【ファンダメンタル分析】清水建設【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度の清水建設株式会社は、売上高が増加したものの、営業利益と純利益が減少するというトレンドが見られました。特に、営業損失が拡大している点が注目されます。

2023年度の総括

清水建設株式会社は、2023年度において売上高が2,005,518百万円と前年の1,933,814百万円から増加しましたが、営業利益は-52,415百万円と前年の-49,535百万円から悪化しました。純利益も17,163百万円と前年の49,057百万円から大幅に減少しています。このような状況は、コストの増加や市場環境の変化が影響していると考えられます。

資産合計は2,448,010百万円、負債合計は1,540,732百万円、純資産は907,277百万円であり、資産対負債比率は約1.59と安定した水準を維持していますが、純資産の減少が懸念されます。流動比率は342.5%と高く、短期的な支払い能力は改善されていますが、自己資本比率は27.6%とほぼ横ばいであり、長期的な安定性には課題が残ります。

来年度以降の事業計画

清水建設は、2024年度から2026年度にかけての中期経営計画を策定しており、持続的成長に向けた経営基盤の強化を目指しています。具体的な施策としては以下が挙げられます。

  1. 建設事業の収益性向上: 高収益な事業体質への転換を図り、生産体制の再構築を進める。
  2. 不動産開発事業の拡大: 事業規模の拡大と収益の安定化を目指す。
  3. フロンティア事業の推進: 宇宙開発や海洋開発など新たな市場への進出を図る。
  4. サステナビリティの強化: 環境ビジョンに基づき、2050年までに自社活動が環境に与える負の影響をゼロにすることを目指す。

今後の動向予測

清水建設は、持続的成長を目指す中で、以下のような動向が予測されます。

  • 収益性の改善: 建設事業の収益性向上に向けた取り組みが実を結べば、営業利益の改善が期待されます。
  • 新規事業の成長: フロンティア事業やグリーンエネルギー開発事業が成功すれば、将来的な収益源としての役割を果たす可能性があります。
  • 市場環境の変化への対応: 経済環境や市場の変化に柔軟に対応することで、競争力を維持し、成長を続けることができるでしょう。

結論

清水建設株式会社は、2023年度において売上高は増加したものの、営業利益と純利益が減少する厳しい状況に直面しています。今後の中期経営計画に基づく取り組みが成功すれば、収益性の改善や新規事業の成長が期待されますが、外部環境や市場の変化に対する柔軟な対応が求められます。

1. 資産

会計年度 流動資産合計 固定資産合計 資産合計
連結会計年度(2024年3月31日) 1,453,897百万円 994,112百万円 2,448,010百万円
連結会計年度(2023年3月31日) 1,470,680百万円 903,841百万円 2,538,769百万円

2. 負債

会計年度 流動負債合計 固定負債合計 負債合計
連結会計年度(2024年3月31日) 1,086,086百万円 454,646百万円 1,540,732百万円
連結会計年度(2023年3月31日) 1,188,396百万円 402,313百万円 1,590,709百万円

3. 純資産

会計年度 純資産合計
連結会計年度(2024年3月31日) 907,277百万円
連結会計年度(2023年3月31日) 948,059百万円

4. トレンド分析

資産のトレンド

資産合計は、2023年度の2,538,769百万円から2024年度の2,448,010百万円に減少しています。流動資産は若干の減少が見られ、固定資産は増加しています。

負債のトレンド

負債合計は、2023年度の1,590,709百万円から2024年度の1,540,732百万円に減少しています。流動負債は減少し、固定負債も増加しています。

純資産のトレンド

純資産は、2023年度の948,059百万円から2024年度の907,277百万円に減少しています。これは、当期純利益の減少や自己株式の取得が影響している可能性があります。

5. 財務健全性の評価

資産対負債比率

2024年度: 2,448,010百万円(資産) / 1,540,732百万円(負債) = 約1.59

2023年度: 2,538,769百万円(資産) / 1,590,709百万円(負債) = 約1.60

資産対負債比率はほぼ横ばいであり、企業の財務健全性は維持されています。

純資産比率

2024年度: 907,277百万円(純資産) / 2,448,010百万円(資産) = 約37.05%

2023年度: 948,059百万円(純資産) / 2,538,769百万円(資産) = 約37.39%

純資産比率も若干の減少が見られますが、依然として健全な水準です。

結論

清水建設株式会社は、資産と負債のバランスを保ちながら、財務健全性を維持していますが、純資産の減少が見られるため、今後の業績改善が求められます。

6. 流動比率自己資本比率の計算

流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

流動資産(2024年3月31日): 1,453,897百万円

流動負債(2024年3月31日): 424,343百万円

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100 = (1,453,897 / 424,343) × 100 ≈ 342.5%

自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、企業の財務的安定性を示します。

自己資本(2024年3月31日): 702,081百万円

総資本(2024年3月31日): 2,538,769百万円

自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100 = (702,081 / 2,538,769) × 100 ≈ 27.6%

過去との比較トレンド

流動比率の過去データ

流動資産(2023年3月31日): 1,316,819百万円

流動負債(2023年3月31日): 424,343百万円

流動比率(2023年) = (1,316,819 / 424,343) × 100 ≈ 310.5%

自己資本比率の過去データ

自己資本(2023年3月31日): 677,206百万円

総資本(2023年3月31日): 2,448,010百万円

自己資本比率(2023年) = (677,206 / 2,448,010) × 100 ≈ 27.7%

トレンド分析

流動比率は2023年度は310.5%から2024年度は342.5%に上昇しています。これは、流動資産が増加したことを示しており、短期的な支払い能力が改善されたことを示唆しています。

自己資本比率は2023年度は27.7%から2024年度は27.6%にわずかに減少していますが、ほぼ横ばいです。これは、自己資本の増加が総資本の増加に追いついていないことを示しています。

結論

短期的な支払い能力は改善されていますが、長期的な支払い能力にはさらなる改善が望まれます。

7. 売上高、営業利益、純利益の推移

売上高

連結会計年度(2023年3月31日): 1,933,814百万円

連結会計年度(2024年3月31日): 2,005,518百万円

営業利益

営業利益は以下の計算式で求めます。

営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費

売上原価

連結会計年度: 1,416,879百万円(建設事業) + 88,787百万円(投資開発事業) + 140,752百万円(道路舗装事業) + 287,394百万円(その他) = 1,933,814百万円

連結会計年度: 1,420,212百万円(建設事業) + 82,354百万円(投資開発事業) + 143,496百万円(道路舗装事業) + 359,455百万円(その他) = 2,005,518百万円

販売費及び一般管理費

連結会計年度: 34,867百万円(従業員給料手当) + 1,913百万円(退職給付費用) + 12,755百万円(研究開発費) = 49,535百万円

連結会計年度: 36,141百万円(従業員給料手当) + 1,751百万円(退職給付費用) + 14,523百万円(研究開発費) = 52,415百万円

営業利益の計算

連結会計年度: 売上高: 1,933,814百万円, 売上原価: 1,933,814百万円, 販売費及び一般管理費: 49,535百万円, 営業利益 = 1,933,814 - 1,933,814 - 49,535 = -49,535百万円(営業損失)

連結会計年度: 売上高: 2,005,518百万円, 売上原価: 2,005,518百万円, 販売費及び一般管理費: 52,415百万円, 営業利益 = 2,005,518 - 2,005,518 - 52,415 = -52,415百万円(営業損失)

純利益

連結会計年度: 49,057百万円(親会社株主に帰属する当期純利益

連結会計年度: 17,163百万円(親会社株主に帰属する当期純利益

トレンド

売上高は増加(1,933,814百万円 → 2,005,518百万円)、営業利益は営業損失が拡大(-49,535百万円 → -52,415百万円)、純利益は減少(49,057百万円 → 17,163百万円)しています。

8. 営業利益率と純利益率の計算

営業利益率の計算

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100

連結会計年度(2024年3月31日): 売上高: 2,005,518百万円, 営業利益: -52,415百万円, 営業利益率 = (-52,415 / 2,005,518) × 100 ≈ -2.61%

連結会計年度(2023年3月31日): 売上高: 1,933,814百万円, 営業利益: -49,535百万円, 営業利益率 = (-49,535 / 1,933,814) × 100 ≈ -2.56%

純利益率の計算

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100

連結会計年度(2024年3月31日): 売上高: 2,005,518百万円, 当期純利益: 17,163百万円, 純利益率 = (17,163 / 2,005,518) × 100 ≈ 0.86%

連結会計年度(2023年3月31日): 売上高: 1,933,814百万円, 当期純利益: 49,057百万円, 純利益率 = (49,057 / 1,933,814) × 100 ≈ 2.54%

トレンドの比較

営業利益率は前年から改善され、企業の営業効率が向上していることを示しています。一方で、純利益率は前年から大幅に減少しており、これは当期純利益が売上高に対して相対的に低下していることを示しています。

9. 営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益335億円を計上しましたが、仕入債務の減少などにより212億円の資金減少が発生しています。この結果、営業活動が現金を生成しているかどうかは、税金等調整前当期純利益がプラスであるものの、実際には資金が減少しているため、現金の生成には課題があると評価できます。

10. 事業セグメントの収益状況

建設事業

売上高: 1,420,212百万円, セグメント利益: 20,795百万円, 利益率: 約1.46%

投資開発事業

売上高: 82,354百万円, セグメント利益: 27,581百万円, 利益率: 約33.5%

道路舗装事業

売上高: 143,496百万円, セグメント利益: 7,833百万円, 利益率: 約5.45%

その他

売上高: 359,455百万円, セグメント利益: 27,951百万円, 利益率: 約7.77%

11. 新規に参入した事業セグメント

有価証券報告書には、新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載はありません。ただし、清水建設株式会社は、既存の事業において「フロンティア事業」として宇宙開発、海洋開発、自然共生の3分野における技術開発と事業モデルの確立・収益化を目指していることが記載されています。

12. 潜在的なリスク要因

  • 法令違反リスク
  • 中長期的な担い手不足リスク
  • 経済環境の変動
  • 気候変動リスク
  • 資材価格の変動

13. 中期経営計画〈2024‐2026〉の概要

基本方針: 持続的成長に向けた経営基盤の強化

経営課題:

  1. 戦略実行力の向上を目指した経営基盤強化
  2. 収益力の向上と技術・品質確保に向けた事業戦略・グローバル展開の着実な実行
  3. 強みと先行投資成果の活用、多様化するお客様・社会の本質的ニーズの実現

14. 配当履歴と配当政策

2023年度の1株当たり配当金: 66.29円

2022年度の1株当たり配当金: 23.57円

配当性向: 2023年度の配当性向は約2.73%、2022年度は約0.36%です。

結論

清水建設は、持続的成長を目指しつつ、株主還元にも力を入れていることが分かります。配当金の増加と配当性向の上昇は、株主に対する姿勢の変化を示しており、今後の成長に期待が持てる企業と言えるでしょう。