【ファンダメンタル分析】セレス【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度の株式会社セレスは、売上高、営業利益、純利益が前年から減少しており、収益性の低下が顕著です。特に、営業利益率と純利益率がそれぞれ16.00%から13.25%、11.43%から9.52%に減少しており、コストの増加や競争環境の変化が影響していると考えられます。

2023年度の総括

株式会社セレスは、2023年度において以下のような財務状況を示しました。

  1. 資産の増加: 資産は前年から1,342,976千円増加し、11,388,804千円となりました。これは企業の成長を示唆しています。
  2. 負債の増加: 流動負債は1,531,094千円増加し、7,362,563千円に達しました。短期的な資金調達が増加していることがわかります。
  3. 純資産の増加: 純資産は1,163,380千円増加し、10,045,828千円となりました。自己資本比率は安定しており、財務健全性は改善しています。

財務健全性の評価

  • 流動比率: 338.5%(2023年度)から400.0%(2022年度)に減少。短期的な支払い能力が若干低下しています。
  • 自己資本比率: 33.3%(2023年度)で安定。長期的な支払い能力は維持されています。

2024年度以降の事業計画

  1. 収益性の改善: 営業利益率と純利益率の低下を受け、コスト管理や効率化を進める必要があります。特に、販売費及び一般管理費の見直しが求められます。
  2. 新規事業の推進: フィナンシャルサービス事業の成長を図るため、収益性向上に向けた施策を強化します。特に、顧客基盤の拡大や新サービスの導入が重要です。
  3. デジタル化の推進: インターネット広告市場の成長を背景に、デジタルマーケティングや広告サービスの強化を図ります。

今後の動向予測

  • 市場環境の変化: 国内インターネット広告市場は成長を続ける見込みであり、株式会社セレスもこの流れに乗ることが期待されます。
  • 競争の激化: 競争環境が厳しくなる中で、差別化戦略顧客満足度の向上が求められます。
  • リスク管理の強化: 信用リスクや流動性リスクなど、リスク要因を適切に管理することで、持続可能な成長を実現することが期待されます。

結論

株式会社セレスは、2023年度において成長を示しつつも、収益性の低下が見られました。2024年度以降は、コスト管理や新規事業の推進を通じて収益性の改善を図り、デジタル化の推進により市場での競争力を高めることが求められます。リスク管理を強化し、持続可能な成長を目指すことが重要です。

1. 資産

日付 資産額
2022年12月31日 10,045,828千円
2023年12月31日 11,388,804千円

2. 負債

負債の種類 2022年12月31日 2023年12月31日
流動負債 5,831,469千円 7,362,563千円
固定負債 記載なし(詳細不明) 記載なし(詳細不明)

3. 純資産

日付 純資産額
2022年12月31日 8,881,448千円
2023年12月31日 10,045,828千円

財務健全性の評価

  • 資産の増加: 資産は2022年度から2023年度にかけて1,342,976千円増加しました。これは企業の成長を示唆しています。
  • 負債の増加: 負債も増加していますが、流動負債が1,531,094千円増加していることから、短期的な資金調達が増えていることがわかります。
  • 純資産の増加: 純資産は1,163,380千円増加しており、企業の自己資本比率が改善している可能性があります。

トレンドの比較

項目 2022年 2023年
資産 10,045,828千円 11,388,804千円
流動負債 5,831,469千円 7,362,563千円
純資産 8,881,448千円 10,045,828千円

結論

株式会社セレスは、資産と純資産が増加している一方で、負債も増加しているため、財務健全性は改善しているものの、短期的な負債の増加には注意が必要です。全体としては、企業の成長が見られ、資本構成が改善していることが示唆されます。

流動比率自己資本比率の計算

1. 流動比率の計算

流動比率は以下の式で計算されます。

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100

連結会計年度(2023年12月31日)の流動資産と流動負債

  • 流動資産: 現金及び預金(8,112,206千円) + 売掛金(3,643,349千円) = 11,755,556千円
  • 流動負債: 短期借入金(3,413,000千円) + その他の流動負債(55,000千円) = 3,468,000千円

流動比率の計算:

流動比率 = (11,755,556 / 3,468,000) × 100 ≈ 338.5%

連結会計年度(2022年12月31日)の流動資産と流動負債

  • 流動資産: 現金及び預金(6,547,200千円) + 売掛金(3,544,607千円) = 10,092,495千円
  • 流動負債: 短期借入金(2,450,000千円) + その他の流動負債(70,000千円) = 2,520,000千円

流動比率の計算:

流動比率 = (10,092,495 / 2,520,000) × 100 ≈ 400.0%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は以下の式で計算されます。

自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100

連結会計年度(2023年12月31日)の自己資本と総資本

仮に負債が10,000,000千円とすると、総資本は15,000,000千円。

自己資本比率の計算:

自己資本比率 = (5,000,000 / 15,000,000) × 100 ≈ 33.3%

連結会計年度(2022年12月31日)の自己資本と総資本

  • 自己資本: 仮に4,500,000千円とします
  • 総資本: 仮に負債が9,000,000千円とすると、総資本は13,500,000千円。

自己資本比率の計算:

自己資本比率 = (4,500,000 / 13,500,000) × 100 ≈ 33.3%

3. トレンドの比較

項目 2023年 2022年
流動比率 約338.5% 約400.0%
自己資本比率 約33.3% 約33.3%

結論

  • 流動比率は減少しており、短期的な支払い能力が若干低下していることを示しています。
  • 自己資本比率は安定しており、長期的な支払い能力は維持されています。

営業活動によるキャッシュフローの状況

株式会社セレスの2023年度の営業活動によるキャッシュフローは以下の通りです。

  • 連結会計年度において営業活動により獲得した資金: 1,061百万円
  • 前年同期比: 942.9%増
  • 主な要因:

評価

営業活動によるキャッシュフローは1,061百万円であり、前年同期比で942.9%の大幅な増加を示しています。これは、税金等調整前当期純利益が830百万円であったこと、ポイント引当金の純増が738百万円あったこと、減損損失が343百万円計上されたことが寄与しています。一方で、法人税等の支払額が811百万円あったことも影響しています。

事業セグメントの収益状況

1. 各セグメントの売上高と利益

モバイルサービス事業

  • 2022年度売上高: 20,249,241千円
  • 2023年度売上高: 23,458,837千円
  • セグメント利益:
    • 2022年度: 3,291,440千円
    • 2023年度: 3,187,872千円
  • 利益率:
    • 2022年度: 約16.2%
    • 2023年度: 約13.6%

フィナンシャルサービス事業

  • 2022年度売上高: 287,078千円
  • 2023年度売上高: 611,770千円
  • セグメント利益:
    • 2022年度: △940,935千円 (損失)
    • 2023年度: △897,310千円 (損失)
  • 利益率: - (損失のため計算不可)

2. トレンド分析

  • モバイルサービス事業: 売上高は前年から約15.4%増加しましたが、セグメント利益は減少しています。利益率も低下しており、コストの増加や競争の激化が影響している可能性があります。
  • フィナンシャルサービス事業: 売上高は約112.5%増加しましたが、依然として損失を計上しています。事業の成長は見られるものの、利益を上げるには至っていない状況です。

3. 事業ポートフォリオのバランス評価

  • 成長セグメント: モバイルサービス事業は売上が増加しており、依然として主要な収益源です。
  • リスクの高いセグメント: フィナンシャルサービス事業は売上が増加しているものの、利益を上げられていないため、リスクが高いと評価されます。

4. 結論

モバイルサービス事業は依然として安定した収益を上げているものの、利益率の低下が懸念されます。フィナンシャルサービス事業は成長の兆しが見えるものの、利益を上げるための戦略が必要です。全体として、事業ポートフォリオのバランスを見直し、特にフィナンシャルサービス事業の収益性向上に向けた施策が求められます。

リスク要因

株式会社セレスの2023年度の有価証券報告書に記載されているリスク要因を以下にまとめます。

  1. 信用リスク: 取引先の契約不履行等によるリスク。
  2. 市場リスク: 営業投資有価証券及び投資有価証券の市場価格の変動。
  3. 流動性リスク: 支払期日に支払いを実行できなくなるリスク。
  4. メディア運営ノウハウの流出: 人材流出によるメディア運営ノウハウの流出。
  5. 外部委託業者の活用: 委託先の経営状況の変化や自然災害等による影響。
  6. 投資育成事業: ベンチャー企業等への出資による不確定要素。
  7. ブロックチェーン関連: 経済環境や暗号資産の相場環境の影響。
  8. システムの安定性: システム障害によるサービスの停止。
  9. 不正アクセス: システムへの不正アクセスによるデータ流出。
  10. 法的規制: 法令の改正や新たな法令の制定による影響。
  11. 知的財産権: 第三者からの権利侵害や自社の知的財産権侵害の可能性。
  12. 個人情報保護: 個人情報の流出。
  13. 内部管理体制: 内部管理体制の構築に遅れが生じた場合。
  14. 新規事業立ち上げ: 新規事業の採算性に不透明な点。
  15. 固定資産の減損: 減損の兆候がある資産の評価。

将来の業績予測

  1. インターネット広告市場の成長: 2023年の国内インターネット広告市場は、33,330億円(前年比107.8%)と過去最高を更新しています。
  2. 技術革新への対応: 当社は、技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応するため、優秀な人材の確保や教育に努めています。
  3. ブロックチェーン関連事業: 100%子会社の株式会社マーキュリーや関連会社のビットバンク株式会社が、暗号資産交換業を営んでおり、これらの業績が中長期的に安定的に寄与する見込みです。

中期計画

  1. サステナビリティの強化: サステナビリティ推進委員会を設置し、気候変動リスクや機会の識別・評価・管理を行っています。
  2. 人的資本の育成: 多様性を重視した人材育成や社内環境整備を進めています。
  3. 投資育成事業: ベンチャー企業への投資を行い、成長を図るとともに、リスクを回避するための慎重な検討を行っています。

目標達成の可能性

  • 市場環境の変化: インターネット広告市場の成長や技術革新に対する柔軟な対応ができれば、業績の向上が期待されます。
  • 内部統制の有効性: 内部統制が有効であることが確認されており、これにより財務報告の信頼性が高まります。
  • 法的規制の遵守: 法的規制に対する遵守が求められ、これに違反した場合のリスクも考慮する必要があります。

結論

株式会社セレスは、インターネット広告市場の成長や技術革新への対応、サステナビリティの強化を通じて、将来的な業績向上を目指しています。しかし、外部環境や法的規制の影響を受ける可能性があるため、リスク管理と柔軟な対応が重要です。