【ファンダメンタル分析】コクヨ【有価証券報告書】

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コクヨ株式会社 2023年度総括

はじめに総括

特記事項

コクヨ株式会社は2023年度において、全体的に業績が改善し、特に営業利益が前年同期比で約24.6%増加したことが注目されます。また、流動比率が257.5%に上昇し、短期的な支払い能力が改善した一方で、自己資本比率は77.4%に減少しており、財務健全性に関しては注意が必要です。

2023年度の総括

コクヨ株式会社は2023年度において、売上高328,753百万円、営業利益23,830百万円、純利益19,069百万円を達成しました。売上高は前年から約9.2%増加し、営業利益は約24.6%の増加を示しています。特にファニチャー事業が成長を牽引し、営業利益の増加に寄与しました。流動資産と固定資産も増加し、資産合計は317,537百万円に達しましたが、負債も増加し、負債合計は162,625百万円となりました。

流動比率は257.5%に上昇し、短期的な支払い能力が改善したことは評価されますが、自己資本比率は77.4%に減少しており、財務的な安定性に対する懸念が残ります。

来年度以降の事業計画

コクヨは第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」に基づき、既存事業のブラッシュアップと新たな領域の拡大を目指しています。特に、ファニチャー事業の成長を維持しつつ、ビジネスサプライ流通事業やステーショナリー事業の収益性向上に注力する方針です。また、2050年カーボンニュートラルを目指し、サステナビリティへの取り組みを強化することも重要な戦略です。

今後の動向予測

  1. 成長の持続: ファニチャー事業の成長が続くと予測され、特にオフィス需要の回復が期待されます。2024年度も引き続き成長が見込まれ、売上高は350,000百万円を超える可能性があります。
  2. 収益性の改善: 営業利益率は7.24%から8%を目指すことが期待され、効率的な運営が進むことで、営業利益は25,000百万円を超える見込みです。
  3. リスク管理の強化: 経済環境の変化や原材料価格の高騰に対するリスク管理が重要であり、これに対する対策が講じられることで、安定した成長が期待されます。
  4. 株主還元の強化: 総還元性向50%以上を目指す方針により、配当金の増加が見込まれ、株主還元が強化されることで、株主の信頼を得ることが期待されます。

結論

コクヨ株式会社は2023年度において業績を改善し、今後も成長が期待される企業です。特にファニチャー事業の成長が鍵となり、効率的な運営とリスク管理が重要です。株主還元の強化も進められ、企業価値の向上が期待されます。

貸借対照表のトレンド

1. 資産

項目 2022年12月31日 2023年12月31日 増加額
流動資産 164,212百万円 180,544百万円 16,332百万円
固定資産 132,107百万円 136,993百万円 4,886百万円
資産合計 296,319百万円 317,537百万円 21,218百万円

2. 負債

項目 2022年12月31日 2023年12月31日 増加額
流動負債 60,473百万円 77,353百万円 16,880百万円
固定負債 72,995百万円 85,272百万円 12,277百万円
負債合計 133,468百万円 162,625百万円 29,157百万円

3. 純資産

項目 2022年12月31日 2023年12月31日 増加額
株主資本合計 194,772百万円 216,626百万円 21,854百万円
純資産合計 162,851百万円 154,912百万円 減少額: 7,939百万円

トレンドのまとめ

  • 資産: 増加しており、流動資産と固定資産の両方が増加しています。
  • 負債: 増加しており、流動負債と固定負債の両方が増加しています。
  • 純資産: 増加しているものの、負債の増加に伴い、純資産の増加率が負債の増加率に追いついていない状況です。

流動比率自己資本比率の計算

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率です。流動比率は、企業の短期的な支払い能力を示します。

流動資産(2023年12月31日): 85,533百万円

流動負債(2023年12月31日): 33,115百万円

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100 = (85,533 / 33,115) × 100 ≈ 257.5%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率です。自己資本比率は、企業の財務的安定性を示します。

自己資本(2023年12月31日): 253,426百万円

総資本(流動負債 + 固定負債 + 自己資本): 327,350百万円

自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100 = (253,426 / 327,350) × 100 ≈ 77.4%

3. 過去との比較トレンド

業績のトレンド

売上高

年度 売上高
2023年度 328,753百万円
2022年度 300,929百万円

トレンド: 売上高は前年から27,824百万円(約9.2%)増加しています。

営業利益

年度 営業利益
2023年度 23,832百万円
2022年度 19,128百万円

トレンド: 営業利益は前年から4,704百万円(約24.6%)増加しています。

純利益

年度 純利益
2023年度 19,283百万円
2022年度 18,421百万円

トレンド: 純利益は前年から862百万円(約4.7%)増加しています。

営業利益率と純利益率の計算

1. 営業利益率の計算

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100 = (238 / 3,287) × 100 ≈ 7.24%

2. 純利益率の計算

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100 = (190 / 3,287) × 100 ≈ 5.78%

3. 過去の数値との比較

  • 営業利益率: 2022年度: 約6.35% → 2023年度: 約7.24%(増加)
  • 純利益率: 2022年度: 約6.02% → 2023年度: 約5.78%(減少)

キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、347億円であり、前年同期比で251億円の収入増となっています。

事業セグメントの収益状況

事業セグメント 売上高 営業利益
ファニチャー事業 1,544億円(前年同期比14.5%増) 224億円(前年同期比35.9%増)
ビジネスサプライ流通事業 978億円(前年同期比2.6%増) 38億円(前年同期比19.1%増)
ステーショナリー事業 838億円(前年同期比6.9%増) 68億円(前年同期比0.2%増)
インテリアリテール事業 203億円(前年同期比3.2%増) 6億円(前年同期比35.8%減)

潜在的なリスク要因

  1. 経済環境の変化
  2. 原材料価格の高騰
  3. 顧客ニーズの変化
  4. 気候変動の影響
  5. 競争環境の変化

株主還元の姿勢

コクヨ株式会社は、2024年度に向けて株主還元の姿勢を強化し、配当性向を50%以上に設定しています。

配当性向と将来の配当予想

2024年度の配当金は、配当性向50%以上を基準にすると、82.80円以上が予想されます。

過去との比較トレンド

2022年度の配当金(推測値): 78.89円以上
2023年度の配当金(予想値): 82.80円以上
増加率: 約3.66%の増加