【ファンダメンタル分析】山九【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度の山九株式会社は、売上高が前年度比で減少した一方で、純利益は増加しました。このトレンドは、収益性の向上を示唆していますが、売上高の減少は注意が必要です。

2023年度の総括

山九株式会社は、2023年度において以下のような財務状況を示しました。

  1. 資産の増加:
    • 流動資産は2,617億66百万円(前年度比4.4%増)、固定資産は2,432億79百万円(前年度比5.3%増)で、総資産は5,050億45百万円となりました。特に、大型工事の完工による受取手形売掛金の増加が寄与しています。
  2. 負債の管理:
    • 流動負債は1,073億37百万円(前年度比8.1%減)で減少しましたが、固定負債は1,122億74百万円(前年度比21.7%増)で増加しています。これは社債や長期借入金の増加によるものです。
  3. 純資産の増加:
    • 純資産は2,854億33百万円(前年度比4.7%増)で、財務の健全性を示しています。自己資本比率は55.8%で高水準を維持しています。
  4. 業績のトレンド:
    • 売上高は563,547百万円(前年度579,226百万円、約2.9%減少)で、純利益は30,363百万円(前年度25,302百万円、約19.5%増加)しました。営業利益率は6.67%に上昇し、収益性が改善しています。

来年度以降の事業計画

山九株式会社は、中期経営計画2026を策定し、以下の目標を掲げています。

  1. 売上高目標: 2026年度までに売上高6,300億円以上を目指します。
  2. 営業利益率の向上: 営業利益率を6.7%以上に引き上げる計画です。
  3. 海外事業の拡大: 海外売上高を2021年度比で25%増加させることを目指しています。
  4. 成長投資: 中期4年間で1,000億円の成長投資を行い、150億円の人財投資を見込んでいます。
  5. 株主還元: 連結配当性向40%を維持し、総還元性向70%を目指します。

今後の動向予測

山九株式会社は、以下の要因に基づいて今後の動向を予測します。

  1. 市場環境の変化: 国内外の経済状況や需要の変動が業績に影響を与える可能性があります。特に、物流事業の需要が回復するかどうかが重要です。
  2. 人財の確保と育成: 労働力不足が続く中で、優秀な人材の確保と育成が成長の鍵となります。これに成功すれば、業績の向上が期待できます。
  3. 技術革新とDX推進: 生産性向上のための技術革新やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が、競争力を高める要因となります。
  4. リスク管理: 海外事業の展開に伴うリスク(為替変動、政治的リスクなど)を適切に管理することが、安定した成長に寄与します。

結論

山九株式会社は、2023年度において健全な財務状況を維持しつつ、収益性の向上を図っています。今後の事業計画に基づき、成長投資や人財投資を通じて持続的な成長を目指す姿勢が見られます。市場環境やリスク要因に柔軟に対応し、目標達成に向けた取り組みが重要です。

1. 資産

項目 金額 前年度比
流動資産 2,617億66百万円 111億37百万円(4.4%増)
固定資産 2,432億79百万円 122億46百万円(5.3%増)
総資産 5,050億45百万円  

2. 負債

項目 金額 前年度比
流動負債 1,073億37百万円 95億23百万円(8.1%減)
固定負債 1,122億74百万円 200億7百万円(21.7%増)
総負債 2,196億11百万円  

3. 純資産

項目 金額 前年度比
純資産 2,854億33百万円 129億円(4.7%増)

4. トレンド分析

資産のトレンド: 流動資産は前年より増加しており、特に大型工事の完工による受取手形売掛金及び契約資産の増加が要因です。固定資産も増加しており、主に時価の上昇に伴う投資有価証券の増加が寄与しています。

負債のトレンド: 流動負債は減少しており、未払法人税や未払消費税の減少が影響しています。一方、固定負債は増加しており、社債や長期借入金の増加が要因です。

純資産のトレンド: 純資産は前年より増加しており、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加が寄与しています。

5. 財務健全性の評価

自己資本比率: 55.8%(前年度比0.1ポイント減少)

自己資本比率は高水準を維持しており、財務の健全性は良好と評価されます。

6. 財務指標の分析

指標 計算方法 2023年度
流動比率 (流動資産 / 流動負債) × 100 243.4%
自己資本比率 (自己資本 / 総資本) × 100 56.5%

7. 売上高、営業利益、純利益の比較

項目 2023年度 2022年度
売上高 563,547百万円 579,226百万円
純利益 30,363百万円 25,302百万円

8. 結論

山九株式会社は、売上高は減少していますが、純利益は増加しており、収益性が向上していることが示唆されます。営業利益の詳細な数値が不明なため、より詳細な分析には追加情報が必要です。

9. 配当政策

山九株式会社は、配当性向を40%水準とし、将来的には安定した株主還元を目指しています。具体的な配当金額や過去の配当履歴についての詳細な数値は文書に記載されていないため、今後の利益予想に基づいて配当が決定されることが期待されます。