【ファンダメンタル分析】日本光電工業【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度の日本光電工業株式会社は、全体的に資産、負債、純資産が増加し、特に純資産の増加が顕著であり、自己資本比率も改善されていることが大きなトレンドとして挙げられます。流動比率も上昇しており、短期的な支払い能力が向上しています。

2023年度の総括

項目 2023年度 前年対比
資産合計 204,803百万円 約5.8%増加
負債合計 40,884百万円 約2.3%増加
純資産合計 164,836百万円 約8%増加
自己資本比率 80.5% 1.8ポイント上昇
売上高 221,986百万円 約7.4%増加
営業利益 19,592百万円 前年から減少
純利益 17,110百万円 前年からわずかに増加

全体として、企業の財務健全性は良好であり、特に自己資本比率の向上はポジティブな要素です。しかし、営業利益の減少は注意が必要です。

来年度以降の事業計画

日本光電工業株式会社は、2024年度に向けて以下のような計画を立てています。

  • 売上高目標: 1,970億円(国内1,340億円、海外630億円)
  • 営業利益目標: 200億円(営業利益率10.2%)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益目標: 138億円
  • ROE目標: 10%

また、中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」では、2024年度から2026年度までの成長戦略を策定しており、以下の施策が含まれています。

  • 成長性の向上: 売上高CAGR 5%を目指し、製品競争力の強化や北米事業の成長に注力。
  • 収益性の改善: 営業利益率15%を目指し、全社収益改革を実行。
  • 資本効率性の向上: ROE 12%を目指し、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮を図る。

今後の動向予測

今後の動向については、以下のような予測が立てられます。

  1. 市場環境の変化: 日本国内の医療制度改革新興国市場の成長が期待され、売上の増加が見込まれます。
  2. 製品開発の進展: 新製品の投入や技術革新により、顧客価値の向上が期待されます。
  3. 北米市場の成長: 北米市場への注力が、売上の増加に寄与する可能性が高いですが、損失の拡大には注意が必要です。
  4. コスト上昇の影響: インフレや人件費の上昇が営業利益率に圧力をかける可能性があります。
  5. 品質問題のリスク: 医療機器の品質問題が発生した場合、リコールや訴訟リスクが経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

結論

日本光電工業株式会社は、財務健全性が向上し、成長戦略を明確に持っているため、今後の業績向上が期待されます。ただし、外部環境の変化やコスト上昇、品質問題などのリスク要因にも注意が必要です。全体として、計画の実行次第で目標達成は可能と考えられます。

1. 資産

年度 資産合計
2024年3月31日 204,803百万円
2023年3月31日 193,538百万円

トレンド: 資産は前年から11,265百万円(約5.8%)増加しています。これは、企業の成長を示すポジティブな兆候です。

2. 負債

年度 負債合計
2024年3月31日 40,884百万円
2023年3月31日 39,967百万円

トレンド: 負債は前年から917百万円(約2.3%)増加しています。負債の増加は、資産の増加に対して相対的に小さいため、企業の財務健全性には大きな影響を与えないと考えられます。

3. 純資産

年度 純資産合計
2024年3月31日 164,836百万円
2023年3月31日 152,654百万円

トレンド: 純資産は前年から12,182百万円(約8%)増加しています。これは、企業の自己資本比率が向上していることを示し、財務の健全性が改善されていることを示唆しています。

4. 財務健全性の評価

年度 自己資本比率
2024年3月31日 80.5%
2023年3月31日 78.7%

自己資本比率は前年から1.8ポイント上昇しており、企業の財務健全性が向上していることを示しています。

まとめ

資産、負債、純資産の全てが前年より増加しており、特に純資産の増加が顕著です。自己資本比率も改善しており、企業の財務健全性は良好です。今後もこのトレンドが続くことが期待されますが、負債の増加には注意が必要です。

流動比率自己資本比率の計算

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率です。

年度 流動資産合計 流動負債合計 流動比率
2024年3月31日 149,767百万円 43,770百万円 341.4%
2023年3月31日 118,460百万円 39,119百万円 302.0%

トレンド: 流動比率は上昇しており、流動資産が流動負債に対してより多くなっていることを示しています。これは短期的な支払い能力が向上していることを示唆します。

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率です。

年度 自己資本合計 総資本合計 自己資本比率
2024年3月31日 164,836百万円 204,803百万円 80.5%
2023年3月31日 152,654百万円 193,538百万円 78.7%

トレンド: 自己資本比率も上昇しており、企業の資本構成がより健全になっていることを示しています。

結論

流動比率自己資本比率の両方が上昇しており、企業の短期的および長期的な財務健全性が改善されていることが示されています。これにより、企業はより良い支払い能力と安定した資本構成を持っていると評価できます。

売上高、営業利益、純利益のトレンド

項目 2023年度 2022年度
売上高 221,986百万円 206,603百万円
営業利益 19,592百万円 21,120百万円
純利益 17,110百万円 17,026百万円

トレンド: 売上高は増加しましたが、営業利益は減少しました。これは、売上原価や販売費及び一般管理費が増加したためと考えられます。一方で、純利益はわずかに増加しており、全体的には安定した業績を示しています。

営業利益率と純利益率の計算

営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

年度 営業利益率
2023年度 8.83%
2022年度 10.21%

トレンド: 営業利益率は減少しています。

純利益率の計算

純利益率は、当期純利益を売上高で割ったものです。具体的な数値が示されていないため、詳細なトレンドは不明ですが、営業利益率の減少は純利益にも影響を与える可能性があります。

結論

営業利益率は2023年度に8.83%で、2022年度の10.21%から減少しています。純利益率については具体的な数値が示されていないため、詳細なトレンドは不明ですが、営業利益率の減少は純利益にも影響を与える可能性があります。

営業活動によるキャッシュフローの評価

日本光電工業株式会社は、営業活動を通じてキャッシュを生成しており、健全なキャッシュフローを維持していると評価できます。また、研究開発や固定資産への投資は将来的な成長を見込んだものであり、長期的にはキャッシュフローの増加に寄与する可能性があります。

セグメントごとの収益状況

セグメント 2023年度売上高 2022年度売上高
日本 143,939百万円 136,800百万円
北米 41,996百万円 35,244百万円
その他の地域 36,050百万円 34,557百万円
合計 221,986百万円 206,603百万円

トレンド: 日本と北米、その他の地域すべてで売上高が増加しています。

新規に参入した事業セグメント

新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載はありませんが、米国子会社の再編や持株会社体制への移行が進められています。

リスク要因

  • 医療機器の許認可申請
  • 品質問題
  • 国内外の市場の動向
  • 法令・規制等
  • 重要な訴訟等

将来の業績予測

2024年度の業績予測は以下の通りです。

  • 売上高: 1,970億円
  • 営業利益: 200億円
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 138億円
  • ROE: 10%

配当履歴と配当政策

年度 年間配当金
2023年度 61円
2022年度 61円

配当性向は約11.75%で、将来的には安定的な増配を行う方針です。