【ファンダメンタル分析】KOKUSAI【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

株式会社KOKUSAI ELECTRICは、2023年度において売上高が前年から約26.4%減少し、営業利益は横ばいである一方、純利益は224億円に達しました。これにより、企業の収益性に影響を与える要因が顕在化しています。

今年度の総括

2023年度の財務状況は、総資産が3,754億円に増加し、負債合計は1,880億円に減少、純資産は1,874億円に増加しました。特に、負債の減少は246億円に及び、財務健全性が向上していることを示しています。流動比率は374.3%と非常に高く、短期的な支払い能力が良好であることが確認されました。自己資本比率も50.6%と高水準を維持しており、企業の財務基盤は堅固です。

しかし、売上高の減少は懸念材料であり、特に半導体市場の需要が減少していることが影響しています。営業利益は307億円で前年と変わらず、営業利益率は17.0%を維持していますが、売上高の減少が今後の利益に影響を与える可能性があります。

来年度以降の事業計画

  1. 新規顧客開拓: 半導体市場の回復を見越し、新規顧客の獲得に注力します。
  2. 製品の多様化: 新製品の投入を通じて市場シェアを拡大し、競争力を強化します。
  3. コスト管理: 負債の減少を背景に、コスト削減を図り、利益率の改善を目指します。
  4. 研究開発の強化: 技術革新を進め、顧客ニーズに応える製品開発を行います。

今後の動向予測

  • 市場回復の期待: 半導体バイス市場は2024年後半から2025年にかけて需要が回復する見込みであり、これに伴い売上高の増加が期待されます。
  • 競争環境の変化: 競争が激化する中で、技術革新やコスト競争力が企業の成長に影響を与えるでしょう。
  • リスク管理の重要性: マクロ経済環境や主要顧客の動向に注意を払い、リスク管理を強化する必要があります。

結論

株式会社KOKUSAI ELECTRICは、財務基盤が堅固である一方、売上高の減少が懸念されます。市場の回復を見越した戦略を展開し、競争力を維持・向上させることが今後の成長に繋がると考えられます。

1. 財務状況の概要

総資産

  • 2024年3月31日: 3,754億円
  • 2023年3月31日: 3,735億円(前期比19億円増加)

負債合計

  • 2024年3月31日: 1,880億円
  • 2023年3月31日: 2,126億円(前期比246億円減少)

純資産

  • 2024年3月31日: 1,874億円
  • 2023年3月31日: 1,609億円(前期比265億円増加)

2. トレンド分析

総資産は、2023年3月31日から2024年3月31日までの間に19億円増加しました。これは、棚卸資産の増加(205億円)や有形固定資産の増加(166億円)が寄与しています。

負債合計は、246億円減少しました。主な要因は、契約負債の減少(66億円)、借入金の減少(60億円)、営業債務及びその他の債務の減少(51億円)です。

純資産は、265億円増加しました。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が227億円増加したことや、為替相場の変動に伴う在外営業活動体の換算差額の増加(33億円)が影響しています。

3. 過去の数値との比較

年度 総資産 (億円) 負債合計 (億円) 純資産 (億円)
2024年3月31日 3,754 1,880 1,874
2023年3月31日 3,735 2,126 1,609
2022年3月31日 3,565 2,200 1,365

4. トレンドの解釈

  • 総資産: 増加傾向にあり、特に2024年度は前年よりも増加しています。
  • 負債合計: 減少しており、財務健全性が向上していることを示しています。
  • 純資産: 増加しており、企業の自己資本比率が改善されていることを示唆しています。

5. 営業活動によるキャッシュフローの確認

営業活動によるキャッシュフローは、売上収益の減少にもかかわらず、営業債権の減少が見られるため、企業の事業活動が現金を生成している可能性があると考えられます。ただし、売上収益の減少は注意が必要であり、今後の業績に影響を与える可能性があります。

6. 事業セグメントの収益や利益率の動向

決算年月 売上収益(百万円)
2019年9月 125,783
2020年3月 67,620
2021年3月 178,023
2022年3月 245,425
2023年3月 245,721
2024年3月 180,838

7. 結論

KOKUSAI ELECTRICは半導体製造装置事業において成長を遂げてきましたが、最近の業績は減少傾向にあり、今後の市場環境や競争状況に対する対応が求められます。事業ポートフォリオのバランスを評価し、リスク管理や新規顧客開拓に注力することが重要です。