はじめに総括
特記事項
2023年度において、SWCC株式会社は全体的に財務状態が改善し、特に有利子負債が大幅に減少したことが顕著なトレンドとして挙げられます。自己資本比率も上昇し、企業の財務的安定性が向上しています。
2023年度の総括
SWCC株式会社は2023年度において、資産合計が1,615億83百万円に達し、前年度比49億32百万円の増加を記録しました。流動資産と固定資産の両方が増加しており、特に現金及び預金の増加が流動資産の増加に寄与しています。負債合計は844億56百万円で、前年度比38億3百万円減少し、特に流動負債が44億28百万円減少しました。これにより、有利子負債は302億82百万円と大幅に減少し、財務健全性が向上しています。
純資産合計は771億26百万円で、前年度比87億36百万円の増加を示し、親会社株主に帰属する当期純利益が主な要因です。自己資本比率は47.0%に達し、前年度比3.9ポイントの改善が見られます。流動比率は134.1%と、短期的な支払い能力は依然として高いものの、前年の208.5%から大幅に減少しています。
売上高は2,139億4百万円で前年度比2.3%増、営業利益は128億24百万円で22.4%増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は6.1%減少しました。これは、営業活動の改善が見られる一方で、他の要因が影響していることを示唆しています。
来年度以降の事業計画
SWCC株式会社は「Change & Growth SWCC 2026」という中期経営計画を策定し、2030年までに総合電線メーカーの枠を超えたソリューション提案型メーカーへの変貌を目指しています。特に、エネルギー・インフラ事業においては、電力インフラ向けの需要が堅調であり、再生可能エネルギー関連の需要が見込まれています。
新規事業としては、IT事業の強化やSWCC Smart Stream事業を通じた新しいビジネスモデルの創出が挙げられます。また、労働人口不足に対する対策として、人材の確保と育成が重要な課題となっています。
今後の動向予測
SWCC株式会社は、エネルギー・インフラ事業の成長が期待される一方で、電装・コンポーネンツ事業や通信・産業用デバイス事業はリスクが高いと評価されています。特に、原材料価格の変動や労働人口不足、サプライチェーンのリスクが企業の成長に影響を与える可能性があります。
財務状況が改善されていることから、今後の成長戦略が実行されれば、2030年までの成長目標の達成が期待されますが、外部環境の変化に対する柔軟な対応が求められます。特に、電力インフラ関連の需要が堅調であることから、SWCC株式会社は今後も成長を続ける可能性が高いと考えられます。
財務状態の概要
- 資産合計: 2023年度末: 1,615億83百万円 (前年度比49億32百万円増加)
- 流動資産: 2023年度末: 増加23億89百万円 (主な要因: 現金及び預金の増加)
- 固定資産: 2023年度末: 増加25億43百万円 (主な要因: 退職給付に係る資産の増加)
- 負債合計: 2023年度末: 844億56百万円 (前年度比38億3百万円減少)
- 流動負債: 2023年度末: 減少44億28百万円 (主な要因: 短期借入金の減少)
- 固定負債: 2023年度末: 増加6億24百万円 (主な要因: 長期借入金の増加)
- 純資産合計: 2023年度末: 771億26百万円 (前年度比87億36百万円増加)
- 有利子負債: 2023年度末: 302億82百万円 (前年度比108億94百万円減少)
- 自己資本比率: 2023年度末: 47.0% (前年度比3.9ポイント増加)
- DEレシオ(負債資本比率): 2023年度末: 40% (前年度比21ポイント改善)
総括
SWCC株式会社は、2023年度において資産、純資産が増加し、負債が減少することで財務状態が改善しています。特に、有利子負債の減少と自己資本比率の向上は、企業の財務健全性を示す重要な指標です。今後もこのトレンドが続くことが期待されます。
流動比率と自己資本比率の計算
流動比率の計算
流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。
自己資本比率の計算
過去の数値との比較
流動比率の過去数値
2023年3月31日: 流動比率 ≈ 208.5%
自己資本比率の過去数値
2023年3月31日: 自己資本比率 ≈ 43.6%
トレンドの分析
流動比率
流動比率は大幅に減少しており、短期的な支払い能力が低下していることを示しています。
自己資本比率
自己資本比率は増加しており、長期的な支払い能力が改善していることを示しています。
結論
SWCC株式会社は、短期的な支払い能力が低下している一方で、長期的な支払い能力は改善していることがわかります。流動比率の低下は注意が必要ですが、自己資本比率の改善はポジティブな要素です。
売上高、営業利益、純利益の推移
売上高の推移
2023年度: 2,139億4百万円(前年度比2.3%増)
営業利益の推移
2023年度: 128億24百万円(前年度比22.4%増)
経常利益の推移
2023年度: 122億13百万円(前年度比17.5%増)
親会社株主に帰属する当期純利益の推移
2023年度: 88億38百万円(前年度比6.1%減)
トレンド分析
売上高
売上高は2023年度において前年度比で2.3%の増加を示しており、国内向け建設関連および電力インフラ関連市場の堅調な推移が寄与しています。
営業利益
営業利益は22.4%の大幅な増加を記録しており、原材料・エネルギー価格の高騰に対する販売価格の見直しや原価低減の取り組みが功を奏した結果と考えられます。
経常利益
経常利益も17.5%の増加を示しており、営業利益の増加がそのまま経常利益に反映されています。
当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は6.1%減少しています。
結論
全体として、SWCC株式会社は2023年度において売上高と営業利益の増加を達成し、経常利益も増加していますが、当期純利益は減少しています。
営業活動によるキャッシュフローの概要
売上高の増加
当連結会計年度の売上高は2,139億4百万円で、前年度比2.3%増加しています。
営業利益の増加
営業利益は128億24百万円で、前年度比22.4%の増加です。
経常利益と純利益
経常利益は122億13百万円(前年同期比17.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は88億38百万円(前年同期比6.1%減)となっています。
キャッシュフローの評価
キャッシュ生成能力
売上高と営業利益の増加は、企業が営業活動を通じて現金を生成していることを示しています。
流動資産の増加
流動資産が増加していることは、営業活動からのキャッシュフローがプラスであることを示唆しています。
負債の状況
負債合計は減少しており、特に流動負債の減少は、短期的な支払い能力が改善されていることを示しています。
結論
SWCC株式会社は、2023年度において営業活動を通じて現金を生成しており、健全なキャッシュフローを維持していると評価できます。
各事業セグメントの収益状況
エネルギー・インフラ事業
売上高: 1,232億26百万円(前年度比8.7%増)
営業利益: 106億98百万円(前年度比39.6%増)
電装・コンポーネンツ事業
売上高: 552億83百万(前年度比4.9%減)
営業利益: 16億29百万円(前年度比3.7%減)
通信・産業用デバイス事業
売上高: 307億14百万円(前年度比7.6%減)
営業利益: 13億81百万円(前年度比22.1%減)
事業ポートフォリオのバランス評価
成長セグメント: エネルギー・インフラ事業は、売上高と営業利益がともに増加しており、成長が見込まれます。
リスクの高いセグメント: 電装・コンポーネンツ事業と通信・産業用デバイス事業は、売上高と利益が減少しており、リスクが高いと評価されています。
過去との比較トレンド
エネルギー・インフラ事業
前年度比で売上高が8.7%増、営業利益が39.6%増と、成長トレンドが続いています。
電装・コンポーネンツ事業
前年度比で売上高が4.9%減、営業利益が3.7%減と、減少トレンドが見られます。
通信・産業用デバイス事業
前年度比で売上高が7.6%減、営業利益が22.1%減と、減少トレンドが続いています。
結論
SWCC株式会社の事業ポートフォリオは、エネルギー・インフラ事業が成長を続けている一方で、電装・コンポーネンツ事業と通信・産業用デバイス事業はリスクが高く、収益が減少しています。
新規参入事業セグメント
SWCC株式会社は「モビリティ、インダストリ、ITを軸に新たな事業創出に向けて取り組みを推進している」と述べています。
潜在的なリスク評価
- 自然災害リスク
- 原材料・エネルギー価格変動リスク
- 人材確保リスク
- サプライチェーンリスク
- 環境・気候変動リスク
- 品質問題リスク
結論
SWCC株式会社は、様々なリスクに対して対策を講じていますが、依然として多くの潜在的なリスクに直面しています。
中期経営計画「Change & Growth SWCC 2026」
SWCC株式会社は、明確な中期経営計画と成長戦略を持ち、堅調な業績を維持しています。