はじめに総括
特記事項
2023年度において、ライオン株式会社は流動資産の減少と流動負債の増加が顕著であり、流動比率が1を下回ることで短期的な支払い能力に懸念が生じています。また、負債比率が1を超えたことは、財務リスクの増加を示唆しています。これらのトレンドは、企業の財務健全性に対する注意を必要とする重要な変動です。
2023年度の総括
ライオン株式会社は2023年度において、以下のような財務状況を示しました。
1. 資産の変動
項目 | 2022年度 | 2023年度 | 変動額 |
---|---|---|---|
流動資産 | 161,268百万円 | 141,171百万円 | 約20,097百万円の減少 |
固定資産 | 171,175百万円 | 177,958百万円 | 約6,783百万円の増加 |
総資産 | 332,443百万円 | 319,129百万円 | 約13,314百万円の減少 |
2. 負債の変動
項目 | 2022年度 | 2023年度 | 変動額 |
---|---|---|---|
流動負債 | 126,024百万円 | 141,574百万円 | 約15,550百万円の増加 |
非流動負債 | 190,110百万円 | 188,229百万円 | 約1,881百万円の減少 |
総負債 | 316,134百万円 | 329,803百万円 | 約13,669百万円の増加 |
3. 純資産の変動
項目 | 2022年度 | 2023年度 | 変動額 |
---|---|---|---|
純資産 | 16,309百万円 | 17,326百万円 | 約1,017百万円の増加 |
4. 財務健全性の評価
流動比率は2022年の1.28から2023年には0.99に低下し、短期的な支払い能力に懸念が生じています。負債比率は2022年の0.95から2023年には1.03に上昇し、資産よりも負債が多い状況を示しています。
来年度以降の事業計画
ライオン株式会社は、以下のような事業計画を策定し、今後の成長を目指すと考えられます。
- 資産の効率的な運用: 流動資産の減少を受けて、在庫管理や資金繰りの見直しを行う必要があります。
- 負債の管理: 短期的な借入金の見直しや、資金調達の多様化を進めることが求められます。
- 収益性の向上: 一般用消費財事業の利益率改善に向けた施策を講じ、原材料費の高騰に対する対策を強化する必要があります。
- 海外事業の拡大: 新市場への進出や製品ラインの拡充を図ることで、収益基盤の強化を目指します。
- 研究開発の強化: 新製品の開発や既存製品の改良を進め、競争力を高めることが重要です。
今後の動向予測
ライオン株式会社の今後の動向については、以下のように予測されます。
- 短期的な財務リスクの増加: 流動比率が1を下回ることで、短期的な支払い能力に懸念が生じており、企業の信用力に影響を与える可能性があります。
- 収益性の改善が期待される: 海外事業の成長が続くことで、全体の収益性が改善される可能性があります。
- 原材料費の影響: 原材料費の高騰が続く場合、一般用消費財事業の利益率にさらなる圧力がかかる可能性があります。
- 持続可能な成長の追求: 環境への配慮や社会的責任を重視した事業運営が求められる中で、持続可能な成長を目指す取り組みが進むと考えられます。
資産、負債、純資産の構成とそのトレンドの分析
1. 資産の構成
項目 | 2022年12月31日 | 2023年12月31日 |
---|---|---|
流動資産合計 | 161,268百万円 | 141,171百万円 |
固定資産合計 | 171,175百万円 | 177,958百万円 |
資産合計 | 332,443百万円 | 319,129百万円 |
2. 負債の構成
項目 | 2022年12月31日 | 2023年12月31日 |
---|---|---|
流動負債合計 | 126,024百万円 | 141,574百万円 |
非流動負債合計 | 190,110百万円 | 188,229百万円 |
負債合計 | 316,134百万円 | 329,803百万円 |
3. 純資産の構成
項目 | 2022年12月31日 | 2023年12月31日 |
---|---|---|
資本合計 | 16,309百万円 | 17,326百万円 |
4. トレンド分析
資産、負債、純資産のトレンドは以下の通りです。
- 資産: 流動資産は減少し、固定資産は増加。総資産は減少。
- 負債: 流動負債は増加し、非流動負債はわずかに減少。総負債は増加。
- 純資産: 純資産は増加。
5. 財務健全性の評価
流動比率と負債比率の評価は以下の通りです。
指標 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|
流動比率 | 1.28 | 0.99 |
負債比率 | 0.95 | 1.03 |
結論
ライオン株式会社は、2023年度において流動資産が減少し、流動負債が増加したため、短期的な支払い能力に懸念が生じています。また、負債比率が1を超えたことは、財務リスクの増加を示唆しています。固定資産の増加はポジティブな要素ですが、全体的には財務健全性に対する注意が必要です。
配当履歴と配当政策
ライオン株式会社の配当政策は、継続的かつ安定的な利益還元を行うことを経営の最重要課題とし、配当は累進配当を基本としています。連結配当性向は30%を目安にしています。