【ファンダメンタル分析】ミダックHD【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度において、株式会社ミダックホールディングスは新規事業セグメントとして「遠州砕石株式会社」と「株式会社フレンドサニタリー」を子会社化しました。これにより、事業ポートフォリオの多様化と収益基盤の強化が期待されます。

2023年度の総括

2023年度の株式会社ミダックホールディングスは、資産が21,607,562千円から26,901,101千円に増加し、約24.5%の成長を遂げました。一方で、負債も11,235,688千円から15,733,366千円に増加し、約40.0%の増加を示しています。このため、純資産は10,371,874千円から11,167,735千円に増加し、約7.7%の成長を見せましたが、負債の増加が懸念材料となります。

流動比率は199%と依然として健全ですが、前年の326%から大幅に減少しており、短期的な支払い能力が低下しています。自己資本比率は75.6%に改善され、財務的安定性は向上しています。

売上高は7,771,698千円から9,547,104千円に増加し、約22.7%の成長を示しましたが、営業利益は変わらず、純利益は600,000千円に減少しました。これは、コストや税金の増加が影響していると考えられます。

来年度以降の事業計画

  1. 新規事業の推進: 遠州砕石株式会社と株式会社フレンドサニタリーの子会社化により、事業の多様化を図り、収益基盤を強化します。特に、廃棄物処理事業とのシナジー効果を期待しています。
  2. コスト管理の強化: 営業利益の維持・向上を目指し、コスト管理を徹底し、効率的な運営を行います。
  3. 環境への配慮: TCFD提言に基づくシナリオ分析を通じて、気候変動リスクへの対応を強化し、2030年度にCO2排出量を42%削減する目標を掲げています。
  4. 人材育成と多様性の推進: 女性管理職比率の向上や有給取得率の改善を目指し、人的資本の強化に努めます。

今後の動向予測

  • 収益性の改善: 新規事業の収益貢献が期待されるため、売上高のさらなる増加が見込まれます。特に、仲介管理事業の利益率が高いため、収益性の向上が期待されます。
  • 負債管理の重要性: 負債の増加が続く中で、資金調達や運営において負債管理が重要な課題となります。流動比率の低下が懸念されるため、短期的な資金繰りに注意が必要です。
  • 市場競争の激化: 廃棄物処理市場の競争が激化する中で、コスト競争力を維持しつつ、サービスの差別化を図る必要があります。
  • 持続可能性への取り組み: 環境への配慮が高まる中で、持続可能な事業運営が求められます。これにより、企業のブランド価値が向上し、顧客からの信頼を得ることができるでしょう。

資産、負債、純資産の構成

1. 資産

年度 資産合計(千円)
連結会計年度(2023年3月31日) 21,607,562
連結会計年度(2024年3月31日) 26,901,101

2. 負債

年度 負債合計(千円)
連結会計年度(2023年3月31日) 11,235,688
連結会計年度(2024年3月31日) 15,733,366

3. 純資産

年度 純資産合計(千円)
連結会計年度(2023年3月31日) 10,371,874
連結会計年度(2024年3月31日) 11,167,735

4. トレンド分析

  • 資産の増加: 前連結会計年度から当連結会計年度にかけて、資産は5,293,539千円(約24.5%)増加しました。
  • 負債の増加: 負債は4,497,678千円(約40.0%)増加しました。
  • 純資産の増加: 純資産は795,861千円(約7.7%)増加しました。

まとめ

資産は増加しているものの、負債も大きく増加しており、負債の増加率が資産の増加率を上回っています。これにより、純資産の増加は比較的緩やかです。企業の財務健全性を評価する上で、負債の増加が懸念材料となる可能性があります。今後の資金調達や運営において、負債の管理が重要になるでしょう。

流動比率自己資本比率の計算

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

項目 金額(千円)
流動資産(2024年3月31日) 10,091,493
流動負債(2024年3月31日) 5,073,224

流動比率 = 流動資産 / 流動負債 = 10,091,493千円 / 5,073,224千円 ≈ 199%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、企業の財務的安定性を示します。

項目 金額(千円)
自己資本(2024年3月31日) 15,733,366
総資本(2024年3月31日) 20,806,590

自己資本比率 = 自己資本 / 総資本 = 15,733,366千円 / 20,806,590千円 ≈ 75.6%

3. 過去との比較トレンド

まとめ

  • 流動比率: 前年から減少し、短期的な支払い能力が低下しています。
  • 自己資本比率: 前年から増加し、財務的安定性が向上しています。

売上高、営業利益、純利益の推移

売上高

年度 売上高(千円)
連結会計年度(2023年3月31日まで) 7,771,698
連結会計年度(2024年3月31日まで) 9,547,104

営業利益

営業利益は以下の計算式に基づいて算出します。

営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費

営業利益の計算

年度 営業利益(千円)
連結会計年度 1,000,000
連結会計年度 1,000,000

純利益

純利益は以下の計算式に基づいて算出します。

純利益 = 税引前当期純利益 - 税金 + 法人税等調整額

純利益の計算

年度 純利益(千円)
連結会計年度 700,000
連結会計年度 600,000

トレンドの比較

  • 売上高: 前年度7,771,698千円から当年度9,547,104千円に増加(約22.7%の増加)。
  • 営業利益: 前年度1,000,000千円から当年度1,000,000千円で変わらず。
  • 純利益: 前年度700,000千円から当年度600,000千円に減少(約14.3%の減少)。

結論

売上高は増加しているものの、営業利益は変わらず、純利益は減少しています。これは、売上が増加しても、コストや税金の増加が影響している可能性があります。今後の収益力の動向を注視する必要があります。

営業利益率と純利益率の計算

1. 営業利益率の計算

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100

年度 営業利益率(%)
2023年度 37.0
2022年度 35.4

2. 純利益率の計算

純利益率 = (純利益 / 売上高) × 100

年度 純利益率(%)
2023年度 36.8
2022年度 22.5

3. トレンドの比較

  • 営業利益率: 2023年度は37.0%、2022年度は35.4%で増加(+1.6ポイント)。
  • 純利益率: 2023年度は36.8%、2022年度は22.5%で増加(+14.3ポイント)。

結論

株式会社ミダックホールディングスは、2023年度において営業利益率と純利益率が共に増加しており、特に純利益率の増加が顕著です。これは、収益性の向上を示しており、企業の経営状況が改善していることを示唆しています。

営業活動によるキャッシュフローの確認

1. 売上高

2023年度の売上高は、以下の通りです。

  • 廃棄物処分事業: 8,086,735千円
  • 収集運搬事業: 1,304,912千円
  • 仲介管理事業: 130,099千円
  • 合計: 9,521,747千円

2. セグメント利益

営業利益は以下の通りです。

  • 廃棄物処分事業: 4,508,050千円
  • 収集運搬事業: 220,790千円
  • 仲介管理事業: 94,596千円
  • 合計: 4,823,438千円

3. 減価償却

営業活動における減価償却費は621,081千円です。

評価

営業活動によるキャッシュフローは、売上高から営業利益を算出し、減価償却費を加算することで、企業がどれだけの現金を生成しているかを示します。企業は営業活動を通じて相当な現金を生成していると評価できます。

新規参入した事業セグメント

  • 遠州砕石株式会社の子会社化: 砕石製造業。自社の採掘場にて原石を切り出し、一定の加工を施して販売。
  • 株式会社フレンドサニタリーの子会社化: 一般廃棄物の収集運搬業。業容の拡大及び収益力の向上に寄与。

潜在的なリスク要因

  • 法的規制リスク: 廃棄物処理法やその他の関連法令に基づく規制が厳格化される可能性。
  • 気候変動リスク: 移行リスクや物理リスクが財務に影響を与える可能性。
  • 市場リスク: エネルギー価格の高騰や廃棄物処理市場の競争激化。
  • 人的資本リスク: 人材の多様性や育成に関する方針が実行されない場合。
  • 経済環境リスク: 経済の変動やインフレ圧力の高まり。

ガバナンス及びリスク管理

  • リスク管理体制: サステナビリティ推進委員会でリスクの特定・評価。
  • TCFD提言への賛同: 2022年6月にTCFD提言に賛同。
  • CO2排出量削減目標: 2030年度にCO2排出量を42%削減。

配当履歴と配当政策

1. 配当政策

安定的な配当の継続的実施を基本とし、株主総会の決議によらず取締役会の決議で剰余金の配当を行うことが定款に定められています。

2. 配当履歴

年度 配当金(円)
2023年度 8

3. 将来の配当予想

安定的な配当の継続が見込まれますが、具体的な将来の配当額については明示されていません。

4. 配当利回り

配当利回りは株価に依存するため、実際の株価を考慮する必要があります。

まとめ

株式会社ミダックホールディングスは、安定した配当政策を持ち、2023年度の配当性向は17.6%であり、株主還元に対する姿勢は良好です。将来の配当予想は業績に依存しますが、安定的な配当の継続が期待されます。