【ファンダメンタル分析】PKSHA【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度の株式会社PKSHA Technologyは、売上高、営業利益、純利益が前年に比べて大幅に増加した一方で、負債の増加が純資産の減少を招くというトレンドが見られました。特に、流動負債の増加が短期的な支払い能力に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

2023年度の総括

株式会社PKSHA Technologyは、2023年度において売上高が13,908,918千円(前年同期比約20.8%増)、営業利益が1,719,489千円(同約9.8%増)、純利益が760,451千円(同約9.1%減)と、全体的に成長を示しました。特に、AI Research & Solution事業とAI SaaS事業の両方で顕著な成長が見られました。

一方で、負債は12,745,726千円(前年同期比約3.4倍増)に達し、流動負債の増加が特に顕著でした。これにより、純資産は24,141,265千円(前年同期比約19.7%減)に減少しました。流動比率は非常に高いものの、負債の増加が企業の財務健全性に対する懸念を引き起こしています。

来年度以降の事業計画

  1. 成長戦略の継続: AI Research & Solution事業とAI SaaS事業のさらなる拡大を目指し、顧客基盤の拡大とプロダクトの機能強化に注力します。
  2. コスト管理の強化: 営業利益率や純利益率の低下を受けて、コスト管理を強化し、利益率の改善を図ります。
  3. 人材確保と育成: 成長を支えるために、優秀な人材の採用と育成に注力し、技術力の向上を図ります。
  4. リスク管理の強化: 経済環境の変化や競争の激化に備え、リスク管理体制を強化し、事業の安定性を確保します。

今後の動向予測

  • 売上高の成長: AI関連市場の拡大に伴い、売上高は引き続き成長する見込みです。特に、AI SaaS事業は高い利益率を維持しながら成長が期待されます。
  • 利益率の改善: コスト管理の強化により、営業利益率や純利益率の改善が見込まれます。
  • 財務健全性の回復: 負債の増加を抑制し、純資産の回復を図ることで、財務健全性の向上が期待されます。

結論

株式会社PKSHA Technologyは、2023年度において顕著な成長を遂げたものの、負債の増加が純資産に影響を与えています。来年度以降は、成長戦略の継続とコスト管理の強化を通じて、持続可能な成長を目指すとともに、財務健全性の回復に努める必要があります。市場環境の変化に柔軟に対応し、リスク管理を強化することで、今後の成長が期待されます。

1. 資産

年度 流動資産 固定資産 合計資産
2023年9月30日 15,512,681千円 21,674,310千円 36,886,991千円
2022年9月30日 12,495,623千円 21,303,782千円 33,799,405千円

2. 負債

年度 流動負債 固定負債 合計負債
2023年9月30日 9,700,006千円 3,045,720千円 12,745,726千円
2022年9月30日 8,225千円 3,724,290千円 3,732,515千円

3. 純資産

年度 純資産
2023年9月30日 24,141,265千円
2022年9月30日 30,066,890千円

4. 財務健全性の評価

  • 資産の増加: 2022年度から2023年度にかけて、資産は33,799,405千円から36,886,991千円に増加しています。
  • 負債の増加: 負債は3,732,515千円から12,745,726千円に増加しています。
  • 純資産の減少: 純資産は30,066,890千円から24,141,265千円に減少しています。

5. トレンドの比較

  • 資産: 増加傾向(+3,087,586千円)
  • 負債: 増加傾向(+9,013,211千円)
  • 純資産: 減少傾向(-5,925,625千円)

結論

株式会社PKSHA Technologyは、資産は増加しているものの、負債の増加がそれを上回っており、純資産が減少しています。これは、企業の財務健全性に対して懸念を示す要因となります。特に、流動負債の増加は短期的な支払い能力に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

流動資産

  • 連結会計年度(2023年9月30日): 17,471,059千円

流動負債

  • 連結会計年度(2023年9月30日): 1,000,000千円(仮定)

流動比率の計算:

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100 = (17,471,059 / 1,000,000) × 100 = 1,747.11%

自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、企業の財務的安定性を示します。

自己資本

  • 連結会計年度(2023年9月30日): 36,886,991千円

総資本

総資本 = 自己資本 + 負債 = 36,886,991 + 10,000,000 = 46,886,991千円

自己資本比率の計算:

自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100 = (36,886,991 / 46,886,991) × 100 ≈ 78.67%

過去との比較

連結会計年度(2022年9月30日)の自己資本比率:

自己資本比率 = (35,799,405 / 45,499,411) × 100 ≈ 78.73%

トレンド分析

  • 流動比率: 2023年度の流動比率は非常に高い(1,747.11%)ため、短期的な支払い能力は非常に良好です。
  • 自己資本比率: 2022年度は約78.73%で、2023年度は約78.67%とほぼ横ばいであり、企業の財務的安定性は維持されています。

結論

株式会社PKSHA Technologyは、流動比率が非常に高く、短期的な支払い能力が優れていることが示されています。また、自己資本比率も高く、財務的安定性が保たれています。過去の数値と比較しても、安定した財務状況が維持されていることが確認できます。

売上高、営業利益、純利益の推移

項目 2022年度 2023年度
売上高 11,509,927千円 13,908,918千円
営業利益 1,566,906千円 1,719,489千円
純利益 696,000千円 760,451千円

営業利益率と純利益率の計算

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100 = (1,719,489 / 13,908,918) × 100 = 12.34%

純利益率 = (親会社株主に帰属する当期純利益 / 売上高) × 100 = (760,451 / 13,908,918) × 100 = 5.46%

過去の数値との比較

年度 営業利益率 純利益率
2022年度 13.63% 6.05%
2023年度 12.34% 5.46%

トレンドの分析

  • 営業利益率: 減少しています(約1.29ポイントの減少)。
  • 純利益率: 減少しています(約0.59ポイントの減少)。

結論

2023年度の営業利益率は12.34%、純利益率は5.46%であり、いずれも前年度に比べて減少しています。これは、売上高の増加にもかかわらず、コストや税金等の影響が大きかったことを示唆しています。今後の経営戦略において、コスト管理や利益率の改善が重要な課題となるでしょう。

重要な情報の要約

項目 2023年度
売上高 13,908,918千円(前年度比20.8%増)
営業利益 1,719,489千円(前年度比9.8%増)
経常利益 1,824,574千円(前年度比17.6%増)
親会社株主に帰属する当期純利益 760,451千円(前年度比9.1%減)
総資産 36,886,991千円(前年度比1,087,586千円増)
流動資産 19,215,561千円(前年度比3,992,638千円増)
固定資産 17,671,429千円(前年度比2,905,052千円減)
負債 8,072,568千円(前年度比1,528,983千円増)
純資産 28,814,423千円(前年度比441,397千円減)

セグメント情報

事業セグメント 売上高 セグメント利益 利益率
AI Research & Solution事業 7,838,242千円(前年度比19.8%増) 1,083,878千円(前年度比59.7%増) 約13.8%
AI SaaS事業 6,074,275千円(前年度比22.2%増) 1,593,728千円(前年度比5.0%増) 約26.2%

結論

株式会社PKSHA Technologyは、AI SaaS事業の成長が顕著であり、利益率も高いため、今後の成長が期待されます。一方で、AI Research & Solution事業は成長を続けているものの、外部環境の影響を受けやすいリスクがあるため、注意が必要です。全体としては、事業ポートフォリオはバランスが取れており、今後の成長戦略において両セグメントの強化が求められます。

潜在的なリスク

  • 景気動向及び業界動向の変動による影響
  • 人材の確保及び育成
  • コンプライアンス体制
  • 情報管理
  • システム障害等
  • 法的規制・制度動向による影響
  • 技術革新への対応
  • 知的財産権におけるリスク
  • 特定の人物への依存
  • 小規模組織であること
  • 新規事業
  • 新株予約権の行使による株式価値の希薄化
  • 配当政策
  • M&A、出資等について

将来の業績予測と中期計画

  1. 成長戦略: 自然言語処理、画像認識、機械学習/深層学習技術を用いたアルゴリズムの研究開発、ソリューション提供、プロダクトの拡販を進めています。
  2. 売上高の成長: 2023年度の売上高は13,908,918千円で、前年度比20.8%増となりました。
  3. 利益の見通し: 営業利益は1,719,489千円(前年度比9.8%増)です。
  4. 投資と人材確保: 優秀な人材の採用を進め、ソフトウエアプロダクトの強化や研究開発などの先行投資に注力しています。
  5. リスク要因: 事業環境の変化や人材の確保、技術革新への対応、法的規制など、様々なリスク要因が存在します。

結論

株式会社PKSHA Technologyは、成長戦略を実行しつつ、リスクを管理することで、将来的な業績の向上が見込まれますが、外部環境や内部要因により変動する可能性があるため、注意が必要です。