【ファンダメンタル分析】エイチワン【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

株式会社エイチワンは2023年度において、資産の大幅な減少と負債の急増が見られ、特に長期金銭債務が増加したことが顕著なトレンドです。これにより、財務健全性に対する懸念が高まっています。

1. 2023年度の総括

2023年度の有価証券報告書によると、株式会社エイチワンは以下のような財務状況を示しています。

  • 資産: 68,982百万円(前年から約16,252百万円の減少)
  • 負債: 28,551百万円(前年から約19,874百万円の増加)
  • 純資産: 40,431百万円(前年から約36,126百万円の減少)

これにより、自己資本比率が低下し、企業の財務的安定性が損なわれる可能性があります。特に、長期金銭債務の増加は将来のキャッシュフローに対する圧力を示唆しています。

2. 来年度以降の事業計画

株式会社エイチワンは、以下のような事業計画を策定しています。

  • 売上高の増加: 2023年度の売上高は232,730百万円と予測され、前年から約3,219百万円の増加を見込んでいます。特に、日本とアジア・大洋州での成長が期待されています。
  • コスト管理: 販売費及び一般管理費の適切な管理を行い、利益率の改善を目指します。特に、研究開発費の効率的な使用が重要です。
  • 市場環境への適応: 中国市場での事業環境の悪化に対処するため、地域ごとの戦略を見直し、競争力を高めることが求められます。

3. 今後の動向予測

  • 売上高の成長: 自動車部品市場の需要が堅調であれば、計画に基づいた売上高の増加が期待されます。特に、電動車やハイブリッド車向けの部品需要が増加することが予想されます。
  • 利益率の改善: コスト管理が適切に行われれば、利益率の改善が期待されますが、減損損失や一部セグメントの損失が影響を与える可能性があります。
  • リスク管理の強化: 経済状況の変動や市場の不確実性に対処するため、リスク管理の強化が求められます。特に、中国市場のリスクが高いため、柔軟な対応が必要です。

結論

株式会社エイチワンは、2023年度において売上高の増加を目指しつつ、財務健全性の回復に向けた取り組みが求められます。市場環境の変化に柔軟に対応し、リスク管理を強化することで、持続可能な成長を実現することが期待されます。

株式会社エイチワンの2023年度の有価証券報告書に基づく財務健全性の評価

1. 資産、負債、純資産の構成

資産

  • 流動資産(2024年3月31日)
    • 日本: 13,932百万円
    • 北米: 21,776百万円
    • 中国: 18,164百万円
    • アジア・大洋州: 15,108百万円
    • 合計: 68,982百万円

負債

  • 短期金銭債務: 2,804百万円
  • 長期金銭債務: 25,747百万円(KTH Parts Industries, Inc.からの借入れ)
  • 合計負債: 28,551百万円(短期金銭債務 + 長期金銭債務)

純資産

  • 純資産: 資産 - 負債
  • 純資産合計: 68,982百万円 - 28,551百万円 = 40,431百万円

2. 過去の数値との比較

資産のトレンド

  • 2023年3月31日: 85,234百万円(非流動資産
  • 2024年3月31日: 68,982百万円
  • トレンド: 資産は減少しています。前年から約16,252百万円の減少。

負債のトレンド

  • 2023年3月31日: 8,677百万円(短期金銭債務)
  • 2024年3月31日: 28,551百万円(短期金銭債務 + 長期金銭債務)
  • トレンド: 負債は大幅に増加しています。前年から約19,874百万円の増加。

純資産のトレンド

  • 2023年3月31日: 資産 - 負債 = 85,234百万円 - 8,677百万円 = 76,557百万円
  • 2024年3月31日: 40,431百万円
  • トレンド: 純資産も減少しています。前年から約36,126百万円の減少。

3. 財務健全性の評価

  • 資産の減少: 資産が前年から大幅に減少していることは、企業の成長性や収益性に懸念を抱かせる要因です。
  • 負債の増加: 負債が大幅に増加していることは、財務リスクを高める要因となります。特に、長期金銭債務の増加は、将来のキャッシュフローに対する圧力を示唆しています。
  • 純資産の減少: 純資産の減少は、企業の自己資本比率を低下させ、財務の健全性を損なう可能性があります。

結論

株式会社エイチワンは、2023年度において資産、負債、純資産のいずれも前年から減少または増加しており、特に負債の増加が目立ちます。これにより、財務健全性に対する懸念が生じており、今後の経営戦略や市場環境に注視する必要があります。

株式会社エイチワンの2023年度の売上高、営業利益、純利益の推移

売上高

  • 2023年度: 225,511百万円
  • 2024年度: 232,730百万円

トレンド: 売上高は前年から増加しており、約3,219百万円の増加(約1.43%の増加)を示しています。

営業利益

  • 2023年度: -9,742百万円(損失)
  • 2024年度: -19,354百万円(損失)

トレンド: 営業利益は前年よりも損失が拡大しており、約9,612百万円の悪化を示しています。これは、事業環境の厳しさや減損損失の影響が考えられます。

純利益

  • 2023年度: 情報が提供されていないため、具体的な数値は不明ですが、営業利益の悪化が影響している可能性があります。
  • 2024年度: 情報が提供されていないため、具体的な数値は不明ですが、営業利益の状況から推測すると、純利益も悪化している可能性が高いです。

総括

売上高は増加しているものの、営業利益は大幅な損失を計上しており、事業の収益性に課題が残る状況です。特に、中国市場での事業環境の悪化や減損損失が影響していると考えられます。今後の事業計画や市場環境の変化に注目が必要です。

株式会社エイチワンの2023年度の有価証券報告書に基づく営業利益率や純利益率の計算

営業利益率と純利益率の計算

  • 営業利益率: 営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費
  • 営業利益率 = 営業利益 / 売上高 × 100
  • 純利益率: 純利益 = 営業利益 - 営業外収益 + 営業外費用 - 法人税
  • 純利益率 = 純利益 / 売上高 × 100

2023年度の数値

  • 売上高: 232,730百万円
  • 営業利益: 営業利益の具体的な数値は記載されていませんが、セグメント利益の合計から調整額を引いたものが営業利益に近いと考えられます。
  • 販売費及び一般管理費: 15,009百万円
  • 営業外収益: 受取利息69百万円、受取配当金580百万円
  • 営業外費用: 支払利息229百万円
  • 法人税: 詳細な数値は記載されていませんが、繰延税金資産の変動から推測する必要があります。

過去の数値(2022年度)

  • 売上高: 225,511百万円
  • 営業利益: -9,742百万円(セグメント利益の合計)
  • 販売費及び一般管理費: 11,504百万円

トレンドの比較

  • 営業利益率: 2023年度は営業利益が正確に計算できないため、推定が必要ですが、2022年度は営業利益がマイナスであったため、営業利益率はマイナス。
  • 2022年度: 営業利益率 = -9,742 / 225,511 × 100 = -4.32%
  • 純利益率: 2023年度は純利益の具体的な数値が不明なため、計算が困難。
  • 2022年度: 純利益もマイナスであったため、純利益率もマイナス。

結論

営業利益率は2023年度は改善されている可能性があるが、具体的な数値が不明なため、正確な評価はできない。2022年度は-4.32%であった。全体として、2023年度は売上高が増加しているものの、営業利益や純利益の具体的な数値が不明なため、詳細なトレンド分析は難しい。今後の業績改善が期待されるが、具体的な数値が必要です。

株式会社エイチワンの2023年度の有価証券報告書に基づくキャッシュフローの評価

1. 売上収益の推移

売上収益: 当連結会計年度(2024年3月31日)における売上収益は232,730百万円であり、前連結会計年度(2023年3月31日)の225,511百万円から増加しています。この増加は、企業の事業活動が成長していることを示唆しています。

2. セグメント別の業績

  • 日本セグメント: 売上収益は47,729百万円で、前年の41,583百万円から増加。
  • 北米セグメント: 売上収益は100,219百万円で、前年の98,866百万円から増加。
  • 中国セグメント: 売上収益は51,341百万円で、前年の56,629百万円から減少。
  • アジア・大洋州セグメント: 売上収益は33,439百万円で、前年の28,432百万円から増加。

3. セグメント利益

セグメント利益: 日本セグメントは△2,064百万円、北米セグメントは454百万円、中国セグメントは△17,927百万円、アジア・大洋州セグメントは1,147百万円の損失または利益を計上しています。特に中国セグメントの大きな損失は、事業環境の悪化を反映しており、全体の利益に影響を与えています。

4. 減損損失

減損損失: 当連結会計年度において、減損損失が22,721百万円計上されています。これは、資産の回収可能価額が帳簿価額を下回ったことを示しており、将来のキャッシュフローに対する懸念を示唆しています。

5. キャッシュフローの生成

営業活動によるキャッシュフロー: 売上収益の増加にもかかわらず、減損損失やセグメント利益の状況から、営業活動によるキャッシュフローがどの程度生成されているかは不明です。特に、中国セグメントの損失が全体のキャッシュフローに影響を与える可能性があります。

6. 経営者の見積もりと不確実性

経営者は、将来のキャッシュフローの見積もりにおいて、主力得意先の生産計画や外部機関からの情報を基にしていますが、将来の不確実性が影響を及ぼす可能性があることが記載されています。

結論

株式会社エイチワンは、全体として売上収益が増加しているものの、減損損失や一部セグメントの利益がマイナスであることから、営業活動によるキャッシュフローの生成には懸念が残ります。特に、中国セグメントの業績悪化が全体のキャッシュフローに影響を与える可能性が高いです。したがって、企業の事業活動が現金を生成しているかどうかは、今後の業績改善や市場環境の変化に依存する部分が大きいと評価されます。

株式会社エイチワンの2023年度の有価証券報告書に基づく事業セグメントの評価

1. 事業セグメントの概要

株式会社エイチワンは、主に自動車部品を製造・販売しており、以下の4つの地域別セグメントで構成されています。

2. 売上高の動向

連結会計年度(2023年3月31日)

  • 日本: 41,583百万円
  • 北米: 98,866百万円
  • 中国: 56,629百万円
  • アジア・大洋州: 28,432百万円
  • 合計: 225,511百万円

連結会計年度(2024年3月31日)

  • 日本: 47,729百万円
  • 北米: 100,219百万円
  • 中国: 51,341百万円
  • アジア・大洋州: 33,439百万円
  • 合計: 232,730百万円

3. 利益率の動向

連結会計年度

  • セグメント利益(税引前損失):
    • 日本: -891百万円
    • 北米: -8,493百万円
    • 中国: 134百万円
    • アジア・大洋州: 421百万円
    • 合計: -8,829百万円

連結会計年度

  • セグメント利益(税引前損失):
    • 日本: -2,064百万円
    • 北米: 454百万円
    • 中国: -17,927百万円
    • アジア・大洋州: 1,147百万円
    • 合計: -18,389百万円

4. 成長セグメントとリスクの高いセグメント

成長セグメント

  • 日本: 売上高が増加しており、利益率も改善の兆しが見られます。
  • アジア・大洋州: 売上高が増加しており、利益もプラスに転じています。

リスクの高いセグメント

  • 北米: 売上高は増加しているものの、依然として大きな損失を計上しています。
  • 中国: 売上高は減少しており、利益も大幅な損失を計上しています。事業環境の悪化が影響していると考えられます。

5. トレンドの比較

  • 売上高: 全体的に売上高は増加していますが、特に日本とアジア・大洋州での成長が顕著です。
  • 利益率: 利益率は依然として厳しい状況ですが、日本とアジア・大洋州では改善の兆しが見られます。一方で、中国と北米は依然として損失を計上しており、リスクが高い状況です。

結論

株式会社エイチワンは、全体として売上高は増加しているものの、利益率の改善には課題が残ります。特に中国市場のリスクが高く、今後の事業戦略においては、地域ごとの市場環境を考慮した柔軟な対応が求められます。

株式会社エイチワンの2023年度有価証券報告書に基づく新規事業セグメントの参入とリスク要因の評価

新規事業セグメントの参入

報告書には新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載はありませんでした。したがって、現在のところ新規事業セグメントの参入についての情報は確認できません。

リスク要因の評価

報告書には、企業が直面する潜在的なリスク要因がいくつか記載されています。以下は主なリスク要因の概要です。

  • 経済状況の変動: 将来の不確実な経済状況の変動により、回収可能価額の見積もりが実際の結果と異なる可能性があります。特に、中国市場での事業環境の悪化が影響を及ぼしています。
  • 減損リスク: 部品事業において、収益性の低下などの減損の兆候が認められ、減損テストを実施した結果、6,557百万円の減損損失が計上されました。これにより、将来のキャッシュフローの見積もりに不確実性が伴います。
  • 退職給付制度のリスク: 確定給付型の退職給付制度に基づく数理計算上の仮定(割引率、将来の給与支給、脱退者の見積もりなど)が実際の結果と異なる可能性があります。
  • 繰延税金資産のリスク: 繰延税金資産は、将来の課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識されていますが、経済状況の変動により実際の結果が異なる可能性があります。
  • 為替変動リスク: 海外での事業活動に伴い、機能通貨以外の通貨での取引から発生する為替変動リスクが存在します。特に、税引前利益に与える影響があることが示されています。
  • 金利変動リスク: 固定金利での借入れを主にすることで金利上昇リスクを軽減していますが、変動金利の有利子負債は金利変動のリスクに晒されています。

結論

株式会社エイチワンは、経済状況の変動や減損リスク、退職給付制度、繰延税金資産、為替変動リスク、金利変動リスクなど、さまざまな潜在的なリスクに直面しています。これらのリスクは、将来の業績や財務状況に影響を与える可能性があるため、投資判断を行う際には十分な注意が必要です。

株式会社エイチワンの2023年度有価証券報告書に基づく業績予測や中期計画

1. 業績予測

  • 売上収益: 2024年度の売上収益は232,730百万円と予測されています。これは前年度の225,511百万円からの増加を示しています。
  • セグメント別売上:
    • 日本: 47,729百万円
    • 北米: 100,219百万円
    • 中国: 51,341百万円
    • アジア・大洋州: 33,439百万円

2. 中期計画

  • 成長戦略: 主力得意先である本田技研工業株式会社との関係を強化し、安定した収益を確保することが重要です。また、地域別の戦略を立て、各市場での競争力を高めることが求められます。
  • 将来キャッシュフローの見積もり: 将来のキャッシュフローは、主力得意先の生産計画や外部機関からの情報を基に算定されています。特に、車種ごとの自動車部品の販売見込数量や販売単価、製造単価の見積もりが重要な要素となります。

3. リスク要因

  • 経済状況の変動: 中国での事業環境の悪化により、連結子会社からの収入の減少が見込まれています。これに伴い、減損損失が計上されており、将来の収益性に影響を与える可能性があります。
  • 不確実性: 将来の経済状況や市場の変動により、キャッシュフローの見積もりが変わる可能性があるため、慎重なリスク管理が必要です。

4. 目標達成の可能性

  • 市場の需要: 自動車部品市場の需要が堅調であれば、計画に基づいた目標達成の可能性は高まります。特に、電動車やハイブリッド車向けの部品需要が増加することが期待されます。
  • コスト管理: 販売費及び一般管理費の適切な管理が、利益率の改善に寄与するでしょう。特に、研究開発費の効率的な使用が重要です。

結論

株式会社エイチワンは、主力得意先との関係を強化し、地域別の戦略を展開することで、売上の増加を目指しています。しかし、経済状況の変動や市場の不確実性がリスク要因となるため、慎重な計画と実行が求められます。