【ファンダメンタル分析】松屋フーズHD【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

株式会社松屋フーズホールディングスは、今年度において売上高が前年同期比19.7%増、営業利益が262.5%増、純利益が132.3%増と、全体的に業績が大幅に改善しました。特に営業利益の増加率が顕著であり、効率的なオペレーションやコスト管理が功を奏した結果と考えられます。

1. 今年度の総括

株式会社松屋フーズホールディングスは、資産が911億20百万円に増加し、前年の796億97百万円から約14.3%の増加を記録しました。一方で、負債も472億46百万円に増加し、前年の382億94百万円から約23.4%の増加を示しています。これにより、自己資本比率は48.2%に低下し、財務健全性に対する懸念が生じています。

営業活動によるキャッシュフローは132億36百万円と前年同期比で増加し、事業活動を通じて現金を生成していることが確認されました。特に、牛めし業態の新規出店や既存店の売上増加が寄与し、全体的に業績が好調であることが示されています。

2. 来年度以降の事業計画

  • 新規出店の継続: 今年度は72店舗を新規出店し、来年度も同様のペースで出店を続ける計画です。特に牛めし業態の拡大が期待されます。
  • 既存店舗の改装: 197店舗の改装を実施し、顧客体験の向上を図ります。
  • 人材投資: 初任給の引上げや待遇改善を行い、従業員のモチベーション向上を図ります。

3. 今後の動向予測

  • 売上高の増加: 新規出店や既存店の改装により、売上高は引き続き増加する見込みです。特に、インバウンド需要の回復が期待されるため、外食需要の増加が見込まれます。
  • コスト管理の重要性: 原材料や人件費の上昇に対して、効率的なオペレーションやコスト削減策を講じることで、利益率の維持が可能です。
  • リスク管理の強化: 食材調達や衛生管理、海外展開に関するリスクが存在するため、これらのリスク管理が今後の成長において重要な要素となります。

結論

株式会社松屋フーズホールディングスは、業績が大幅に改善しており、今後も新規出店や改装、人材投資を通じて成長を目指しています。市場環境やコスト管理、人材戦略の実行が成功すれば、持続的な成長が期待できるでしょう。財務健全性の向上に向けた取り組みも重要であり、負債の管理と資本の強化が今後の課題となります。

1. 財務状態の概要

a. 資産

項目 金額
連結会計年度末の資産合計 911億20百万円
連結会計年度末の資産合計 796億97百万円
増加額 114億23百万円(約14.3%の増加)

b. 負債

項目 金額
連結会計年度末の負債合計 472億46百万円
連結会計年度末の負債合計 382億94百万円
増加額 89億52百万円(約23.4%の増加)

c. 純資産

項目 金額
連結会計年度末の純資産合計 438億73百万円
連結会計年度末の純資産合計 414億03百万円
増加額 24億70百万円(約6.0%の増加)

2. 財務健全性の評価

  • 自己資本比率:
  • 負債比率:
    • 連結会計年度末: 107.7%
    • 連結会計年度末: 92.4%
    • トレンド: 負債比率が上昇しており、負債の増加が純資産の増加を上回っていることがわかります。

3. トレンドの分析

  • 資産の増加: 資産は114億23百万円増加しており、これは新規出店や設備投資によるものと考えられます。
  • 負債の増加: 負債は89億52百万円増加しており、特に借入金や未払金の増加が影響している可能性があります。
  • 純資産の増加: 純資産は24億70百万円増加していますが、自己資本比率の低下は、負債の増加が純資産の増加を上回っていることを示しています。

4. 結論

株式会社松屋フーズホールディングスは、資産は増加しているものの、負債の増加がそれを上回っており、自己資本比率が低下しています。これは、財務健全性に対する懸念を示唆しています。今後の成長戦略において、負債の管理と資本の強化が重要な課題となるでしょう。

株式会社松屋フーズホールディングスの有価証券報告書に基づいて、流動比率自己資本比率を計算し、短期および長期の支払い能力を判断します。

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

  • 流動資産(令和6年3月31日): 32,167,609千円
  • 流動負債(令和6年3月31日): 21,974,496千円

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100

流動比率 = (32,167,609 / 21,974,496) × 100 ≈ 146.5%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資産で割った比率で、長期的な支払い能力を示します。

  • 自己資本(令和6年3月31日): 43,873,981千円
  • 総資産(令和6年3月31日): 91,120,797千円

自己資本比率 = (自己資本 / 総資産) × 100

自己資本比率 = (43,873,981 / 91,120,797) × 100 ≈ 48.1%

3. 過去の数値との比較

流動比率の過去数値

  • 流動資産(令和5年3月31日): 26,995,977千円
  • 流動負債(令和5年3月31日): 17,209,433千円

流動比率(令和5年) = (26,995,977 / 17,209,433) × 100 ≈ 156.5%

自己資本比率の過去数値

  • 自己資本(令和5年3月31日): 41,403,131千円
  • 総資産(令和5年3月31日): 79,697,148千円

自己資本比率(令和5年) = (41,403,131 / 79,697,148) × 100 ≈ 52.0%

4. トレンド分析

  • 流動比率:
    • 令和5年: 約156.5%
    • 令和6年: 約146.5%
    • トレンド: 流動比率は減少していますが、依然として100%を超えており、短期的な支払い能力は良好です。
  • 自己資本比率:
    • 令和5年: 約52.0%
    • 令和6年: 約48.1%
    • トレンド: 自己資本比率も減少していますが、48.1%は依然として健全な水準です。長期的な支払い能力には影響があるかもしれませんが、依然として安定しています。

結論

株式会社松屋フーズホールディングスは、流動比率146.5%と自己資本比率48.1%を持ち、短期および長期の支払い能力は良好ですが、両方の比率が前年よりも減少しているため、注意が必要です。特に自己資本比率の低下は、将来的な資金調達や経営の安定性に影響を与える可能性があります。

株式会社松屋フーズホールディングスの有価証券報告書に基づいて、売上高、営業利益、純利益の推移と収益力の動向を評価し、過去との比較を行います。

1. 売上高の推移

  • 連結会計年度: 127,611,491千円
  • 連結会計年度: 106,598,594千円
  • 増減額: 21,012,897千円
  • 増減率: 約19.7%

トレンド: 売上高は前年に比べて19.7%増加しており、特に既存店売上が114.4%と前年を上回ったことが寄与しています。新規出店も影響しており、全体的に売上が好調であることが示されています。

2. 営業利益の推移

  • 連結会計年度: 5,322,000千円
  • 連結会計年度: 1,468,400千円
  • 増減額: 3,853,600千円
  • 増減率: 約262.5%

トレンド: 営業利益は前年に比べて262.5%増加しており、売上高の増加に伴い、固定費の割合が低下したことが影響しています。これは、効率的なオペレーションやコスト管理が功を奏した結果と考えられます。

3. 親会社株主に帰属する当期純利益の推移

  • 連結会計年度: 2,915,000千円
  • 連結会計年度: 1,255,139千円
  • 増減額: 1,659,861千円
  • 増減率: 約132.3%

トレンド: 当期純利益は前年に比べて132.3%増加しており、営業利益の増加が直接的な要因です。利益剰余金の増加も影響しており、全体的に収益力が向上していることが示されています。

収益力の動向

  • 売上高、営業利益、純利益のいずれも前年に比べて大幅に増加しており、特に営業利益の増加率が高いことから、効率的な経営が行われていることが伺えます。
  • 売上原価率は33.6%から34.2%に上昇していますが、販売費及び一般管理費の割合が改善されているため、全体的な収益性は向上しています。

結論

松屋フーズホールディングスは、売上高、営業利益、純利益のいずれも前年を大きく上回る結果を出しており、特に営業利益の増加が顕著です。効率的なオペレーションと新規出店の成功が収益力の向上に寄与していると考えられます。今後もこのトレンドが続くことが期待されます。

株式会社松屋フーズホールディングスの有価証券報告書に基づいて、営業利益率と純利益率を計算し、収益性を判断します。また、過去の数値と比較したトレンドについても説明します。

1. 営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

  • 営業利益: 53億22百万円
  • 売上高: 1,276億11百万円

営業利益率の計算式は以下の通りです。

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100

営業利益率 = (53.22 / 1,276.11) × 100 ≈ 4.17%

2. 純利益率の計算

純利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を売上高で割ったものです。

純利益率の計算式は以下の通りです。

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100

純利益率 = (29.15 / 1,276.11) × 100 ≈ 2.28%

3. 過去の数値との比較

過去の数値は具体的に示されていないため、一般的なトレンドを考慮します。以下は、過去の数値があった場合のトレンド分析の例です。

  • 営業利益率のトレンド:
    • 前期の営業利益率が2.5%だった場合、現在の4.17%は改善を示しています。
    • これは、売上高の増加やコスト管理の改善が寄与している可能性があります。
  • 純利益率のトレンド:
    • 前期の純利益率が1.5%だった場合、現在の2.28%も改善を示しています。
    • これも、売上高の増加や経費の効率化が影響していると考えられます。

4. 収益性の判断

  • 営業利益率が4.17%であることは、企業が売上高に対してどれだけの利益を上げているかを示す指標であり、過去の数値と比較して改善している場合、経営効率が向上していると判断できます。
  • 純利益率が2.28%であることも、企業が最終的にどれだけの利益を確保しているかを示し、こちらも改善している場合は、全体的な収益性が向上していると評価できます。

このように、営業利益率と純利益率の両方が改善している場合、企業の収益性は向上していると判断できます。具体的な過去の数値があれば、より詳細なトレンド分析が可能です。

株式会社松屋フーズホールディングスの有価証券報告書に基づいて、営業活動によるキャッシュフローを確認し、企業の事業活動が現金を生成しているかを評価します。

営業活動によるキャッシュフローの状況

連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、132億36百万円の収入となっています。前年同期は86億47百万円の収入であったため、営業活動によるキャッシュフローは前年同期比で増加しています。

営業活動によるキャッシュフローの主な要因

これらの要因により、営業活動から得られた資金が増加しています。特に、税金等調整前当期純利益の増加と減価償却費の計上が、キャッシュフローの増加に寄与しています。

評価

営業活動によるキャッシュフローが132億36百万円と前年同期比で増加していることから、株式会社松屋フーズホールディングスは事業活動を通じて現金を生成していると評価できます。これは、企業の収益性が向上していることを示しており、健全な経営状態を反映しています。

また、営業活動によるキャッシュフローがプラスであることは、企業が日常的な運営を維持し、投資や借入金の返済、配当金の支払いなどの財務活動を行うための資金を確保していることを意味します。したがって、松屋フーズホールディングスは、事業活動を通じて安定した現金生成能力を持っていると考えられます。

株式会社松屋フーズホールディングスの有価証券報告書に基づいて、事業セグメントの収益状況や成長性、リスクを分析します。

1. 事業セグメントの収益状況

セグメント別の業態

  • 牛めし業態: 1,034店舗
  • とんかつ業態: 184店舗
  • 鮨業態: 12店舗
  • 海外・その他業態: 35店舗

売上高

  • 総売上高: 1,276億11百万円(前期比19.7%増)
  • 既存店売上: 前期比114.4%増
  • 新規出店による売上増加が寄与

利益率

  • 営業利益: 53億22百万円(前期比262.5%増)
  • 経常利益: 59億78百万円(前期比52.7%増)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 29億15百万円(前期比132.3%増)

2. 成長セグメントとリスク

成長セグメント

  • 牛めし業態: 新規出店と既存店の売上増加により、業績が好調。
  • とんかつ業態: 業態変更を通じて牛めし業態へのシフトが進行中。

リスク要因

  • 食材調達リスク: 異常気象や疫病、法律・規制の変更による安定調達の困難さ。
  • 衛生管理リスク: 食品衛生法に基づく規制の影響。
  • 海外での事業展開リスク: 法律・規制の変更、政治・経済要因、為替変動など。
  • 人件費負担リスク: 労働法令の改正による人件費の増加。
  • 災害リスク: 自然災害や感染症による事業継続の困難さ。

3. 事業ポートフォリオのバランス

  • 新規出店: 72店舗(牛めし51店舗、とんかつ7店舗、鮨4店舗、海外・その他10店舗)
  • 撤退店舗: 22店舗(牛めし15店舗、とんかつ1店舗、鮨1店舗、海外・その他5店舗)
  • 店舗数の変動: 連結会計年度末の店舗数は1,265店舗(FC店5店舗、海外15店舗)。

4. トレンドの比較

  • 売上高の増加: 前期比19.7%増
  • 営業利益の大幅増加: 前期比262.5%増
  • 経常利益の増加: 前期比52.7%増
  • 親会社株主に帰属する当期純利益の増加: 前期比132.3%増

結論

株式会社松屋フーズホールディングスは、牛めし業態を中心に成長を遂げており、全体的に業績が好調です。しかし、食材調達や衛生管理、海外展開に関するリスクが存在するため、これらのリスク管理が今後の成長において重要な要素となります。事業ポートフォリオは新規出店と業態変更を通じてバランスを保っており、今後の成長が期待されます。

株式会社松屋フーズホールディングスの有価証券報告書に記載されているリスク要因を以下にまとめます。

これらのリスクは、企業の財政状態、経営成績、キャッシュ・フローに重要な影響を与える可能性があります。

1. 食材調達に関するリスク

  • リスク内容: 原産地の異常気象や疫病の発生、法律・規制の変更により、安定した食材調達が困難になる可能性がある。また、為替変動による価格上昇もリスク要因。
  • 対策: 在庫水準の適正化や産地・取引先の分散化に取り組んでいる。

2. 衛生管理に関するリスク

  • リスク内容: 食品衛生法に基づく規制により、食中毒等の事故が発生した場合、営業許可の取り消しや営業停止等のリスクがある。
  • 影響: これにより業績に悪影響を及ぼす可能性がある。

3. 海外での事業展開に関するリスク

  • リスク内容: 海外事業(中国、台湾、香港、ベトナム)において、法律・規制の変更、政治・経済要因、人材の採用難、為替レートの変動、社会的混乱等のリスクが存在。
  • 影響: これらの要因が業績に影響を与える可能性がある。

4. 人件費負担に関するリスク

  • リスク内容: 労働法令の改正等により人件費が増加する可能性がある。
  • 対策: セルフサービス店舗の増加やオペレーションの効率化を進めている。

5. 災害等に関するリスク

  • リスク内容: 自然災害や感染症の流行により事業継続が困難になるリスクがある。
  • 対策: 事業継続計画を策定し、迅速な対応を行う体制を整えている。

潜在的なリスク評価

これらのリスクは、企業の運営において非常に重要であり、特に食材調達や衛生管理に関するリスクは、直接的に顧客の信頼やブランドイメージに影響を与える可能性があります。また、海外展開に伴うリスクは、国際的な市場での競争力や成長機会に影響を及ぼすため、慎重な管理が求められます。人件費や災害リスクも、経営の安定性に直結するため、これらのリスクを適切に管理することが企業の持続的な成長にとって不可欠です。

新規事業セグメント

報告書には新規事業セグメントに関する具体的な記載はありませんが、海外展開の拡大が新たな事業機会として挙げられています。特に、台湾やベトナムでの事業活動が計画されており、これらの市場での成功が企業成長に寄与する可能性があります。

以上のリスク要因を考慮し、企業はリスク管理体制を強化し、持続可能な成長を目指す必要があります。

株式会社松屋フーズホールディングスの有価証券報告書に基づいて、将来の業績予測や中期計画、目標達成の可能性について説明いたします。

1. 将来の業績予測

当社は、インバウンド需要の回復に期待を寄せつつも、原料や資材、エネルギー単価の高騰といった厳しい経営環境が続いていると認識しています。これに対処するため、以下の施策を講じています。

  • 新規出店: 当連結会計年度には、牛めし業態51店舗、とんかつ業態7店舗、鮨業態4店舗、海外・その他業態10店舗の合計72店舗を出店しました。これにより、売上の増加が期待されます。
  • 既存店舗の改装: 197店舗の改装を実施し、顧客体験の向上を図っています。
  • 人材投資: 初任給の引上げや待遇改善を行い、従業員のモチベーション向上を図っています。

これらの施策により、売上高は前期比19.7%増の1,276億11百万円を達成しました。今後も新規出店や改装を通じて、売上のさらなる増加を目指します。

2. 中期計画

当社は、以下の中期的な目標を設定しています。

  • 食品廃棄物の再利用率: 自社食品廃棄物再生利用率の実質100%を目指しています。2022年度の実績は84.0%でした。
  • 気候変動への対応: TCFDに基づく気候変動リスクの特定と評価を行い、2030年、2050年、2100年時点での財務影響の試算を進めています。
  • 人材戦略: 中途入社社員比率60.0%、外国人社員比率10.0%、女性管理職比率10.0%を目指しています。

3. 目標達成の可能性

目標達成の可能性については、以下の要因が影響します。

  • 市場環境: インバウンド需要の回復や消費者の外食需要の増加が見込まれる場合、売上の増加が期待できます。
  • コスト管理: 原材料や人件費の上昇に対して、効率的なオペレーションやコスト削減策を講じることで、利益率の維持が可能です。
  • 人材の確保と育成: ダイバーシティを推進し、多様な人材を確保することで、組織の競争力を高めることができます。

結論

株式会社松屋フーズホールディングスは、厳しい経営環境の中でも新規出店や改装、人材投資を通じて成長を目指しています。中期的な目標に対しても、適切な施策を講じることで達成の可能性が高いと考えられます。市場環境やコスト管理、人材戦略の実行が成功すれば、持続的な成長が期待できるでしょう。