はじめに総括
特記事項
2023年度の株式会社ディー・エヌ・エーは、売上高は微増したものの、営業利益と純利益が大幅に減少し、特に当年度は純損失を計上しました。このことは、企業の経営成績において重要な変動を示しています。
2023年度の総括
2023年度の株式会社ディー・エヌ・エーは、以下のような財務状況と業績を示しました。
1. 資産と負債の状況
項目 | 金額(百万円) | 前年度比 |
---|---|---|
総資産 | 136,733 | 1,819増 |
総負債 | 154,622 | 1,622増 |
純資産 | 18,930 | 16増 |
2. 利益の状況
項目 | 金額(百万円) | 前年度比 |
---|---|---|
売上高 | 136,733 | 1.3%増 |
営業利益 | 343 | 大幅減 |
純利益 | -30,187 | 前年度は8,661百万円の黒字 |
3. 流動比率と自己資本比率
項目 | 金額 | 前年度比 |
---|---|---|
流動比率 | 210.8% | 229.0%から減少 |
自己資本比率 | 75.3% | 76.7%から減少 |
来年度以降の事業計画
株式会社ディー・エヌ・エーは、以下のような事業計画を立てています。
- 事業ポートフォリオの見直し
- ゲーム事業の依存度を減らし、ライブストリーミング事業やスポーツ事業の成長を促進する。
- ヘルスケア・メディカル事業や新規事業への投資を強化し、収益基盤の多様化を図る。
- コスト管理の強化
- 営業利益の減少を受けて、コスト削減策を講じ、利益率の改善を目指す。
- リスク管理の強化
- 法的規制や個人情報保護に関するリスクを適切に管理し、企業の信頼性を向上させる。
今後の動向予測
- 売上高の回復
ライブストリーミング事業やスポーツ事業の成長が期待されるため、売上高は徐々に回復する可能性がある。
- 利益の改善
コスト管理の強化により、営業利益の改善が見込まれるが、短期的には依然として厳しい状況が続く可能性がある。
- 資産と負債のバランス
負債の増加が続く場合、将来的なリスクが懸念されるため、資産の増加を維持しつつ、負債の管理が重要となる。
結論
株式会社ディー・エヌ・エーは、2023年度において厳しい経営環境に直面しましたが、事業ポートフォリオの見直しやコスト管理の強化を通じて、来年度以降の回復を目指しています。特に、ライブストリーミング事業やスポーツ事業の成長が鍵となるでしょう。今後の動向に注目し、適切なリスク管理を行うことが求められます。
資産、負債、純資産の構成とそのトレンドの分析
1. 資産
年度 | 総資産(百万円) |
---|---|
当事業年度(2024年3月31日) | 136,733 |
前事業年度(2023年3月31日) | 134,914 |
トレンド分析: 資産は前年度から増加しており、2023年度から2024年度にかけて1,819百万円の増加が見られます。
2. 負債
年度 | 総負債(百万円) |
---|---|
当事業年度(2024年3月31日) | 154,622 |
前事業年度(2023年3月31日) | 153,000 |
トレンド分析: 負債も増加しており、2023年度から2024年度にかけて1,622百万円の増加が見られます。
3. 純資産
年度 | 純資産(百万円) |
---|---|
当事業年度(2024年3月31日) | 18,930 |
前事業年度(2023年3月31日) | 18,914 |
トレンド分析: 純資産は微増しており、2023年度から2024年度にかけて16百万円の増加が見られます。
まとめ
資産は増加傾向にあり、負債も同様に増加していますが、純資産はわずかに増加しています。全体として、企業の財務健全性は維持されているものの、負債の増加が資産の増加を上回る場合、将来的なリスクが懸念される可能性があります。
流動比率と自己資本比率の計算
1. 流動比率の計算
流動比率は以下の式で計算されます。
流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100
2. 自己資本比率の計算
自己資本比率は以下の式で計算されます。
自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100
数値の抽出
流動資産と流動負債
- 流動資産: 63,438百万円(2024年3月31日)
- 流動負債: 30,071百万円(2024年3月31日)
自己資本
- 自己資本: 91,534百万円(2024年3月31日)
総資本
- 総資本: 流動負債 + 自己資本 = 30,071百万円 + 91,534百万円 = 121,605百万円(2024年3月31日)
計算
流動比率
流動比率 = (63,438 / 30,071) × 100 ≈ 210.8%
自己資本比率
自己資本比率 = (91,534 / 121,605) × 100 ≈ 75.3%
過去との比較
過去の数値を比較するために、2023年3月31日の流動資産、流動負債、自己資本の数値を確認します。
過去の流動比率
流動比率(2023年) = (63,162 / 27,566) × 100 ≈ 229.0%
過去の自己資本比率
自己資本比率(2023年) = (91,125 / 118,691) × 100 ≈ 76.7%
トレンド
結論
流動比率は減少しており、短期的な支払い能力が若干低下していることを示しています。自己資本比率も減少しており、全体的な資本構成において自己資本の割合が少し低下しています。
売上高、営業利益、純利益の推移
売上高
営業利益の計算
営業利益は以下の式で計算されます:
営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費
- 前連結会計年度の売上原価: 70,825百万円
- 前連結会計年度の販売費及び一般管理費: 59,957百万円
- 営業利益(前連結会計年度): 134,914 - 70,825 - 59,957 = 4,132 百万円
- 当連結会計年度の売上原価: 75,743百万円
- 当連結会計年度の販売費及び一般管理費: 60,648百万円
- 営業利益(当連結会計年度): 136,733 - 75,743 - 60,648 = 343 百万円
純利益の計算
純利益は以下の式で計算されます:
純利益 = 税引前当期利益 - 法人税等 + 法人税等調整額
まとめ
- 売上高: 前連結会計年度: 134,914百万円, 当連結会計年度: 136,733百万円
- 営業利益: 前連結会計年度: 4,132百万円, 当連結会計年度: 343百万円
- 純利益: 前連結会計年度: 8,661百万円, 当連結会計年度: -30,187百万円
トレンド: 売上高は微増(1.3%増)しましたが、営業利益と純利益は大幅に減少しました。特に、当連結会計年度は純損失を計上しており、経営成績に厳しい状況が見受けられます。
営業利益率と純利益率の計算
1. 営業利益率の計算
- 前連結会計年度(2023年3月31日): 営業利益: 13,595百万円, 売上収益: 134,914百万円
- 営業利益率 = (営業利益 / 売上収益) × 100 ≈ 10.09%
- 当連結会計年度(2024年3月31日): 営業損失: -28,130百万円, 売上収益: 136,733百万円
- 営業利益率 = (営業利益 / 売上収益) × 100 ≈ -20.55%
2. 純利益率の計算
- 前連結会計年度(2023年3月31日): 税引前当期利益: 13,595百万円, 法人所得税費用: 4,934百万円
- 純利益 = 税引前当期利益 - 法人所得税費用 = 8,661百万円
- 純利益率 = (純利益 / 売上収益) × 100 ≈ 6.43%
- 当連結会計年度(2024年3月31日): 税引前当期損失: -28,130百万円, 法人所得税費用: 2,057百万円
- 純利益 = 税引前当期利益 - 法人所得税費用 = -30,187百万円
- 純利益率 = (純利益 / 売上収益) × 100 ≈ -22.08%
トレンドの比較
- 営業利益率: 前年度: 約10.09%, 当年度: 約-20.55%
- 純利益率: 前年度: 約6.43%, 当年度: 約-22.08%
トレンド: 営業利益率と純利益率がともに悪化しており、特に当年度は営業損失と純損失が発生しています。
営業活動によるキャッシュフロー
- 営業活動の結果使用した資金: 10,839百万円(前年同期は10,808百万円の収入)
営業活動によるキャッシュフローがマイナスであることから、株式会社ディー・エヌ・エーは2023年度において事業活動から現金を生成できていない状況にあります。
各セグメントの売上高や利益率の動向
1. 各セグメントの売上高
セグメント | 2022年度(百万円) | 2023年度(百万円) |
---|---|---|
ゲーム事業 | 64,006 | 54,004 |
ライブストリーミング事業 | 40,106 | 42,579 |
スポーツ事業 | 20,958 | 27,271 |
ヘルスケア・メディカル事業 | 6,985 | 9,963 |
新規事業・その他 | 2,928 | 3,054 |
2. セグメント利益
セグメント | 2022年度(百万円) | 2023年度(百万円) |
---|---|---|
ゲーム事業 | 9,582 | 3,456 |
ライブストリーミング事業 | -572 | 339 |
スポーツ事業 | -23 | 2,125 |
ヘルスケア・メディカル事業 | -2,202 | -3,640 |
新規事業・その他 | -882 | -1,303 |
トレンド分析
ゲーム事業は、売上高が減少し、利益も大幅に減少しています。ライブストリーミング事業は、売上高が増加し、利益も改善しています。スポーツ事業は、売上高が増加し、利益も黒字化しています。ヘルスケア・メディカル事業は、売上高が増加していますが、利益は赤字が続いています。新規事業・その他も売上高が増加していますが、利益は赤字が続いています。
結論
全体として、ディー・エヌ・エーはゲーム事業の依存度を減らし、他の成長セグメントにシフトする必要があります。特に、ライブストリーミング事業やスポーツ事業の成長が見込まれるため、これらの分野への投資やリソースの配分が重要です。
新規事業セグメントやリスク要因
株式会社ディー・エヌ・エーは、成長に向けた挑戦として新サービスや新規事業に積極的に取り組んでいます。これにより、システム投資、不動産関連投資、広告宣伝費、人件費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービスや新規事業を開始した際には、その固有のリスク要因が加わるため、計画通りに進まない場合には投資を回収できず、経営成績に影響を与える可能性があります。
潜在的なリスク要因
- 法的規制に関するリスク
- 個人情報保護に関するリスク
- 第三者との係争リスク
- 知的財産権に関するリスク
- 海外事業に関するリスク
- 災害やシステム障害に関するリスク
- 気候変動に関するリスク
- 人的資源に関するリスク
これらのリスクは、企業の経営成績や事業展開に重大な影響を与える可能性があるため、適切なリスク管理体制の構築が求められます。
配当履歴や配当政策
1. 配当履歴
年度 | 1株当たり配当額(円) | 配当金の総額(百万円) |
---|---|---|
前連結会計年度(2022年) | 39 | 4,623 |
当連結会計年度(2023年) | 20 | 2,227 |
2. 配当政策
当社は期末配当のみを実施しており、配当の決定機関は株主総会です。配当金は、企業の利益状況や将来の成長戦略に基づいて決定されます。
3. 将来の配当予想
将来の配当予想は、2024年6月23日に決議される予定の配当金が1株当たり20円、配当金の総額が2,227百万円であることから、今後も同様の配当水準が維持される可能性があります。
4. 過去との比較トレンド
配当額は減少しており、今後の配当政策に注目が必要です。