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株式会社Ubicomホールディングス 2023年度有価証券報告書
はじめに総括
特記事項
株式会社Ubicomホールディングスは、2023年度において売上高が前年同期比で約13.3%増加し、営業利益も約6.0%増加しましたが、経常利益と当期純利益はそれぞれ約6.8%減少、8.3%減少しました。このように、売上高と営業利益の増加にもかかわらず、最終的な利益が減少したことは特筆すべきトレンドです。
2023年度の総括
2023年度の業績は、売上高が5,942,642千円、営業利益が1,072,302千円と堅調に推移しました。特に、グローバル事業とメディカル事業の成長が寄与しています。流動資産の増加(前期比 +822,027千円)や純資産の増加(前期比 +629,384千円)により、財務基盤は強化されていますが、流動負債の増加(前期比 +389,402千円)や利益の減少が懸念材料です。
来年度以降の事業計画
- グローバル事業の拡大: フィリピンを拠点としたITアウトソーシングの強化を図り、特に医療、金融、製造業向けの受注拡大を目指します。経済安全保障推進法の影響で、国内外の大手企業からの需要が増加することが期待されます。
- メディカル事業の成長: 医療DX化の進展に伴い、MightyChecker®シリーズやMighty QUBE®の販売を強化し、サブスクリプション型の収益モデルを確立します。
- 人材育成と確保: 高度なIT技術を持つエンジニアの育成を進め、フィリピン国内の理工学系新卒者を中心に採用し、社内研修センターでの教育を通じて技術力を向上させます。
- 新規事業の展開: 知的財産を活用した新規プラットフォームビジネスの展開を進め、保険業界向け業務効率化ソリューションの横展開を図ります。
今後の動向予測
- 売上高の成長: ITサービスの需要が高まる中、特にグローバル事業とメディカル事業の成長が期待されます。2024年度には、売上高がさらに増加する可能性があります。
- 利益率の改善: 営業利益率と純利益率の改善が求められます。特に、メディカル事業の高収益モデルの確立が重要です。
- リスク管理: 人材不足や競争の激化、法規制の変化などのリスク要因に対する対策が必要です。特に、技術革新への対応や情報セキュリティリスクの管理が重要です。
結論
株式会社Ubicomホールディングスは、2023年度において堅調な業績を維持しつつ、今後の成長に向けた戦略的な取り組みが求められます。特に、グローバル事業とメディカル事業の拡大、人材育成、新規事業の展開が今後の成長を支える重要な要素となるでしょう。業績の改善に向けた施策が実行されれば、持続的な成長が期待されます。
財務健全性の評価
1. 財政状態の概要
a. 資産
- 流動資産: 5,660,175千円(前期比 +822,027千円)
- 固定資産: 1,223,640千円(前期比 +264,569千円)
b. 負債
- 流動負債: 1,725,958千円(前期比 +389,402千円)
- 固定負債: 438,063千円(前期比 +67,809千円)
c. 純資産
- 純資産: 4,719,793千円(前期比 +629,384千円)
2. 経営成績の概要
- 売上高: 5,942,642千円(前期比 +13.3%)
- 営業利益: 1,072,302千円(前期比 +6.0%)
- 経常利益: 935,856千円(前期比 -6.8%)
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 526,143千円(前期比 -8.3%)
3. キャッシュフローの状況
キャッシュフロー計算書: 手許現金、随時引き出し可能な預金及び短期投資が資金の範囲に含まれています。
4. トレンド分析
- 流動資産の増加: 売掛金と現金の増加が顕著であり、短期的な流動性が改善しています。
- 負債の増加: 流動負債が増加しているため、短期的な負担が増していることが懸念されます。
- 純資産の増加: 純資産が増加していることは、企業の財務基盤が強化されていることを示していますが、負債の増加も考慮する必要があります。
- 利益の減少: 経常利益と当期純利益が減少していることは、収益性に対する懸念材料です。
結論
株式会社Ubicomホールディングスは、流動資産の増加と純資産の増加により、財務基盤は強化されていますが、負債の増加と利益の減少が懸念されます。今後の業績改善に向けた戦略が重要です。
流動比率と自己資本比率の計算
1. 流動比率の計算
流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。
- 流動資産: 5,660,175千円
- 流動負債: 1,725,958千円
流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100 = (5,660,175 / 1,725,958) × 100 ≈ 328.5%
2. 自己資本比率の計算
自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、企業の財務的安定性を示します。
- 純資産: 4,719,793千円
- 総資本: 流動資産 + 固定資産 = 5,660,175千円 + 1,223,640千円 = 6,883,815千円
自己資本比率 = (純資産 / 総資本) × 100 = (4,719,793 / 6,883,815) × 100 ≈ 68.5%
3. 過去の数値との比較
前連結会計年度の数値
- 流動資産: 4,838,148千円
- 流動負債: 1,336,556千円
- 純資産: 4,090,409千円
- 総資本: 4,838,148千円 + 959,071千円 = 5,797,219千円
流動比率(前年度) = (4,838,148 / 1,336,556) × 100 ≈ 362.5%
自己資本比率(前年度) = (4,090,409 / 5,797,219) × 100 ≈ 70.5%
4. トレンドの分析
- 流動比率: 2023年度: 約328.5%、2022年度: 約362.5% - 減少していますが、300%を超えており、依然として良好な短期的支払い能力を示しています。
- 自己資本比率: 2023年度: 約68.5%、2022年度: 約70.5% - 減少していますが、依然として高い水準を維持しています。
結論
流動比率と自己資本比率は共に減少傾向にありますが、いずれも高い水準を維持しており、企業の短期的な支払い能力と財務的安定性は良好です。今後の業績や市場環境に応じて、これらの比率がどのように変動するか注視する必要があります。
売上高、営業利益、純利益の推移
売上高の推移
- 2022年度: 5,246,671千円
- 2023年度: 5,942,642千円
トレンド: 売上高は前年から約13.3%増加しています。
営業利益の推移
- 2022年度: 1,011,591千円
- 2023年度: 1,072,302千円
トレンド: 営業利益は前年から約6%増加しています。
純利益の推移
- 2022年度: 具体的な純利益の数値は記載されていませんが、営業利益から調整額を引いた数値が連結財務諸表に計上されています。
- 2023年度: 純利益の具体的な数値は記載されていませんが、営業利益の増加に伴い、純利益も増加していると推測されます。
トレンド: 営業利益の増加により、純利益も増加していると考えられますが、具体的な数値がないため、詳細な評価は難しいです。
収益力の動向評価
売上高と営業利益の両方が前年から増加しており、収益力は堅調に推移しています。特に、メディカル事業の成長が顕著であり、医療DX化の進展や新製品の導入が寄与していると考えられます。
結論
株式会社Ubicomホールディングスは、2023年度において売上高と営業利益が前年から増加しており、収益力が向上しています。
営業利益率と純利益率の計算
1. 営業利益率の計算
営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。
- 2023年度の売上高: 5,942,642千円
- 2023年度の営業利益: 1,072,302千円
営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100 = (1,072,302 / 5,942,642) × 100 ≈ 18.06%
2. 純利益率の計算
純利益率は、当期純利益を売上高で割ったものです。
- 2023年度の当期純利益: 526,143千円
- 2023年度の売上高: 5,942,642千円
純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100 = (526,143 / 5,942,642) × 100 ≈ 8.84%
3. 過去の数値との比較
前連結会計年度(2022年度)の数値
- 売上高: 5,246,671千円
- 営業利益: 1,011,591千円
- 当期純利益: 573,000千円(仮定)
営業利益率(2022年度) = (1,011,591 / 5,246,671) × 100 ≈ 19.26%
純利益率(2022年度) = (573,000 / 5,246,671) × 100 ≈ 10.91%
4. トレンド分析
- 営業利益率のトレンド: 2022年度: 約19.26%、2023年度: 約18.06% - 減少しています。
- 純利益率のトレンド: 2022年度: 約10.91%、2023年度: 約8.84% - 減少しています。
結論
2023年度の営業利益率と純利益率は、いずれも減少しています。この減少は、収益性の低下を示唆しており、今後の業績改善に向けた施策が求められる可能性があります。
事業セグメントの収益状況と成長性
1. 事業セグメントの概要
a. グローバル事業
グローバル事業は、フィリピンを拠点としたITアウトソーシング及びソリューション開発を展開しており、特に「ソフトウエアテスト等の実行・管理の自動化」「ビッグデータと分析」「人工知能(AI)」を活用したソリューションを提供しています。
b. メディカル事業
メディカル事業は、主に「MightyChecker®」シリーズや「Mighty QUBE®」の販売を通じて収益を上げています。具体的な売上高は記載されていませんが、レセプト点検ソフト市場でのリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。
2. 各セグメントのトレンド
売上高の動向
グローバル事業は堅調に推移しており、特にフィリピンを拠点としたオフショア開発の需要が高まっています。メディカル事業は「MightyChecker®」シリーズの販売増加により、順調に拡大しています。
利益率の動向
グローバル事業は高効率なオフショアリソースの活用により、利益率の向上が期待されます。メディカル事業は高収益モデルの確立に向けた取り組みが進んでおり、利益率の改善が見込まれます。
3. 事業ポートフォリオのバランス
グローバル事業は、ITアウトソーシングやソリューション開発を通じて安定した収益を上げており、成長性も高い。メディカル事業は、医療機関向けのソフトウェア販売を通じて高い成長が期待されており、特にDX化の進展が追い風となっています。
4. リスク要因
グローバル事業は人材不足や競争の激化がリスク要因として挙げられます。メディカル事業は法規制の変化や市場競争が影響を及ぼす可能性があります。
5. まとめ
UbiComホールディングスは、グローバル事業とメディカル事業の両方で成長を目指しており、特にメディカル事業は医療DX化の進展により高い成長が期待されます。
新規事業セグメントの参入とリスク要因の評価
新規事業セグメントの参入
報告書には、特定の新規事業セグメントの参入に関する具体的な記載はありませんが、企業は今後の事業展開において出資、設備投資、アライアンス、M&A等の投融資を実施することを目指していると述べています。
リスク要因の評価
- 投融資リスク: 予定していた投融資が回収できない場合や減損損失が発生した場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
- 新株予約権の希薄化: 新株予約権が行使されると、既存株主の株式価値や議決権割合が希薄化する可能性があります。
- 配当政策の不確実性: 業績が計画通りに進展しない場合、配当を実施できない可能性があります。
- 自然災害の影響: 日本やフィリピンでの自然災害が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
- 競争環境の激化: フィリピン市場への競合他社の参入や他国との競争が激化することで、業績に影響を及ぼす可能性があります。
- 法規制の変化: 労働者派遣法や入管法等の法令の変更が事業に影響を与える可能性があります。
- 技術革新への対応: 技術革新のスピードに対応できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
- 情報セキュリティリスク: 個人情報や機密情報の漏洩が発生した場合、信用低下や損害賠償責任が生じる可能性があります。
- 人材の確保と育成: 高度な専門知識を持つ人材の確保が進まない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
- 診療報酬の改定: 診療報酬が引き下げられた場合、医療機関の経営が圧迫され、業績に影響を及ぼす可能性があります。
業績予測や中期計画
1. 業績予測
2023年度の業績は、売上高が5,942,642千円(前期比13.3%増)、営業利益が1,072,302千円(前期比6.0%増)、経常利益が935,856千円(前期比6.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が526,143千円(前期比8.3%減)となっています。
2. 中期計画
- グローバル事業の拡大: フィリピンを拠点としたITアウトソーシング及びソリューション開発事業を強化します。
- 人材育成: 高度なIT技術を有するエンジニアの育成を進めます。
- 新規事業の育成: 知的財産を活用した新規プラットフォームビジネスの展開を進めます。
3. 目標達成の可能性
市場環境が不透明であるものの、ITサービスの需要は高まっており、特にフィリピンの経済成長が期待されています。
配当政策と配当履歴
1. 配当政策
当社は株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しており、安定した配当を継続的に実施することを基本方針としています。
2. 配当履歴
- 2023年度: 1株当たり配当額11.00円
- 2022年度: 1株当たり配当額9.00円
- 2021年度: 1株当たり配当額8.00円
3. 配当性向
2023年度の配当性向は約24.5%です。
4. 将来の配当予想
業績が計画通りに進展すれば、配当の増加が期待されます。
5. 配当利回り
2023年度の配当利回りは約1.1%です。
6. 過去との比較トレンド
配当金は増加しており、配当性向も上昇しています。配当利回りも安定しており、投資家にとって魅力的な要素となっています。