はじめに総括
特記事項
2023年度の京成電鉄株式会社は、売上高と営業利益が前年と同水準で安定している一方、純利益が大幅に増加したことが特筆されます。特に、純利益は前年の25億7千5百万円から67億7千11百万円に増加し、業績改善が顕著です。
2023年度の総括
京成電鉄株式会社は、2023年度において以下のような財務状況を示しました。
- 資産の増加: 有形固定資産が769,788百万円から794,275百万円に増加し、企業の投資活動が活発であることを示しています。
- 負債の増加: 流動負債と固定負債が共に増加し、合計負債は685,370百万円から711,316百万円に増加しました。これは短期的および長期的な負債が増加していることを示唆しています。
- 純資産の増加: 純資産は410,945百万円から469,157百万円に増加し、企業の財務基盤が強化されています。
- 流動比率: 2024年3月31日現在の流動比率は約250.0%であり、短期的な支払い能力は依然として健全です。
- 自己資本比率: 約62.3%であり、企業の財務の安定性を示しています。
来年度以降の事業計画
京成電鉄は、中期経営計画「D1プラン」に基づき、2024年度の営業収益を3,390億円、営業利益を376億円とする目標を掲げています。これに向けて以下の施策が考えられます。
- 運輸業の強化: 新型コロナウイルスからの回復を背景に、運輸業の成長をさらに促進するための新サービスやプロモーションを展開することが期待されます。
- 流通業と不動産業のリスク管理: 流通業や不動産業の成長が鈍化しているため、これらのセグメントにおけるリスク管理や収益性の改善が求められます。
- ダイバーシティの推進: 人材育成において、性別や国籍に関わらない公正な採用選考を進め、組織の多様性を高めることが重要です。
今後の動向予測
- 業績の安定性: 売上高と営業利益が安定していることから、今後も安定した業績を維持する可能性が高いと考えられます。
- 純利益の増加: 純利益の大幅な増加は、今後も続く可能性があり、企業の成長を示す重要な指標となります。
- リスク要因の影響: 経済環境の変化や競争の激化が影響を及ぼす可能性があるため、これらのリスクを適切に管理することが求められます。
結論
京成電鉄株式会社は、2023年度において安定した業績を維持しつつ、純利益の大幅な増加を達成しました。来年度以降も運輸業の成長を中心に、リスク管理や人材育成に注力することで、持続的な成長が期待されます。
1. 資産
項目 | 2024年3月31日 | 2023年3月31日 |
---|---|---|
有形固定資産 | 794,275百万円 | 769,788百万円 |
無形固定資産 | 22,824百万円 | 22,824百万円 |
流動資産 | 161百万円 | 167百万円 |
2. 負債
項目 | 2024年3月31日 | 2023年3月31日 |
---|---|---|
流動負債 | 203,332百万円 | 188,833百万円 |
固定負債 | 508,984百万円 | 496,537百万円 |
合計負債 | 711,316百万円 | 685,370百万円 |
3. 純資産
項目 | 2024年3月31日 | 2023年3月31日 |
---|---|---|
純資産 | 469,157百万円 | 410,945百万円 |
4. トレンド分析
- 資産のトレンド: 有形固定資産は増加しており、流動資産は減少しています。
- 負債のトレンド: 流動負債と固定負債が共に増加しています。
- 純資産のトレンド: 純資産は増加しており、企業の利益が増加したことを示しています。
5. 財務健全性の評価
- 資産対負債比率: 資産が負債を上回っており、財務的には健全であると評価できます。
- 純資産比率: 自己資本比率は高く、企業の財務の安定性を示しています。
結論
京成電鉄株式会社は、資産が増加し、負債も増加しているものの、純資産が大きく増加しているため、全体的に財務健全性は良好であると評価できます。
流動比率と自己資本比率の計算
1. 流動比率の計算
流動資産: 508,984百万円、流動負債: 203,332百万円
流動比率 = (508,984 / 203,332) × 100 ≈ 250.0%
2. 自己資本比率の計算
自己資本: 469,157百万円、総資本: 752,768百万円
自己資本比率 = (469,157 / 752,768) × 100 ≈ 62.3%
3. 過去との比較
流動比率は減少傾向にあり、自己資本比率もわずかに減少していますが、依然として健全な水準です。
売上高、営業利益、純利益の推移
項目 | 2024年度 | 2023年度 |
---|---|---|
売上高 | 1,803億6千万円 | 1,803億6千万円 |
営業利益 | 119億6千7百万円 | 119億6千7百万円 |
純利益 | 67億7千11百万円 | 25億7千5百万円 |
営業利益率と純利益率の計算
1. 営業利益率の計算
営業利益率 = (営業利益 / 営業収益) × 100
前連結会計年度: 営業利益率 ≈ 8.50%
当連結会計年度: 営業利益率 ≈ 7.66%
2. 純利益率の計算
純利益率 = (親会社株主に帰属する当期純利益 / 営業収益) × 100
前連結会計年度: 純利益率 ≈ 29.54%
当連結会計年度: 純利益率 ≈ 26.67%
3. トレンドの比較
営業利益率と純利益率の両方が前年度に比べて減少していることがわかります。
営業活動によるキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、600億4千5百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ128億6百万円の収入増となりました。
各事業セグメントの収益や利益率の動向
事業セグメント | 売上高 | 営業利益 | 利益率 |
---|---|---|---|
運輸業 | 1,803億6千万円 | 119億6千7百万円 | 約6.64% |
流通業 | 445億円 | 33億5千万円 | 約7.52% |
不動産業 | 56億2千万円 | 4億5千万円 | 約7.99% |
レジャー・サービス業 | 60億7千万円 | 8億5千万円 | 約14.01% |
建設業 | 70億8千万円 | 5億2千万円 | 約7.36% |
新規事業セグメントの参入について
有価証券報告書には、新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載はありません。
リスク要因の評価
- 機密情報の漏洩リスク
- 旅客需要の変動リスク
- 不適切な顧客対応リスク
- 重要な提携先や取引先のリスク
- 関係会社の業績悪化リスク
健全な財務体質の維持
項目 | 2024年度 | 2023年度 |
---|---|---|
資産合計 | 1兆642億2百万円 | 前期比10.2%増 |
負債合計 | 5,950億4千4百万円 | 前期比7.3%増 |
純資産合計 | 4,691億5千7百万円 | 前期比14.2%増 |
自己資本比率 | 42.4% | 前期比1.5ポイント増 |
コーポレート・ガバナンスの強化
取締役会の構成: 取締役会は15名(社外取締役6名を含む)
取締役の任期: 1年
取締役の定数: 20名以内
人材
ダイバーシティの推進
役員の性別比率: 男性17名、女性3名(女性の比率15.0%)
チャレンジする人材の育成
施策: 性別や国籍によらない公正な採用選考、キャリアパス設定、管理職登用の取り組み
中期経営計画
中期経営計画「D1プラン」(2022〜2024年度)
- 営業収益(2024年度計画): 3,390億円
- 営業利益(2024年度計画): 376億円
- 営業利益率(2024年度計画): 11.1%
- EBITDA倍率(2024年度計画): 5.4倍
目標達成の可能性
経済環境: 新型コロナウイルスの影響からの回復が見込まれるが、少子高齢化や国際情勢の影響で先行き不透明。
施策の推進: 各種施策を着実に推進することで中長期的な成長を目指す。
リスク要因: 事業環境の変化や競争の激化が影響を及ぼす可能性がある。
配当履歴と配当政策
項目 | 配当額 | 配当性向 |
---|---|---|
行使時配当額 | 21.00円 | 約2.11% |