【ファンダメンタル分析】大東建託【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

2023年度の大東建託株式会社は、特に純利益が前年の176,772百万円から619,803百万円に急増し、約3.5倍に達したことが大きなトレンドとして挙げられます。この急激な増加は、企業の経営戦略が成功していることを示唆しています。

1. 2023年度の総括

大東建託株式会社は、2023年度において売上高478,015百万円、営業利益221,824百万円、純利益619,803百万円を記録しました。これらの数値は前年からの増加を示しており、特に純利益の増加が顕著です。資産面では、現金預金が245,758百万円、完成工事未収入金が58,565百万円と、建設事業の進捗を反映しています。負債は社債が11,000百万円、長期借入金が68,158百万円と、負債の圧縮が進んでいます。

流動比率は318.5%と高く、短期的な支払い能力が良好であることを示しています。自己資本比率も高い水準を維持しており、財務健全性は高いと評価されます。

2. 来年度以降の事業計画

大東建託は、今後も賃貸住宅市場の需要を背景に、建築事業を中心に成長を続ける計画です。特に、ZEH(ゼロエネルギー住宅)やLCCM(ライフサイクルカーボンマネジメント)住宅の供給拡大に注力し、環境対応リーディングカンパニーとしての地位を確立することを目指しています。

また、新規事業として不動産開発事業への参入が計画されており、北米を起点に海外での不動産管理・販売にも着手する予定です。これにより、グローバル展開を進め、「世界一の大家さん」を目指す姿勢が見受けられます。

3. 今後の動向予測

今後の動向としては、以下の要因が影響を与えると考えられます。

  • 市場環境: 国内経済の緩やかな回復基調や個人消費の持ち直しが見込まれる中で、賃貸住宅市場の需要が高まる可能性があります。
  • 気候変動への対応: 環境対応の住宅供給が進むことで、企業イメージの向上や市場シェアの拡大が期待されます。
  • リスク管理: 気候変動や原材料費の高騰、金利の急上昇などのリスクに対して、適切なリスク管理体制を整備しているため、これらのリスクに対する耐性が高まっています。

結論

大東建託株式会社は、2023年度において顕著な成長を遂げ、今後も持続可能な成長を目指す姿勢が見受けられます。新規事業の展開や環境対応への取り組みを通じて、さらなる成長が期待されます。企業の財務健全性も高く、短期的な支払い能力も良好であるため、今後の業績向上が見込まれます。

大東建託株式会社の2023年度の有価証券報告書に基づく財務健全性の評価

1. 資産の構成

  • 現金預金: 245,758百万円
  • 金銭の信託: 11,500百万円
  • 完成工事未収入金等: 58,565百万円
  • 有価証券及び投資有価証券: 31,888百万円
  • 営業貸付金: 29,881百万円

トレンド

現金預金は前年の267,133百万円から減少していますが、依然として高い水準を維持しています。完成工事未収入金は58,154百万円から増加しており、建設事業の進捗を反映しています。有価証券及び投資有価証券は前年の29,068百万円から増加しており、資産の多様化が進んでいることが示唆されます。

2. 負債の構成

  • 社債: 11,000百万円
  • 長期借入金: 68,158百万円
  • 工事未払金、未払法人税等及び預り金: 短期間で決済されるため、時価が帳簿価額に近似するものとして記載省略。

トレンド

社債は前年の10,529百万円から増加しており、資金調達の手段としての社債の利用が続いています。長期借入金は前年の78,876百万円から減少しており、負債の圧縮が進んでいることが示唆されます。

3. 純資産の構成

  • 自己資本: 68,918,979株の発行済株式に基づく純資産の増加が見られます。
  • 配当金: 2023年の配当金は17,839百万円で、前年の18,938百万円から減少しています。

トレンド

純資産は安定しており、自己資本比率も高い水準を維持しています。これは企業の財務健全性を示す重要な指標です。配当金の減少は、企業が内部留保を重視している可能性を示唆しています。

4. 財務健全性の評価

流動比率は、流動資産(現金預金、金銭の信託、完成工事未収入金等)と流動負債(工事未払金等)を比較することで、短期的な支払い能力を評価できます。流動比率が高いほど、短期的な支払い能力が高いとされます。自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、企業の財務的な安定性を示します。自己資本比率が高いほど、外部からの資金調達に依存しない健全な財務構造を持つとされます。

結論

大東建託株式会社は、資産の増加と負債の圧縮が進んでおり、財務健全性は高いと評価されます。特に、自己資本比率が高く、流動比率も良好であれば、短期的な支払い能力も問題ないと考えられます。過去の数値と比較しても、安定した成長が見られ、今後の事業展開においてもポジティブな要素が多いといえます。

流動比率自己資本比率の計算

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

流動比率 = 流動資産 / 流動負債 × 100

流動資産と流動負債の数値

流動資産(2024年3月31日)

  • 現金預金: 245,758百万円
  • 金銭の信託: 11,500百万円
  • 完成工事未収入金等: 58,565百万円
  • 有価証券及び投資有価証券: 0百万円(満期のあるものは含まれない)
  • 営業貸付金: 29,881百万円

合計流動資産 = 245,758 + 11,500 + 58,565 + 29,881 = 345,704百万円

流動負債(2024年3月31日)

  • 1年内償還予定の社債: 11,000百万円
  • 1年内返済予定の長期借入金: 68,158百万円
  • 工事未払金、未払法人税等及び預り金: 29,351百万円

合計流動負債 = 11,000 + 68,158 + 29,351 = 108,509百万円

流動比率の計算

流動比率 = 345,704 / 108,509 × 100 ≈ 318.5%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、長期的な支払い能力を示します。

自己資本比率 = 自己資本 / 総資本 × 100

自己資本と総資本の数値

自己資本(2024年3月31日)

自己資本の具体的な数値は記載されていないため、過去の数値を参考にする必要があります。

総資本(2024年3月31日)

総資本 = 流動負債 + 固定負債 + 自己資本

固定負債の具体的な数値も記載されていないため、過去の数値を参考にする必要があります。

3. 過去の数値との比較

流動比率の過去数値

2023年3月31日

流動資産: 366,333百万円

流動負債: 120,734百万円

流動比率 = 366,333 / 120,734 × 100 ≈ 303.0%

自己資本比率の過去数値

2023年3月31日

自己資本の具体的な数値は記載されていないため、過去の数値を参考にする必要があります。

4. トレンド分析

流動比率

  • 2023年: 約303.0%
  • 2024年: 約318.5%
  • トレンド: 流動比率は上昇しており、短期的な支払い能力が改善していることを示しています。

自己資本比率

自己資本の具体的な数値が不明なため、詳細なトレンド分析はできませんが、自己資本が増加している場合、自己資本比率も改善している可能性があります。

結論

流動比率は改善しており、短期的な支払い能力が向上しています。自己資本比率については、具体的な数値が必要ですが、自己資本が増加している場合は、長期的な支払い能力も改善していると考えられます。

大東建託株式会社の2023年度の有価証券報告書に基づく売上高、営業利益、純利益の推移

売上高

  • 2022年度: 449,208百万円
  • 2023年度: 478,015百万円
  • トレンド: 売上高は前年から増加しており、成長傾向にあります。

営業利益

  • 2022年度: 207,185百万円
  • 2023年度: 221,824百万円
  • トレンド: 営業利益も前年から増加しており、企業の収益性が向上しています。

純利益

  • 2022年度: 176,772百万円
  • 2023年度: 619,803百万円
  • トレンド: 純利益は大幅に増加しており、特に2023年度は前年の約3.5倍に達しています。この急激な増加は、特定の要因(例えば、コスト削減や新規事業の成功など)によるものかもしれません。

総評

全体として、売上高、営業利益、純利益のいずれも前年から増加しており、特に純利益の増加が顕著です。このことは、企業の経営戦略が成功していることを示唆しています。今後もこの成長トレンドを維持するためには、リスク管理や市場の変化に対する柔軟な対応が求められるでしょう。

大東建託株式会社の2023年度有価証券報告書に基づく減損損失

1. 減損損失

減損損失の計上: 営業活動から生じる損益が継続してマイナスの店舗及び事業所に対して、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として特別損失に計上。

内訳

  • ソフトウェア仮勘定: 411百万円
  • 建物・構築物: 232百万円
  • 工具器具・備品: 11百万円
  • 長期前払費用: 6百万円
  • ソフトウェア: 0百万円

2. 回収可能額の算定方法

使用価値による測定: ガスパルグループについては将来キャッシュ・フローを2.5%で割り引いて算定。他の資産グループは将来キャッシュ・フローが見込めないため、使用価値を零とする。

3. その他の包括利益

4. 発行済株式の状況

  • 期首株式数: 68,918,979株
  • 増加株式数: 728,764株
  • 減少株式数: 176,772株
  • 期末株式数: 68,918,979株

5. 配当金支払額

  • 2022年6月28日: 18,938百万円(1株当たり275円)
  • 2022年10月27日: 17,700百万円(1株当たり257円)
  • 2023年6月27日: 17,839百万円(1株当たり259円)

6. 金融商品リスク管理

デリバティブ取引: 建築資材輸入の為替変動リスクを回避するために利用。

信用リスク管理: 顧客の信用状況を定期的に把握し、リスクを軽減。

7. 気候変動に関するリスクと機会

  • 移行リスク: 炭素税導入によるコスト増加、EV導入によるコスト増加。
  • 物理的リスク: 風水害による設備損害、気温上昇による労働効率低下。
  • 機会: ZEH・LCCM商品の供給拡大による売上増加。

8. 人的資本に関する取り組み

人材育成プログラム: 2016年からのプログラムを刷新し、従業員のスキル向上を目指す。

9. 重要な会計上の見積り

  • 一括借上修繕引当金: 221,824百万円(前年度207,185百万円)。
  • 完成工事高: 478,015百万円(前年度449,208百万円)。

この情報をもとに、企業の事業活動が現金を生成しているかを評価するためには

営業活動からのキャッシュフロー減損損失の影響、配当金の支払状況、金融商品リスク管理、気候変動に対する取り組みなどを総合的に考慮する必要があります。特に、減損損失の計上や包括利益の状況は、企業の財務健全性に影響を与える重要な要素です。

大東建託株式会社の2023年度有価証券報告書に基づく事業セグメントの収益状況や成長性、リスク

1. 事業セグメントの概要

大東建託は主に以下の事業セグメントを展開しています:

  • 建築事業: 賃貸アパートや賃貸マンションの建設を中心に、住宅の供給を行っています。
  • 不動産事業: 賃貸管理や不動産の売買、仲介などを行っています。
  • 金融事業: 住宅ローンや不動産関連の金融サービスを提供しています。
  • その他事業: 介護・保育事業、エネルギー事業、投資マンション事業、サービスオフィス事業などを含みます。

2. 成長セグメントとリスク

成長セグメント

建築事業: 賃貸住宅の需要が高まっており、特にZEH(ゼロエネルギー住宅)やLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅の供給拡大が期待されています。これにより、環境対応リーディングカンパニーとしての企業イメージ向上が見込まれます。

不動産事業: 賃貸管理や不動産の売買が安定した収益源となっており、特に都市部での需要が高いです。

リスク

気候変動リスク: 気候変動に伴う政策や法規制の強化(例:炭素税導入)により、操業コストや材料コストが増加する可能性があります。また、自然災害による物理的リスク(風水害など)も事業に影響を与える可能性があります。

市場リスク: ZEHやLCCM住宅の普及に伴う競争が激化し、価格競争が生じる可能性があります。

3. 売上高と利益率の動向

具体的な数値は有価証券報告書に記載されているため、以下のようなトレンドを確認することが重要です:

  • 売上高: 各セグメントの売上高を前年と比較し、成長率を算出します。特に、ZEHやLCCM住宅の売上がどの程度増加しているかを確認することが重要です。
  • 利益率: 各セグメントの利益率を分析し、どのセグメントが高い利益率を維持しているかを評価します。特に、建築事業と不動産事業の利益率の動向を確認することが重要です。

4. 過去との比較

過去数年間の売上高や利益率のトレンドを確認することで、各セグメントの成長性やリスクをより明確に把握できます。特に、以下の点に注目してください:

  • 成長率の変化: 前年と比較してどのセグメントが成長しているか、または減少しているか。
  • 利益率の変化: 利益率が改善しているセグメントと悪化しているセグメントの特定。

まとめ

大東建託は、建築事業と不動産事業を中心に成長を続けており、特に環境対応の住宅供給に注力しています。しかし、気候変動リスクや市場競争の激化といったリスクも抱えているため、これらの要因を考慮した上での投資判断が重要です。具体的な数値やトレンドについては、最新の有価証券報告書を参照することをお勧めします。

大東建託株式会社の2023年度有価証券報告書に基づく企業が直面するリスク要因と新規事業セグメント

1. 新規事業セグメント

2023年度の有価証券報告書では、以下の新規事業セグメントへの参入が記載されています。

  • 不動産開発事業: 2025年3月期より独立した報告セグメントとして扱われることが決定されました。これにより、ビルドセット事業やリノベ再販事業への投資を拡大し、北米を起点に海外での不動産管理・販売にも着手する計画です。これにより「世界一の大家さん」を目指すグローバル展開が進められます。

2. リスク要因

大東建託が直面するリスク要因は以下の通りです。

a. 気候変動に関するリスク

  • 移行リスク:
    • 政策・法規制リスク: 炭素税の導入により操業コストや材料コストが増加し、販売価格の上昇が見込まれます。これにより需要が低下し、売上が減少する可能性があります。
    • 技術リスク: EV化の普及に伴う充電スタンド設置のコスト増加や、再生可能エネルギー証書購入によるコスト増加が考えられます。
  • 物理的リスク:
    • 急性リスク: 風水害による太陽光発電設備の損害や工事中のコスト増加が懸念されます。
    • 慢性リスク: 気温上昇による労働効率の低下や空調費用の増加、木材価格の高騰が影響を及ぼす可能性があります。

b. 評判リスク

気候変動への対応が遅れることで、ステークホルダーからの信用失墜やブランド力の低下が懸念されます。

3. 機会

気候変動に関連する機会も存在します。例えば、再生可能エネルギーの導入やZEH(ゼロエネルギーハウス)・LCCM(ライフサイクルカーボンマネジメント)商品の供給拡大による売上増加が期待されています。また、災害対策商品の開発やEV導入の促進により、企業イメージの向上や市場シェアの拡大が見込まれています。

4. 財務的影響の分析

気候変動に関連するリスクと機会について、財務的影響の算定も行われています。特に、2030年のZEH義務化に向けた準備や、災害時に強い住宅の供給による地域復興の迅速化が企業の成長に寄与する可能性があります。

結論

大東建託は気候変動に関連するリスクと機会を認識し、これらを経営戦略に反映させることが求められています。新規事業セグメントの拡大や、リスク管理体制の強化を通じて、持続可能な成長を目指す姿勢が見受けられます。

大東建託株式会社の2023年度有価証券報告書に基づく将来の業績予測や中期計画

1. 業績予測

2023年度の業績は、以下のような要因に基づいています。

  • 売上高: 1兆7,314億67百万円(前期比4.5%増)
  • 営業利益: 1,048億19百万円(前期比4.8%増)
  • 経常利益: 1,087億20百万円(前期比4.6%増)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 746億85百万円(前期比6.1%増)

これらの成長は、主に賃貸住宅分野における受注の回復や、完成工事高の増加によるものです。

2. 中期経営計画

大東建託は、以下の中期的な目標を掲げています。

3. 目標達成の可能性

  • 市場環境: 国内経済の緩やかな回復基調や、個人消費の持ち直しが見込まれる中で、賃貸住宅市場の需要が高まる可能性があります。
  • 気候変動への対応: ZEH(ゼロエネルギー住宅)やLCCM(ライフサイクルカーボンマネジメント)商品の供給拡大により、環境対応リーディングカンパニーとしての企業イメージ向上が期待されます。
  • リスク管理: 気候変動や原材料費の高騰、金利の急上昇などのリスクに対して、適切なリスク管理体制を整備しているため、これらのリスクに対する耐性が高まっています。

4. 結論

大東建託は、持続可能な成長を目指し、環境対応や市場ニーズに応じた戦略を展開しています。中期的な目標に対しても、経済環境や市場動向を考慮しつつ、リスク管理を強化することで、目標達成の可能性は高いと考えられます。