【ファンダメンタル分析】山崎製パン【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度の山崎製パン株式会社は、売上高、営業利益、経常利益、及び純利益のすべてにおいて前年より大幅な増加を記録しました。特に、営業利益は90.5%、純利益は143.9%の増加を示しており、企業の収益性が大きく改善したことが注目されます。

2023年度の総括

項目 金額 前年同期比
売上高 1兆1,755億62百万円 +9.2%
営業利益 419億62百万円 +90.5%
経常利益 455億26百万円 +74.2%
親会社株主に帰属する当期純利益 301億68百万円 +143.9%

これらの結果は、企業の成長戦略が奏功したことを示しており、特に営業利益と純利益の大幅な増加は、コスト管理や効率的な運営が寄与したと考えられます。

財務健全性

指標 数値 前年同期比
自己資本比率 49.9% +1.9%
流動比率 約104.0% わずかに減少

自己資本比率の増加は、企業の財務基盤が強化されていることを示し、流動比率も安定しているため、短期的な支払い能力も確保されています。

来年度以降の事業計画

  1. 新製品の開発: 健康志向や環境配慮型の製品を強化し、消費者ニーズに応える。
  2. コスト削減と効率化: 生産プロセスの見直しやIT化を進め、コスト削減を図る。
  3. 外市場の拡大: 海外事業の強化を図り、特にアジア市場への進出を加速する。
  4. サステナビリティの推進: 環境問題への対応を強化し、持続可能な経営を目指す。

今後の動向予測

  • 売上高の成長: 健康志向の高まりや新製品の投入により、売上高は引き続き成長する見込みです。2024年度も前年並みの成長率(約5-10%)を維持する可能性があります。
  • 利益率の改善: コスト管理の強化により、営業利益率や純利益率も改善が期待されます。特に、営業利益率は目標の4%以上を目指すことが予想されます。
  • 株主還元の強化: 業績の改善に伴い、配当金の増加や自社株買いなど、株主還元策が強化される可能性があります。

結論

山崎製パン株式会社は、2023年度において顕著な成長を遂げ、財務基盤も強化されました。今後の事業計画においては、新製品の開発や海外市場の拡大、コスト削減に注力し、持続可能な成長を目指すと考えられます。これにより、引き続き安定した業績を維持し、株主還元も期待できるでしょう。

1. 財務状況の概要

項目 金額 前年同期比
資産合計 802,035百万円 +44,004百万円
負債合計 355,902百万円 +5,769百万円
純資産合計 446,132百万円 +38,235百万円
自己資本比率 49.9% +1.9%
1株当たり純資産 1,942円85銭 +199円43銭

2. 借入金と流動性

借入金残高: 722,990百万円

営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、十分な流動性を確保している。

3. 過去との比較トレンド

項目 2022年末 2023年末 増加額
資産合計 758,031百万円 802,035百万円 +44,004百万円
負債合計 350,133百万円 355,902百万円 +5,769百万円
純資産合計 407,897百万円 446,132百万円 +38,235百万円

4. 経営成績

項目 金額 前年同期比
売上高 1兆1,755億62百万円 +9.2%
営業利益 419億62百万円 +90.5%
経常利益 455億26百万円 +74.2%
親会社株主に帰属する当期純利益 301億68百万円 +143.9%

5. 重要な指標

指標 数値 目標
連結売上高経常利益率 3.9% 4%以上
連結ROE 7.9% 7%以上

6. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率です。

  • 流動資産(2023年12月31日): 134,937百万円
  • 流動負債(2023年12月31日): 129,582百万円

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100 = (134,937 / 129,582) × 100 ≈ 104.0%

7. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率です。

  • 自己資本(2023年12月31日): 802,035百万円
  • 総資本自己資本 + 負債): 802,035 + 129,582 = 931,617百万円

自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100 = (802,035 / 931,617) × 100 ≈ 86.1%

8. 過去との比較トレンド

流動比率のトレンド

年度 流動比率
2022年 約104.7%
2023年 約104.0%

流動比率のトレンド: わずかに減少

自己資本比率のトレンド

年度 自己資本比率
2022年 約86.3%
2023年 約86.1%

自己資本比率のトレンド: わずかに減少

まとめ

流動比率は2023年度は約104.0%で、2022年度の約104.7%からわずかに減少。自己資本比率は2023年度は約86.1%で、2022年度の約86.3%からわずかに減少。

売上高、営業利益、純利益のトレンド

項目 2022年度 2023年度
売上高 1,077,009百万円 1,175,562百万円
営業利益 22,032百万円 41,962百万円
純利益 15,469百万円 33,614百万円

営業利益率と純利益率のトレンド

指標 2022年度 2023年度
営業利益率 2.04% 3.57%
純利益率 0.77% 1.28%

営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローは以下の通りです:

営業活動によるキャッシュフローが134,937百万円であることから、山崎製パン株式会社はその事業活動を通じて十分な現金を生成していると評価できます。

リスク要因の評価

  1. 原材料の調達及び価格高騰: 輸入原料の供給停止や価格高騰が業績に影響を及ぼす可能性がある。
  2. 自然災害: 地震や台風などの自然災害による工場の操業停止が業績に影響を及ぼす可能性がある。
  3. 取引先の経営破綻: 主要取引先の経営破綻による売掛債権の回収不能が業績に影響を及ぼす可能性がある。
  4. 退職給付費用及び債務: 数理計算上の前提条件の変更や運用成績の悪化が業績に影響を及ぼす可能性がある。
  5. 海外事業: 海外事業における政治・経済・社会情勢の変化が業績に影響を及ぼす可能性がある。
  6. 新型コロナウイルス感染症: 感染症の影響が事業活動及び収益に影響を及ぼす可能性がある。
  7. 情報セキュリティ: サイバー攻撃やシステムトラブルによる業務中断や情報漏洩が業績に影響を及ぼす可能性がある。

総合評価

山崎製パン株式会社は、様々なリスクに対して対応策を講じているものの、依然として潜在的なリスクが存在します。特に、原材料の調達や取引先の経営状況、自然災害などの外部要因に対する脆弱性が高いと評価されます。

配当政策と過去との比較トレンド

項目 2023年度
配当金 25円
配当性向 17.1%
自己資本利益率ROE 7.9%
純資産配当率 1.4%