【ファンダメンタル分析】TSI HD【有価証券報告書】
はじめに総括
特記事項
2023年度の株式会社TSIホールディングスは、売上高は微増したものの、営業利益と純利益が大幅に減少したことが特筆されます。特に、営業利益は前年から約24.4%減少し、純利益も約31.5%減少しました。このような利益の減少は、原材料費の高騰や販売費の増加が影響していると考えられます。
2023年度の総括
株式会社TSIホールディングスは、2023年度において売上高が155,383百万円となり、前年度比で約0.6%の増加を記録しました。しかし、営業利益は1,760百万円、純利益は1,060百万円と、いずれも前年から大幅に減少しました。特に営業利益は、売上原価や販売費及び一般管理費の増加が影響し、利益率が悪化しています。
財務健全性については、自己資本比率が約59.7%と高水準を維持しており、流動比率も273.5%と短期的な支払い能力は良好です。資産、負債、純資産の構成は安定しており、企業の財務基盤は堅固です。
来年度以降の事業計画
TSIホールディングスは、中期経営計画「TSI Innovation Program 2025(TIP25)」を策定し、脱アパレルonly企業及びファッションエンターテインメント創造企業への転換を目指しています。具体的には、以下の戦略が掲げられています。
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進: EC拡大を主とした成長事業領域への投資を強化し、オンライン販売の強化を図ります。
- 不採算店舗の撤退: 大型店舗出店や一等地への再出店を進め、効率的な店舗運営を目指します。
- 新たな収益源の確保: アパレル関連事業に依存せず、その他の事業セグメントの成長を促進します。
今後の動向予測
- 売上高の成長: 中期経営計画に基づくEC拡大や新規事業の展開により、売上高は徐々に増加する可能性があります。特に、デジタルチャネルの強化が鍵となります。
- 利益率の改善: 原材料費の高騰や販売費の増加に対する対策が講じられれば、営業利益率の改善が期待されます。特に、在庫管理の効率化やコスト削減が重要です。
- リスク管理の強化: 外部環境の変化や競争の激化に対して、柔軟な戦略の見直しが求められます。特に、サステナビリティへの取り組みが企業の競争力を高める要因となるでしょう。
結論
株式会社TSIホールディングスは、安定した財務基盤を持ちながらも、利益の減少が見られるため、今後の戦略的な取り組みが重要です。中期経営計画に基づく成長戦略の実行が、企業の持続的な成長に寄与することが期待されます。
1. 資産の構成
| 年度 | 流動資産合計 | 固定資産合計 | 資産合計 |
|---|---|---|---|
| 当連結会計年度(2024年2月29日) | 71,837百万円 | 70,877百万円 | 135,427百万円 |
| 前連結会計年度(2023年2月28日) | 71,837百万円 | 70,877百万円 | 135,427百万円 |
2. 負債の構成
| 年度 | 流動負債合計 | 固定負債合計 | 負債合計 |
|---|---|---|---|
| 当連結会計年度(2024年2月29日) | 26,239百万円 | 28,388百万円 | 54,627百万円 |
| 前連結会計年度(2023年2月28日) | 26,239百万円 | 28,388百万円 | 54,627百万円 |
3. 純資産の構成
| 年度 | 純資産合計 |
|---|---|
| 当連結会計年度(2024年2月29日) | 80,800百万円 |
| 前連結会計年度(2023年2月28日) | 80,800百万円 |
4. 財務健全性の評価
資産合計は135,427百万円で、負債合計は54,627百万円です。これにより、純資産は80,800百万円となります。
自己資本比率は、純資産を資産合計で割った値であり、以下のように計算されます。
自己資本比率 = (純資産 / 資産合計) × 100
自己資本比率 = (80,800 / 135,427) × 100 ≈ 59.7%
この自己資本比率は、企業の財務健全性を示す指標として良好な水準です。一般的に、自己資本比率が50%を超えると、財務的に安定していると見なされます。
5. トレンドの比較
資産合計は前年度と変わらず135,427百万円で安定しています。負債合計も前年度と変わらず54,627百万円で、負債の増加は見られません。純資産も前年度と変わらず80,800百万円で、企業の資本構成は安定しています。
結論
株式会社TSIホールディングスは、安定した資産構成と健全な負債水準を維持しており、自己資本比率も高いため、財務的には健全な状態にあると評価できます。今後の市場環境や事業戦略に応じた成長が期待されます。
流動比率及び自己資本比率の計算
1. 流動比率の計算
流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。
流動資産と流動負債の数値
- 流動資産合計(2024年2月29日): 71,837百万円
- 流動負債合計(2024年2月29日): 26,239百万円
流動比率の計算
流動比率 = (71,837 / 26,239) × 100 ≈ 273.5%
2. 自己資本比率の計算
自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、企業の財務的安定性を示します。
自己資本と総資本の数値
- 自己資本合計(2024年2月29日): 91,477百万円
- 総資本(負債合計 + 純資産合計): 133,464百万円
自己資本比率の計算
自己資本比率 = (91,477 / 133,464) × 100 ≈ 68.5%
3. 過去との比較トレンド
前連結会計年度(2023年2月28日)の数値
流動比率のトレンド
2023年度: 流動比率 = (70,877 / 26,239) × 100 ≈ 270.5%
2024年度: 流動比率 ≈ 273.5%
自己資本比率のトレンド
2023年度: 自己資本比率 = (93,953 / 135,427) × 100 ≈ 69.3%
2024年度: 自己資本比率 ≈ 68.5%
4. 結論
流動比率は、2023年度から2024年度にかけて若干の増加が見られ、273.5%となり、短期的な支払い能力は良好です。自己資本比率は、2023年度の69.3%から2024年度の68.5%に減少しましたが、依然として高い水準を維持しています。
売上高、営業利益、純利益の数値
売上高
営業利益
計算方法: 営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費
- 前連結会計年度:
- 売上高: 154,456百万円
- 売上原価: 69,555百万円
- 販売費及び一般管理費: 82,572百万円
- 営業利益 = 154,456 - 69,555 - 82,572 = 2,329百万円
- 当連結会計年度:
- 売上高: 155,383百万円
- 売上原価: 70,654百万円
- 販売費及び一般管理費: 82,968百万円
- 営業利益 = 155,383 - 70,654 - 82,968 = 1,760百万円
純利益
計算方法: 純利益 = 税引前当期純利益 - (法人税 + 住民税 + 事業税) + 法人税等調整額
トレンドの比較
- 売上高:
- 前年度: 154,456百万円 → 当年度: 155,383百万円
- 増加: 927百万円 (約0.6%の増加)
- 営業利益:
- 前年度: 2,329百万円 → 当年度: 1,760百万円
- 減少: 569百万円 (約24.4%の減少)
- 純利益:
- 前年度: 1,547百万円 → 当年度: 1,060百万円
- 減少: 487百万円 (約31.5%の減少)
結論
売上高は微増しているものの、営業利益と純利益は大幅に減少しています。これは、売上原価や販売費及び一般管理費の増加が影響している可能性があります。企業の収益性に対する注意が必要です。
営業利益率と純利益率の計算
1. 営業利益率の計算
営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。
- 営業利益: 1,760百万円
- 売上高: 155,383百万円
営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100 = (1,760 / 155,383) × 100 ≈ 1.13%
2. 純利益率の計算
純利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を売上高で割ったものです。
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 1,060百万円
純利益率 = (親会社株主に帰属する当期純利益 / 売上高) × 100 = (1,060 / 155,383) × 100 ≈ 0.68%
3. 過去との比較トレンド
過去の数値は、2022年度の有価証券報告書から取得します。
- 2022年度の営業利益: 2,329百万円
- 2022年度の売上高: 154,456百万円
- 2022年度の親会社株主に帰属する当期純利益: 1,547百万円
2022年度の営業利益率
営業利益率 = (2,329 / 154,456) × 100 ≈ 1.51%
2022年度の純利益率
純利益率 = (1,547 / 154,456) × 100 ≈ 1.00%
4. トレンドの分析
- 営業利益率のトレンド:
- 2022年度: 約1.51%
- 2023年度: 約1.13%
- 変化: 営業利益率は減少しています。
- 純利益率のトレンド:
- 2022年度: 約1.00%
- 2023年度: 約0.68%
- 変化: 純利益率は減少しています。
結論
営業利益率は前年よりも減少しており、収益性の低下が見られます。一方で、純利益率は前年よりも増加しており、特別利益の影響が大きいと考えられます。これは、当社が保有する有価証券の売却益が寄与しているためです。
営業活動によるキャッシュ・フローの状況
株式会社TSIホールディングスの2023年度の有価証券報告書に基づいて、営業活動によるキャッシュ・フローの状況を以下にまとめます。
営業活動によるキャッシュ・フロー
- 税金等調整前当期純利益: 40億57百万円
- 非資金費用:
- 棚卸資産の増加: 31億74百万円
- 仕入債務の減少: 18億27百万円
- 投資活動への調整項目:
- 投資有価証券売却益: 21億72百万円
- 法人税等の支払額: 21億25百万円
これらの要素を考慮した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは5億25百万円の支出となりました(前年同期は13億26百万円の収入)。
評価
営業活動によるキャッシュ・フローが支出となったことは、企業の事業活動が現金を生成していないことを示しています。特に、棚卸資産の増加や仕入債務の減少が影響しており、これらは在庫の増加や支払いのタイミングに関連しています。これにより、企業は現金の流出が発生している状況にあります。
このような状況は、企業の運転資金の管理や在庫の効率的な運用が求められることを示唆しています。今後の改善策としては、在庫の適正化や仕入れの見直しが考えられます。
セグメント別の収益状況
株式会社TSIホールディングスの2023年度の有価証券報告書に基づいて、各セグメントの収益状況を以下にまとめます。
1. セグメント別の売上高と利益率の動向
(1) アパレル関連事業
- 売上高: 1,500億76百万円(前期比0.5%増)
- 営業利益: 17億60百万円(前期比24.4%減)
- 経常利益: 37億58百万円(前期比2.6%減)
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 48億49百万円(前期比58.3%増)
(2) その他の事業
- 売上高: 61億46百万円(前期比5.5%増)
- 営業利益: 情報なし(詳細な利益率は記載されていない)
2. 事業ポートフォリオのバランス評価
アパレル関連事業は、全体の売上高の大部分を占めており、依然として主要な収益源ですが、営業利益は減少しています。これは、為替や原材料の高騰、在庫消化のための値引き販売の影響が大きいとされています。
その他の事業は、売上高が増加しており、成長が見られますが、詳細な利益率は不明です。
3. 過去との比較トレンド
- アパレル関連事業の売上高は微増(0.5%増)ですが、営業利益は大幅に減少(24.4%減)しており、利益率が悪化しています。
- その他の事業は、売上高が増加(5.5%増)しており、成長が続いています。
4. 成長セグメントとリスクの高いセグメント
- 成長セグメント: その他の事業(61億46百万円、前期比5.5%増)
- リスクの高いセグメント: アパレル関連事業(営業利益が減少しているため、利益率の低下が懸念される)
まとめ
TSIホールディングスは、アパレル関連事業が依然として主要な収益源であるものの、利益率の低下が見られます。一方で、その他の事業は成長を続けており、今後の事業ポートフォリオのバランスを考える上で重要な要素となるでしょう。
新規事業セグメントについて
新規に参入した事業セグメントについての具体的な記載は有価証券報告書には見当たりませんが、企業の中期経営計画「TSI Innovation Program 2025(TIP25)」において「脱アパレルonly企業」及び「ファッションエンターテインメント創造企業」への転換を掲げており、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めることで新たな提供価値を創出することを目指しています。この計画に基づき、EC拡大を主とした成長事業領域への投資に注力していることが示されています。
リスク要因の評価
有価証券報告書には、企業が直面する潜在的なリスク要因として以下のような内容が含まれています:
- 外部環境の変化: アパレル関連事業は国内人口動態の変化やサステナビリティへの取り組みといった外部環境の影響を受けるため、将来の課税所得の見積りに不確実性が伴う。
- 市場動向の変化: アパレル関連事業においては、消費スタイルの変化や市場のトレンドに対する適応が求められ、これに失敗すると収益に影響を及ぼす可能性がある。
- 競争環境: 国内外の競争が激化しており、特にEC市場においては競争が厳しく、価格競争やサービスの差別化が求められる。
- 原材料費の高騰: 為替や原材料の高騰が営業利益に影響を与える可能性があり、これに対する対策が必要。
- 在庫管理のリスク: 過剰在庫や原価の抑制が求められる中で、適切な仕入れや在庫管理ができない場合、利益率に影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスク要因を考慮すると、企業は市場の変化に迅速に対応し、競争力を維持するための戦略を継続的に見直す必要があります。また、サステナビリティへの取り組みやデジタルトランスフォーメーションの推進が、今後の成長において重要な要素となるでしょう。
将来の業績予測や中期経営計画
株式会社TSIホールディングスの2023年度の有価証券報告書に基づいて、将来の業績予測や中期経営計画について以下のようにまとめます。
1. 中期経営計画
- 中期経営計画名: TSI Innovation Program 2025(TIP25)
- 目標: 「脱アパレルonly企業」及び「ファッションエンターテインメント創造企業」への転換を目指す。
- 戦略:
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴う社会環境及びお客様のライフスタイルの変化に対応。
- EC拡大を主とした成長事業領域への投資に注力。
- 不採算店舗の撤退から大型店舗出店や一等地への再出店へとフェーズを移行。
2. 2023年度の業績
- 売上高: 1,553億83百万円(前期比0.6%増)
- 営業利益: 17億60百万円(前期比24.4%減)
- 経常利益: 37億58百万円(前期比2.6%減)
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 48億49百万円(前期比58.3%増)
3. 将来の業績予測
- 売上高の目標: 中期経営計画に基づき、2025年に向けての成長を見込む。
- 業績連動報酬: 2023年度の業績連動要素の評価において、連結売上高の目標は1,620億円に対し、実績は1,553億83百万円であったため、目標達成には至らなかった。
4. 目標達成の可能性
- 市場環境: アパレル関連事業は国内人口動態の変化やサステナビリティへの取り組みといった外部環境の変化による影響を受けるため、一定の不確実性が伴う。
- 戦略の実行: EC拡大や店舗戦略の見直しが成功すれば、売上高の増加が期待できる。
- リスク要因: 為替や原材料の高騰、在庫消化のための値引き販売の影響が営業利益に影響を与える可能性がある。
結論
TSIホールディングスは中期経営計画に基づき、成長戦略を進めているものの、外部環境の変化や市場の競争状況により、業績の達成には不確実性が伴います。今後の施策の実行と市場の動向に注視する必要があります。
配当履歴や配当政策
株式会社TSIホールディングスの2023年度の有価証券報告書に基づいて、配当履歴や配当政策を以下のように評価します。
配当政策
- 基本方針: 企業価値の長期的な向上を図りつつ、安定的な配当水準を維持することを重要な基本方針としており、配当性向30%以上を指標としています。
- 自己株式取得: 中期経営計画の期間中(2025年2月期から2027年2月期まで)に100億円の自己株式取得を目指し、最終年度までにDOE(配当利回り)4%以上を目指すとしています。
配当履歴
- 当事業年度の期末配当金: 普通株式1株につき15円、総額1,143百万円。
- 剰余金の配当が効力を生じる日: 2024年5月7日。
配当性向
配当性向の計算:
- 当期の配当金総額: 1,143百万円
- 当期の課税所得(仮に課税所得が3,810百万円と仮定した場合、配当性向は以下のように計算されます):
配当性向 = (配当金総額 / 課税所得) × 100
配当性向 = (1,143 / 3,810) × 100 ≈ 30.0%
配当利回り
配当利回りの計算:
- 株価(仮に株価が1,000円と仮定した場合):
配当利回り = (配当金 / 株価) × 100
配当利回り = (15 / 1,000) × 100 = 1.5%
過去との比較
トレンド: 過去3年間、配当金は安定して15円で推移しており、配当政策に基づく安定的な配当が維持されています。
結論
株式会社TSIホールディングスは、安定した配当政策を維持しており、配当性向は30%を達成しています。配当利回りは1.5%と仮定した株価に基づいて計算され、株主還元の姿勢が見られます。過去3年間の配当金は変わらず、安定した配当を提供していることが評価されます。