はじめに総括
特記事項
2023年度において、株式会社ジンズホールディングスは売上高が前年同期比で約9.5%増加し、海外アイウエア事業が特に成長を遂げたことが顕著なトレンドです。一方で、営業利益率と純利益率は前年同期比で減少しており、利益の成長が売上の成長に追いついていない状況が見受けられます。
2023年度の総括
株式会社ジンズホールディングスは、2023年度において総資産が10,869百万円に増加し、負債が3,461百万円に減少したことで、純資産は21,779百万円に達しました。自己資本比率は約200%と非常に高く、財務的に健全な状態にあります。流動比率は145%と、流動性は維持されていますが、前年の204%からは減少しています。これは流動負債の増加が影響していると考えられます。
売上高は73,264百万円に達し、特に海外アイウエア事業が前年同期比で25.9%の増加を示しましたが、営業利益率は6.61%から6.25%に減少し、純利益率も2.41%から2.64%に減少しました。これにより、利益の成長が売上の成長に追いついていないことが懸念されます。
来年度以降の事業計画
株式会社ジンズホールディングスは、今後も国内アイウエア事業の安定した収益を維持しつつ、海外市場での成長を加速させる計画です。特に、中国市場での成長が期待されており、海外アイウエア事業の拡大に注力する方針です。また、バイオレットライトを用いた近視進行抑制メガネ型医療機器の開発など、新たな事業展開も視野に入れています。
今後の動向予測
- 売上高の成長: 海外アイウエア事業の成長が続く限り、全体の売上高は引き続き増加する見込みです。
- 利益率の改善: 営業利益率と純利益率の減少が続く場合、コスト管理や効率化が求められます。
- リスク管理の強化: 海外進出に伴うリスクや経済環境の変動に対するリスク管理体制の強化が求められます。
- 配当政策の維持: 配当性向30%を目指す方針は、株主還元の姿勢を示しています。
結論
株式会社ジンズホールディングスは、2023年度において堅調な成長を維持しつつも、利益率の改善が求められる状況です。海外市場での成長を加速させる一方で、リスク管理やコスト管理の強化が必要です。
1. 資産
項目 | 金額(百万円) |
---|---|
総資産 | 10,869 |
有形固定資産 | 8,838 |
無形固定資産 | 761 |
2. 負債
項目 | 金額(百万円) |
---|---|
総負債 | 3,461 |
短期借入金 | 1,887 |
長期借入金 | 45 |
リース債務 | 569 |
3. 純資産
項目 | 金額(百万円) |
---|---|
純資産合計 | 21,779 |
前連結会計年度末に比べ増加額 | 1,372 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,762 |
4. 過去の数値との比較
年度 | 総資産(百万円) | 総負債(百万円) | 純資産(百万円) |
---|---|---|---|
2022年度 | 9,750 | 4,087 | 20,407 |
2023年度 | 10,869 | 3,461 | 21,779 |
5. トレンド分析
項目 | 2022年度(百万円) | 2023年度(百万円) | 増加額(百万円) | 増加率 |
---|---|---|---|---|
資産 | 9,750 | 10,869 | 1,119 | 約11.45% |
負債 | 4,087 | 3,461 | -626 | 約15.32% |
純資産 | 20,407 | 21,779 | 1,372 | 約6.73% |
6. 財務健全性の評価
自己資本比率: 自己資本比率 = 純資産 / 総資産 = 21,779 / 10,869 ≈ 200.00%
自己資本比率が高く、財務的に健全であることを示しています。
負債比率: 負債比率 = 総負債 / 総資産 = 3,461 / 10,869 ≈ 31.87%
負債比率が低く、企業の財務リスクが低いことを示しています。
結論
株式会社ジンズホールディングスは、2023年度において資産が増加し、負債が減少したことで、純資産が増加しました。自己資本比率が高く、負債比率が低いため、財務的に健全な状態にあると評価できます。
流動比率と自己資本比率の計算
1. 流動比率の計算
流動比率は以下の式で計算されます:
2023年度の流動資産と流動負債
- 現金及び預金:11,983百万円
- 売掛金:5,059百万円
- 敷金及び保証金:781百万円
- 合計:17,824百万円
流動負債(短期借入金、転換社債型新株予約権付社債、長期借入金、リース債務、その他有利子負債の合計):
- 短期借入金:1,887百万円
- 転換社債型新株予約権付社債:10,000百万円
- 長期借入金(1年以内に返済予定のものを除く):11百万円
- リース債務(1年以内に返済予定のものを除く):105百万円
- その他有利子負債(1年以内に返済予定のものを除く):298百万円
- 合計:12,301百万円
流動比率の計算
流動比率 = (17,824 / 12,301) × 100 ≈ 145.0%
2. 自己資本比率の計算
自己資本比率は以下の式で計算されます:
2023年度の自己資本と総資本
自己資本(純資産合計):
- 933円14銭(1株当たり純資産額)× 23,340,211株 = 約21,769百万円
総資本(自己資本 + 負債合計):
- 負債合計(流動負債 + 固定負債):
- 流動負債:12,301百万円
- 固定負債(長期借入金、リース債務等の合計):10,415百万円
- 合計:22,716百万円
- 総資本:21,769 + 22,716 = 44,485百万円
自己資本比率の計算
自己資本比率 = (21,769 / 44,485) × 100 ≈ 48.9%
3. 過去の数値との比較
自己資本(2022年度の1株当たり純資産額874円33銭 × 23,340,211株 = 約20,000百万円)
- 負債合計:22,640百万円
- 自己資本比率 = (20,000 / 42,640) × 100 ≈ 46.9%
4. トレンドのまとめ
項目 | 2022年度 | 2023年度 | トレンド |
---|---|---|---|
流動比率 | 204.0% | 145.0% | 流動性が低下している。 |
自己資本比率 | 46.9% | 48.9% | 財務の健全性が向上している。 |
売上高、営業利益、純利益の数値
年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 純利益(百万円) |
---|---|---|---|
2022年度 | 66,901 | 不明 | 1,762 |
2023年度 | 73,264 | 不明 | 1,762 |
まとめ
売上高は2022年度から2023年度にかけて約9.5%増加しました。純利益は変わらず、1,762百万円のままでした。
営業利益率と純利益率の計算
1. 営業利益率の計算
営業利益: 4,847百万円
売上高: 73,264百万円
営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100
営業利益率 = (4,847 / 73,264) × 100 ≈ 6.61%
2. 純利益率の計算
親会社株主に帰属する当期純利益: 1,762百万円
純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100
純利益率 = (1,762 / 73,264) × 100 ≈ 2.41%
3. 過去の数値との比較
年度 | 営業利益率 | 純利益率 |
---|---|---|
2022年度 | 7.25% | 2.64% |
2023年度 | 6.61% | 2.41% |
4. トレンドのまとめ
営業利益率と純利益率の両方が前年同期比で減少していることがわかります。これは、売上高が増加したにもかかわらず、営業利益と純利益の成長がそれに追いついていないことを示しています。
キャッシュ・フローの状況
1. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、具体的な数値は文書内に記載されていませんが、経営成績等の状況の概況において、キャッシュ・フローの分析が行われていることが示されています。
2. 現金及び預金の状況
現金及び預金の金額は、2023年8月31日現在で11,983百万円です。
3. 収益性の指標
親会社株主に帰属する当期純利益は1,762百万円であり、これにより純資産合計は21,779百万円に増加しています。
4. 資金調達の状況
短期借入金は1,887百万円、長期借入金は45百万円、リース債務は569百万円であり、これらの負債を通じて運転資金や設備投資の資金調達を行っています。
5. 投資活動
設備投資の総額は4,985百万円であり、国内アイウエア事業においては3,388百万円、海外アイウエア事業においては1,596百万円の投資が行われています。
結論
株式会社ジンズホールディングスは、当連結会計年度において現金及び預金の増加、当期純利益の計上、及び設備投資の実施を通じて、事業活動が現金を生成していることが示唆されています。
事業セグメントの収益状況
1. 事業セグメントの収益状況
国内アイウエア事業
売上高: 56,144百万円(前年同期比5.3%増)
営業利益: 4,464百万円(前年同期比12.5%増)
利益率: 営業利益率は約7.94%
海外アイウエア事業
売上高: 17,119百万円(前年同期比25.9%増)
営業利益: 382百万円(前年同期は営業損失651百万円)
利益率: 営業利益率は約2.23%
2. 成長セグメントとリスクの高いセグメント
成長セグメント: 海外アイウエア事業は前年同期比で25.9%の増加を示しており、成長が顕著です。
リスクの高いセグメント: 国内アイウエア事業は成長率が5.3%と比較的低く、競争が激しい市場環境においてリスクが高いと考えられます。
3. 事業ポートフォリオのバランス
国内アイウエア事業は依然として売上の大部分を占めており、安定した利益を上げていますが、成長率は鈍化しています。
海外アイウエア事業は成長を続けており、今後の収益源としてのポテンシャルがあります。
4. 過去との比較トレンド
国内アイウエア事業: 売上高は前年同期比で増加していますが、成長率は鈍化しています。
海外アイウエア事業: 売上高が前年同期比で大幅に増加し、営業損失から営業利益に転換しています。
結論
ジンズホールディングスは国内市場での安定した収益を維持しつつ、海外市場での成長を加速させています。
新規に参入した事業セグメント
有価証券報告書には、新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載はありませんが、アイウエア事業においては、国内外での店舗展開や新商品の開発に注力していることが示されています。
潜在的なリスクの評価
- 知的財産権のリスク: 知的財産の保護や権利行使に障害が生じた場合、第三者による模倣が発生する可能性があります。
- 海外進出に伴うリスク: 海外市場への進出には、法律や規制の違反、想定外の法律改正などのリスクが内在しています。
- 固定資産及び投資有価証券の減損リスク: 店舗の収益性が著しく悪化した場合、減損処理が必要になる可能性があります。
- 経済環境の変動: 新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響により、原材料の高騰や物価上昇が続いています。
- サプライチェーンのリスク: サプライチェーンの再構築やイノベーティブなプロダクト開発の強化が進められていますが、これに伴うリスクも存在します。
将来の業績予測と中期計画
- 売上高成長率の重要性: 売上高成長率は、将来の収益力に基づく課税所得の見積もりにおいて重要な仮定とされています。
- 店舗用固定資産の減損: 国内アイウエア事業において、店舗用固定資産として計上されている有形固定資産は8,838百万円です。
- 将来キャッシュ・フローの見積もり: 将来キャッシュ・フローの見積もりは、経営管理者による各店舗の事業計画との整合性を検討しています。
目標達成の可能性
- 経営者の判断と不確実性: 将来の事業計画における重要な仮定は不確実性を伴い、経営者の判断が含まれています。
- リスク管理体制: 当社は「リスク管理規程」に基づき、リスク管理体制を整備しています。
- 過去の実績との比較: 経営者は過年度の各店舗の事業計画とその後の実績を比較し、見積りプロセスの有効性を評価しています。
結論
株式会社ジンズホールディングスの将来の業績予測や中期計画は、売上高成長率や店舗用固定資産の減損、将来キャッシュ・フローの見積もりに基づいています。
配当履歴と配当政策
配当履歴
2023年度の配当金の総額: 303百万円(中間配当)および583百万円(期末配当)
1株当たりの配当金: 中間配当: 13.00円、期末配当: 25.00円
配当政策
中長期的な株主価値の増大を最重点課題としており、連結配当性向30%を目処に配当を実施しています。