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが今後の成長を支えると考えられますが、外部環境の変化に対するリスク管理が重要です。
1. 資産
年度 | 総資産(百万円) |
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当連結会計年度(2024年3月31日) | 7,399,274 |
前連結会計年度(2023年3月31日) | 7,314,111 |
トレンド: 総資産は2023年度から2024年度にかけて増加しています。増加額は85,163百万円です。
2. 負債
年度 | 流動負債(百万円) | 固定負債(百万円) | 合計負債(百万円) |
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当連結会計年度(2024年3月31日) | 1,431,739 | 5,073,893 | 6,505,632 |
前連結会計年度(2023年3月31日) | 1,431,133 | 4,207,000 | 5,638,133 |
トレンド: 合計負債は2023年度から2024年度にかけて増加しています。増加額は867,499百万円です。
3. 純資産
年度 | 純資産(百万円) |
---|---|
当連結会計年度(2024年3月31日) | 893,642 |
前連結会計年度(2023年3月31日) | 675,978 |
トレンド: 純資産は2023年度から2024年度にかけて増加しています。増加額は217,664百万円です。
4. 財務健全性の評価
指標 | 2024年度 | 2023年度 |
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資産対負債比率 | 1.14 | 1.30 |
純資産比率 | 12.06% | 9.24% |
結論
中部電力株式会社は、2023年度から2024年度にかけて総資産が増加し、負債も増加していますが、純資産も大きく増加しています。資産対負債比率は若干低下していますが、依然として1を上回っており、財務的には健全性を保っています。純資産比率も改善しており、企業の財務基盤が強化されていることが示されています。
流動比率と自己資本比率の計算
流動比率の計算
流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100 = (12,898 / 44,135) × 100 ≈ 29.2%
自己資本比率の計算
自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100 = (26,950 / 142,171) × 100 ≈ 18.9%
過去との比較
流動比率
- 前連結会計年度末: 流動資産: 11,666億円、流動負債: 42,928億円
- 流動比率 = (11,666 / 42,928) × 100 ≈ 27.2%
- トレンド: 流動比率は前年度から増加しており、29.2%(当年度) - 27.2%(前年度) = 2.0%の改善。
自己資本比率
- 前連結会計年度末: 自己資本: 21,622億円、総資本: 142,171億円
- 自己資本比率 = (21,622 / 142,171) × 100 ≈ 15.2%
- トレンド: 自己資本比率も前年度から増加しており、18.9%(当年度) - 15.2%(前年度) = 3.7%の改善。
結論
- 流動比率は29.2%で、前年度の27.2%から改善されており、短期的な支払い能力が向上しています。
- 自己資本比率は18.9%で、前年度の15.2%から改善されており、長期的な支払い能力も向上しています。
売上高、営業利益、純利益の情報
項目 | 前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) |
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売上高 | 3,986,681 | 4,207,000 |
営業利益 | 65,148 | 47,636 |
純利益 | 36,104 | 38,098 |
トレンド分析
- 売上高: 増加(前年度比 +220,319百万円、増減率約5.5%)
- 営業利益: 減少(前年度比 -17,512百万円、減少率約26.9%)
- 純利益: 増加(前年度比 +1,994百万円、増減率約5.5%)
営業利益率と純利益率の計算
営業利益率の計算
営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。
- 連結売上高: 3兆6,104億円(3,610,400百万円)
- 営業利益: 連結経常損益は5,092億円(509,200百万円)ですが、営業利益はこの数値から営業外収益や費用を除いたものになります。具体的な営業利益の数値は記載されていないため、経常利益を営業利益として仮定します。
営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100 = (509,200 / 3,610,400) × 100 ≈ 14.1%
純利益率の計算
純利益率は、当期純利益を売上高で割ったものです。
過去との比較
- 前連結会計年度の連結売上高: 3兆6,104億円(3,610,400百万円)
- 前連結会計年度の経常利益: 4,441億円(444,100百万円)の増益となったため、前年度の経常利益はおそらく647億円(509,200 - 444,100)であると推測されます。
前連結会計年度の営業利益率は、仮に営業利益が647億円であった場合:
営業利益率 = (647,000 / 3,610,400) × 100 ≈ 17.9%
トレンドの分析
- 営業利益率: 当連結会計年度: 約14.1%、前連結会計年度: 約17.9%(減少しています)。
- 純利益率: 当期純利益の具体的な数値が不明なため、純利益率のトレンドは示せませんが、経常利益が増加していることから、純利益も増加している可能性があります。
結論
- 営業利益率は前年度から減少しており、収益性において懸念があることが示唆されます。
- 純利益率については具体的な数値が不明なため、詳細な分析はできませんが、経常利益の増加はポジティブな要素です。
未払廃炉拠出金と顧客との契約から生じた収益の分解情報
報告セグメントごとの売上高
セグメント | 売上高(百万円) |
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ミライズ | 2,989,151 |
パワーグリッド | 586,813 |
JERA | 0 |
合計 | 3,575,964 |
セグメント利益又は損失
セグメント | セグメント利益(百万円) |
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ミライズ | 64,851 |
パワーグリッド | 7,034 |
JERA | -24,249 |
合計 | 47,636 |
セグメント資産
セグメント | セグメント資産(百万円) |
---|---|
ミライズ | 525,938 |
パワーグリッド | 2,288,070 |
JERA | 1,096,596 |
合計 | 3,910,605 |
退職給付債務の期首残高
項目 | 金額(百万円) |
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退職給付債務の期首残高 | 461,749 |
勤務費用 | 14,198 |
利息費用 | 3,764 |
退職給付の支払額 | 469 |
過去勤務費用の発生額 | -31,083 |
その他 | 1,233 |
退職給付債務の期末残高 | 450,290 |
売却益と売却損の合計額
項目 | 前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) |
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売却益 | 49,050 | 14,765 |
売却損 | 45,113 | 9,136 |
結論
中部電力株式会社の2023年度の有価証券報告書に基づいて、企業の財務状況や業績を理解するために重要な情報が提供されました。特に、各セグメントの売上高や利益、資産、負債の状況を把握することができ、今後の事業計画やリスク要因についても考慮する必要があります。