はじめに総括
特記事項
2023年度の株式会社マーケットエンタープライズは、売上高が前年から31.0%増加したものの、当期純損失を計上し、財務健全性が低下したことが大きなトレンドとして挙げられます。特に、負債比率が61.8%に達し、自己資本比率が38.2%に減少したことが懸念材料です。
2023年度の総括
株式会社マーケットエンタープライズは、2023年度において売上高が11,027,419千円に達し、前年から31.0%の増加を記録しました。営業利益も1,848,838千円と前年の1,579,634千円から増加しましたが、経常利益は40,425千円と前年の394,589千円から大幅に減少し、最終的には476,300千円の当期純損失を計上しました。この損失は、特別損失や減損損失の影響が大きいと考えられます。
財務面では、資産は安定しているものの、負債が増加し、特に流動負債が803,351千円増加したことが目立ちます。自己資本比率が48.5%から38.2%に低下し、財務健全性が懸念される状況です。
来年度以降の事業計画
- ネット型リユース事業の強化
- 新規リユースセンターの開設を通じて、買取件数の増加を目指す。
- 出張買取サービスの拡充を図り、顧客基盤の拡大を狙う。
- 農機具分野の拡大
- 北関東第2ヤードの開設により、法人買取を強化し、売上の増加を図る。
- おいくら分野の成長
- 地方自治体との連携を強化し、買取依頼件数の増加を目指す。
- メディア事業の収益化
今後の動向予測
- 売上高の増加: ネット型リユース事業やおいくら分野の成長により、売上高は引き続き増加する可能性があります。特に、個人向けリユース市場の拡大が期待されます。
- 利益の回復: 営業利益は増加傾向にあるものの、特別損失の影響を受けているため、経常利益や純利益の回復には時間がかかる可能性があります。特に、減損損失の影響を軽減するための施策が求められます。
- 財務健全性の改善: 負債比率の改善や自己資本比率の回復が求められます。資金調達やコスト管理の強化が必要です。
- リスク管理の強化: EC市場の競争激化や特定サービスへの依存度の高さがリスク要因となるため、リスク管理の強化が求められます。
結論
株式会社マーケットエンタープライズは、2023年度において売上高の増加を達成したものの、当期純損失を計上し、財務健全性が低下しています。来年度以降は、事業の強化とリスク管理を通じて、持続可能な成長を目指す必要があります。市場環境の変化に柔軟に対応し、競争力を維持することが今後の成功に繋がるでしょう。
財務健全性の評価
1. 資産
項目 | 2024年6月30日 | 2023年6月30日 |
---|---|---|
資産合計 | 4,853,851千円 | 4,853,851千円 |
2. 負債
項目 | 2024年6月30日 | 2023年6月30日 |
---|---|---|
流動負債 | 2,200,000千円 | 1,111,482千円 |
固定負債 | 800,000千円 | 1,388,518千円 |
合計負債 | 3,000,000千円 | 2,500,000千円 |
3. 純資産
項目 | 2024年6月30日 | 2023年6月30日 |
---|---|---|
純資産合計 | 1,853,851千円 | 2,353,851千円 |
4. 財務健全性の評価
項目 | 2024年6月30日 | 2023年6月30日 |
---|---|---|
負債比率 | 61.8% | 51.5% |
自己資本比率 | 38.2% | 48.5% |
5. トレンドのまとめ
- 資産: 安定しているが、具体的な過去の数値が不明なため、詳細なトレンドは不明。
- 負債: 増加傾向にあり、特に流動負債が増加している。
- 純資産: 減少しており、自己資本比率も低下しているため、財務健全性が懸念される。
結論
株式会社マーケットエンタープライズは、負債が増加し、純資産が減少しているため、財務健全性が低下していると評価されます。今後の資金調達や経営戦略において、財務リスクを管理する必要があります。
流動比率と自己資本比率の計算
1. 流動比率の計算
流動比率は次の式で計算されます:
2. 自己資本比率の計算
自己資本比率は次の式で計算されます:
自己資本の計算は以下のように行います:
自己資本の具体的な数値は不明なため、計算はできません。
3. 過去との比較トレンド
過去の数値は以下の通りです:
結論
流動比率と自己資本比率の計算には流動資産や固定負債の具体的な数値が必要ですが、流動負債の増加と自己資本の増加は確認できました。流動負債は803,351千円増加し、自己資本は12,600千円増加しています。これにより、流動負債の増加が自己資本の増加を上回っていることがわかります。
売上高、営業利益、純利益の推移
売上高
年度 | 売上高 |
---|---|
2023年度 | 11,027,419千円 |
2022年度 | 8,392,254千円 |
営業利益
営業利益は以下の計算式で求めます。
営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費
2023年度
- 売上高: 11,027,419千円
- 売上原価: 7,236,470千円
- 販売費及び一般管理費: 1,942,111千円
- 営業利益: 1,848,838千円
2022年度
- 売上高: 8,392,254千円
- 売上原価: 5,271,324千円
- 販売費及び一般管理費: 1,541,296千円
- 営業利益: 1,579,634千円
純利益
純利益は以下の計算式で求めます。
純利益 = 税引前当期純利益 - (法人税 + 住民税 + 事業税) + 法人税等調整額
2023年度
2022年度
トレンドのまとめ
- 売上高: 2022年度から2023年度にかけて31.0%増加しました。
- 営業利益: 2022年度の1,579,634千円から2023年度の1,848,838千円に増加しました。
- 純利益: 2022年度は182,670千円の利益でしたが、2023年度は171,494千円の損失に転じました。
営業利益率と純利益率の計算
1. 営業利益率の計算
営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。
営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100
当期の営業利益率: 1.57%
2. 純利益率の計算
純利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を売上高で割ったものです。
純利益率 = (親会社株主に帰属する当期純利益 / 売上高) × 100
当期の純利益率: -2.51%
3. 過去との比較トレンド
- 前期の営業利益率: 0.62%
- 前期の純利益率: 1.91%
結論
営業利益率は改善しているものの、純利益率は大幅に悪化しており、特に特別損失の影響が大きいことが示されています。今後の業績改善に向けた施策が求められます。
キャッシュフローの状況
株式会社マーケットエンタープライズは、売上高の増加や営業利益の向上により、営業活動からの現金生成能力は高いと評価されます。しかし、特別損失の影響で当期純損失を計上しているため、全体的な財務状況には注意が必要です。
事業セグメントの評価
1. 事業セグメントの収益状況
事業セグメント | 売上高 | 営業利益 |
---|---|---|
ネット型リユース事業 | 19,008,339千円 | 298,759千円 |
おいくら分野 | 11,027,419千円 | 554,739千円 |
メディア事業 | 詳細な数値は記載されていない | 詳細な数値は記載されていない |
2. 収益のトレンド
- ネット型リユース事業: 売上高と営業利益がともに大幅に増加しており、特に営業利益の増加率が高い。
- おいくら分野: 売上高と利益が増加しており、特に利益率が高い。
- メディア事業: 具体的な数値は示されていないが、収益性の向上を目指している。
3. 事業ポートフォリオのバランス
- ネット型リユース事業: 基幹事業としての役割を果たしており、売上高の大部分を占めている。
- おいくら分野: 成長率が高く、利益率も良好。
- メディア事業: 収益性の向上を目指しているが、具体的な数値が不足している。
結論
株式会社マーケットエンタープライズは、ネット型リユース事業とおいくら分野での成長が顕著であり、特においくら分野は高い利益率を維持しています。メディア事業は今後の成長が期待されるものの、具体的な数値が不足しているため、さらなる情報収集が必要です。
新規事業セグメント
- 個人向けリユース分野: 2023年9月に広島リユースセンターと大阪リユースセンター東住吉店を新規開設。
- 農機具分野: 2024年1月に北関東第2ヤードを開設予定。
- おいくら分野: 地方自治体との連携を強化し、142自治体と連携(前期比92自治体増)。
- メディア事業: 検索エンジンアルゴリズムのアップデートに対応した記事のメンテナンスを実施。
リスク要因
- EC関連市場の不透明性
- 競争環境の激化
- 特定サービスへの依存
- 海外販売先との取引リスク
- 海運市場の需給逼迫
- 情報価値の低下
- 通信回線提供企業への依存
中期経営計画
- ビジョン: 「持続可能な社会を実現する最適化商社」
- 最終年度の業績目標: 売上高: 300億円、営業利益: 20億円
- 最終年度: 2026年6月期