【ファンダメンタル分析】日本空調サービス【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

日本空調サービス株式会社は、2023年度において資産、負債、純資産のいずれも前年と変わらず安定した財務状況を維持しています。また、売上高、営業利益、純利益が前年を上回る成長を遂げており、特に純利益の増加が顕著です。

2023年度の総括

2023年度の日本空調サービス株式会社は、売上高58,232百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益、経常利益、純利益もそれぞれ増加し、特に純利益は2,725百万円(前年同期比40.4%増)となりました。営業活動によるキャッシュフローも2,421百万円の増加を記録し、企業の事業活動が現金を生成していることを示しています。

財務状況は安定しており、流動比率は約2,322.5%、自己資本比率は約56.4%と高い水準を維持しています。これにより、短期的な支払い能力や財務的な安定性が確保されています。

来年度以降の事業計画

  • 従業員のエンゲージメント向上: 社員エンゲージメントスコアを70pt以上に維持。
  • 技術力の向上: コア技術力指数を年平均3%以上向上。
  • 特殊環境施設への注力: 特殊な環境を有する施設の売上高比率を7:3を目安。
  • 省エネ提案の強化: 温室効果ガス排出量の削減を年間10,000t-CO2以上を目指す。
  • 海外事業の拡大: 海外売上高35億円、海外営業利益1.75億円を目指す。
  • 利益水準の維持: 売上高の持続的な成長を前提に、営業利益率6%程度の維持を目指す。
  • 資本生産性の維持: 平均ROEを10%程度に維持。
  • 株主還元の実施: 年間配当金の下限を40円、配当性向を50%程度に設定。

今後の動向予測

日本空調サービス株式会社は、建物設備メンテナンスと建物設備工事の両セグメントで成長を遂げており、特に建物設備工事の成長が顕著です。市場環境の変化や顧客ニーズに応じた柔軟な対応が求められますが、全体的には安定した成長が期待されます。

  • 売上高の成長: 建物設備工事の需要が高まる中で、今後も売上高の増加が見込まれます。
  • 利益率の向上: 営業利益率や純利益率の改善が続くことで、収益性が向上する可能性があります。
  • リスク管理: 国際情勢の不安定さや物価上昇、供給制約に対するリスク管理が重要です。

結論

日本空調サービス株式会社は、安定した財務基盤を持ち、持続的な成長を目指す中期経営計画を策定しています。市場環境の変化に柔軟に対応し、顧客ニーズに応じたサービスを提供することで、今後の業績向上が期待されます。

資産、負債、純資産の構成とトレンド

1. 資産の構成

  • 流動資産: 現金及び預金: 6,582百万円、売掛金: 7,268百万円、その他の流動資産: 合計で23,445百万円
  • 固定資産: 有形固定資産: 37,561百万円、無形固定資産: 8,448百万円、投資その他の資産: 26,387百万円
  • 資産合計: 42,949百万円

2. 負債の構成

  • 流動負債: 15百万円
  • 固定負債: 6,679百万円
  • 負債合計: 6,694百万円

3. 純資産の構成

  • 純資産: 36,255百万円(資産合計 - 負債合計)

4. 過去との比較

資産

  • 流動資産: 前年度は23,445百万円、当年度は23,445百万円(変化なし)
  • 固定資産: 前年度は42,949百万円、当年度は42,949百万円(変化なし)
  • 資産合計: 前年度は42,949百万円、当年度は42,949百万円(変化なし)

負債

  • 流動負債: 前年度は15百万円、当年度は15百万円(変化なし)
  • 固定負債: 前年度は6,679百万円、当年度は6,679百万円(変化なし)
  • 負債合計: 前年度は6,694百万円、当年度は6,694百万円(変化なし)

純資産

  • 純資産: 前年度は36,255百万円、当年度は36,255百万円(変化なし)

5. トレンド分析

  • 資産: 資産の総額は前年と変わらず、安定した状態を維持しています。
  • 負債: 負債も前年と変わらず、安定しています。
  • 純資産: 純資産も前年と変わらず、安定した財務基盤を示しています。

結論

日本空調サービス株式会社は、2023年度においても資産、負債、純資産のいずれも前年と変わらず安定した財務状況を維持しています。これにより、企業の財務健全性は高いと評価されます。今後の成長戦略や市場環境の変化に対しても、安定した基盤を持っていることが示されています。

流動比率自己資本比率の計算

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

  • 流動資産(2024年3月31日): 26,387百万円
  • 流動負債(2024年3月31日): 1,136百万円

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100 = (26,387 / 1,136) × 100 ≈ 2,322.5%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資産で割った比率で、企業の財務的な安定性を示します。

  • 自己資本(2024年3月31日): 24,212百万円
  • 総資産(2024年3月31日): 42,949百万円

自己資本比率 = (自己資本 / 総資産) × 100 = (24,212 / 42,949) × 100 ≈ 56.4%

3. 過去の数値との比較

流動比率の過去数値

  • 2023年3月31日: 流動資産 23,445百万円、流動負債 1,136百万円
  • 流動比率 = (23,445 / 1,136) × 100 ≈ 2,066.5%

自己資本比率の過去数値

4. トレンド分析

結論

日本空調サービス株式会社は、流動比率が大幅に改善されており、短期的な支払い能力が強化されています。一方で、自己資本比率はわずかに減少していますが、依然として健全な水準にあります。全体として、財務状況は安定しており、企業の成長に向けた基盤が整っていると考えられます。

売上高、営業利益、純利益の推移

売上高の推移

  • 2023年度: 58,232百万円
  • 2022年度: 52,886百万円

トレンド: 売上高は前年から約10.1%増加しています。この成長は、建物設備メンテナンスおよび建物設備工事の需要が堅調であったことを示唆しています。

営業利益の推移

営業利益率は6%程度を目指していると記載されていますが、具体的な営業利益の数値は報告書に明記されていません。

トレンド: 売上高の増加に伴い、営業利益も増加していると推測されます。

純利益の推移

  • 2023年度: 2,725百万円(1株当たり79.40円)
  • 2022年度: 1,940百万円(1株当たり56.67円)

トレンド: 純利益は前年から約40.4%増加しています。この増加は、売上高の増加に加え、効率的なコスト管理や利益率の改善が寄与していると考えられます。

収益力の動向

売上高、営業利益、純利益のいずれも前年から増加しており、特に純利益の増加率が高いことから、収益力が向上していることが示されています。

結論

日本空調サービス株式会社は、2023年度において売上高、営業利益、純利益のいずれも前年を上回る成長を遂げており、収益力が向上しています。特に純利益の増加が顕著であり、今後の成長戦略や利益配分方針に基づいて、持続的な成長が期待されます。

営業利益率と純利益率の計算

1. 営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

  • 連結会計年度(2024年3月31日)
  • 売上高: 58,232百万円
  • 営業利益: 2,725百万円

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100 = (2,725 / 58,232) × 100 ≈ 4.67%

2. 純利益率の計算

純利益率は、当期純利益を売上高で割ったものです。

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100 = (2,725 / 58,232) × 100 ≈ 4.67%

3. 過去の数値との比較

営業利益率(前年度) = (1,940 / 52,886) × 100 ≈ 3.67%

純利益率(前年度) = (1,940 / 52,886) × 100 ≈ 3.67%

4. トレンド分析

  • 営業利益率のトレンド: 営業利益率は上昇しており、収益性が改善していることが示されています。
  • 純利益率のトレンド: 純利益率も同様に上昇しており、全体的な収益性が向上していることが確認できます。

結論

日本空調サービス株式会社は、2023年度から2024年度にかけて営業利益率と純利益率が共に改善しており、収益性が向上していることが示されています。これは、企業の経営戦略や市場環境の変化により、効率的な運営が行われていることを反映していると考えられます。

営業活動によるキャッシュフロー

日本空調サービス株式会社の2023年度の有価証券報告書に基づくと、営業活動によるキャッシュフローは、以下のような状況にあります。

  • 連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フロー: 2,421百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べて1,500百万円の増加が見られました。
  • この増加の主な要因は以下の通りです:
    • 税金等調整前当期純利益が3,858百万円と前連結会計年度に比べて885百万円増加。
    • 法人税等の支払額が863百万円と前連結会計年度に比べて706百万円減少。
    • その他の流動負債の増加額が1,042百万円と前連結会計年度に比べて709百万円増加。
    • 一方で、仕入債務の増加額が379百万円と前連結会計年度に比べて789百万円減少。

経営成績

  • 売上高: 58,232百万円(前年度比10.1%増)
  • 営業利益: 3,630百万円(同27.5%増)
  • 経常利益: 3,863百万円(同26.6%増)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 2,725百万円(同40.4%増)

財政状態

  • 総資産: 42,949百万円で、前年度末に比べて5,388百万円増加。
  • 負債合計: 18,737百万円で、前年度末に比べて2,881百万円増加。
  • 純資産合計: 24,212百万円で、前年度末に比べて2,506百万円増加。

結論

営業活動によるキャッシュフローの増加は、税金の支払額の減少や利益の増加によるものであり、企業の事業活動が現金を生成していることを示しています。また、売上高や利益の増加も見られ、全体的に健全な財務状況を維持していると考えられます。今後も持続的な成長を目指し、安定した利益還元を実現するための施策が期待されます。

事業セグメントの収益状況や成長性、リスク

1. 事業セグメントの収益状況

主要セグメント

  • 建物設備メンテナンス
  • 建物設備工事

売上高

  • 2022年度:
    • 建物設備メンテナンス: 34,682百万円
    • 建物設備工事: 18,203百万円
    • 合計: 52,886百万円
  • 2023年度:
    • 建物設備メンテナンス: 36,696百万円
    • 建物設備工事: 21,536百万円
    • 合計: 58,232百万円

2. 利益率の動向

営業利益率の目標: 6%

自己資本当期純利益率の目標: 10%

具体的な営業利益や純利益の数値は報告書に記載されていないため、利益率の動向を直接的に示すことはできませんが、売上高の増加に伴い、利益率の維持または向上が期待されます。

3. 成長セグメントとリスク

成長セグメント:

  • 建物設備工事は、前年に比べて大きな成長を示しており、特に設備投資の需要が高まる中での成長が期待されます。
  • 建物設備メンテナンスも安定した成長を見せており、顧客の事業活動のサステナビリティに寄与することが重要な要素です。

リスク要因:

  • 国際情勢の不安定さや物価上昇、供給制約が影響を及ぼす可能性があります。
  • 設備投資の不確実性が事業活動に影響を与える可能性があり、特に建物設備工事は顧客の設備投資計画に依存しています。

4. 事業ポートフォリオのバランス

建物設備メンテナンスと建物設備工事の両方が成長していることから、事業ポートフォリオはバランスが取れていると評価できます。特に、建物設備工事の成長が顕著であり、今後の収益源として期待されます。

5. トレンドの比較

売上高は前年から増加しており、特に建物設備工事の成長が目立ちます。利益率の維持や向上に向けた取り組みが進められており、今後の業績に対する期待が高まります。

結論

日本空調サービス株式会社は、建物設備メンテナンスと建物設備工事の両セグメントで成長を遂げており、特に建物設備工事の成長が顕著です。リスク要因も存在しますが、全体としては事業ポートフォリオのバランスが良好で、今後の成長が期待されます。

新規に参入した事業セグメントやリスク要因

新規に参入した事業セグメント

報告書の内容には、新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載は見当たりませんでした。したがって、現在のところ新規事業セグメントの参入についての情報は提供されていないようです。

リスク要因

有価証券報告書には、企業が直面する潜在的なリスク要因が記載されています。以下は一般的なリスク要因の例ですが、具体的な内容は報告書に基づいて確認する必要があります。

  • 市場リスク: 経済情勢の変化や競争の激化により、売上や利益が影響を受ける可能性があります。
  • 法規制リスク: 建設業や空調業界に関連する法規制の変更が、事業運営に影響を与える可能性があります。
  • 技術リスク: 新技術の導入や既存技術の陳腐化により、競争力が低下するリスクがあります。
  • 人材リスク: 専門的な技術を持つ人材の確保や育成が困難になる場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。
  • 財務リスク: 資金調達の難易度や金利の変動が、企業の財務状況に影響を与える可能性があります。

これらのリスク要因は、企業の経営戦略や業績に大きな影響を与える可能性があるため、投資判断を行う際には十分に考慮する必要があります。

将来の業績予測や中期計画、目標達成の可能性

1. 将来の業績予測

日本空調サービス株式会社は、建物設備メンテナンスを中核事業としており、顧客の事業活動のサステナビリティに寄与することを目指しています。今後の業績は、以下の要因に影響されると考えられます。

  • 市場環境: 不安定な国際情勢や物価上昇、供給制約が続く中で、設備投資の不確実性が懸念されています。
  • 顧客のニーズ: サステナビリティに対する意識の高まりにより、エネルギー効率の良い設備やメンテナンスサービスの需要が増加することが期待されます。

2. 中期経営計画

日本空調サービス株式会社は、2024中期5ヵ年経営計画を策定しており、以下の主要な課題に取り組むことを目指しています。

  • 従業員のエンゲージメント向上: 社員エンゲージメントスコアを70pt以上に維持することを目指します。
  • 技術力の向上: コア技術力指数を年平均3%以上向上させることを目指します。
  • 特殊環境施設への注力: 特殊な環境を有する施設の売上高比率を7:3を目安とします。
  • 省エネ提案の強化: 温室効果ガス排出量の削減を年間10,000t-CO2以上を目指します。
  • 海外事業の拡大: 海外売上高35億円、海外営業利益1.75億円を目指します。
  • 利益水準の維持: 売上高の持続的な成長を前提に、営業利益率6%程度の維持を目指します。
  • 資本生産性の維持: 平均ROEを10%程度に維持することを目指します。
  • 株主還元の実施: 年間配当金の下限を40円、配当性向を50%程度に設定します。

3. 目標達成の可能性

目標達成の可能性については、以下の要因が考慮されます。

  • 強固な顧客基盤: 顧客からの信頼を得ており、契約の更新・拡大が期待されます。
  • 技術力の向上: 技術研修センターの建設により、従業員の技術力向上が図られ、サービスの質が向上することが期待されます。
  • サステナビリティへの取り組み: 環境意識の高まりにより、エネルギー効率の良いサービスの需要が増加する可能性があります。

一方で、外部環境の不確実性や設備投資の変動が影響を及ぼす可能性もあるため、リスク管理や柔軟な対応が求められます。

結論

日本空調サービス株式会社は、サステナビリティを重視した経営戦略を展開しており、将来的な成長が期待されますが、外部環境の変化に対する注意が必要です。中期経営計画に基づく目標達成には、従業員の技術力向上や顧客ニーズへの適応が重要な要素となります。

配当履歴や配当政策、配当性向、将来の配当予想、配当利回り

1. 配当履歴

  • 年間配当金の下限: 1株当たり年間配当金の下限を40円に設定。
  • 配当性向: 連結配当性向の目途を50%程度とする基本方針を設定。

2. 配当政策

利益還元の重視: 本業の持続的な成長による利益拡大を前提とした株主への利益還元を重視。

内部留保の充実: 経営基盤の強化に向けた内部留保の充実を勘案しつつ、利益配分を決定。

3. 配当性向

  • 配当性向の目標: 50%程度。
  • 過去の配当性向: 具体的な過去の配当性向の数値は記載されていませんが、目標が設定されていることから、安定した配当政策を維持していると考えられます。

4. 将来の配当予想

配当金の下限: 40円を下限として設定しているため、今後もこの水準を維持する可能性が高い。

配当性向の維持: 50%程度を目指すため、利益が増加すれば配当金も増加する見込み。

5. 過去との比較トレンド

過去の配当金: 過去の具体的な配当金の数値は記載されていませんが、配当金の下限が40円に設定されていることから、安定した配当を維持していると推測されます。

配当性向のトレンド: 配当性向が50%程度を目指すという方針は、過去の配当政策と一貫性があると考えられます。

結論

日本空調サービス株式会社は、安定した配当政策を維持し、株主還元を重視しています。配当金の下限を40円に設定し、配当性向を50%程度とすることで、持続的な利益還元を目指しています。配当利回りは株価に依存しますが、安定した配当を提供する姿勢が見受けられます。