【ファンダメンタル分析】ミズノ【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

美津濃株式会社は2023年度において、売上高、営業利益、純利益のすべてで前年同期比の増加を達成しました。特に純利益の増加率が44.4%と大きく、企業の収益力が向上していることが顕著です。

2023年度の総括

美津濃株式会社は、2023年度において以下のような業績を達成しました。

  • 売上高: 229,711百万円(前年同期比8.3%増)
  • 営業利益: 172,799百万円(前年同期比33.5%増)
  • 純利益: 143,111百万円(前年同期比44.4%増)

これらの結果は、国内市場での販売が好調であったこと、特にフットボールやインドアスポーツ品の販売が伸びたことが寄与しています。また、営業利益率と純利益率も前年より改善し、営業利益率は約7.52%、純利益率は約6.23%となりました。

財務健全性の評価

  • 総資産: 206,151百万円(前年から約4.37%増)
  • 有利子負債: 126,664百万円
  • 純資産: 79,487百万円

ROAは8.8%(前年同期比1.5ポイント改善)であり、企業の収益性が向上していることを示しています。流動比率自己資本比率の具体的な数値は不明ですが、資産の増加と純資産の増加により、財務の安定性が増していると考えられます。

来年度以降の事業計画

美津濃株式会社は、2024年度の業績予測として以下の目標を設定しています。

  • 売上高: 2,500億円
  • 営業利益: 190億円(営業利益率7.6%)
  • ROA: 9.0%
  • ROE: 10.2%

中期計画(2026年度目標)では、売上高を2,900億円、営業利益を250億円に設定しています。これを達成するために、以下の戦略を採用します。

  • 外市場の強化: フットボールのシェア拡大や新規リージョン開拓。
  • 国内事業の再強化: デジタルトランスフォーメーションを通じた効率化。
  • EC強化: ユーザーへのダイレクトアプローチによる利益最大化。

今後の動向予測

美津濃株式会社は、国内外での販売が好調に推移していることから、売上高の増加が期待されます。しかし、円安や国際輸送運賃の高騰といったリスクも存在します。特に、欧州市場は利益率が低下しており、改善が求められる状況です。

また、原材料価格の高騰や経済状況の変動、環境規制の遵守など、外部環境の変化に対するリスク管理が重要です。これらのリスクを適切に管理し、持続可能な成長を目指すことが企業の成功の鍵となるでしょう。

結論

美津濃株式会社は、2023年度において顕著な業績向上を達成し、今後の成長に向けた明確な戦略を持っています。市場環境やリスク要因に対する適切な対応が求められる中、企業の成長が期待されます。

財務健全性の評価

1. 資産の状況

  • 総資産: 206,151百万円(2024年3月31日)
  • セグメント資産:
    • 日本: 125,539百万円
    • 欧州: 19,880百万円
    • 米州: 26,454百万円
    • アジア・オセアニア: 20,413百万円

過去との比較

  • 連結会計年度(2023年3月31日): 総資産は197,523百万円
  • 増加額: 8,628百万円(約4.37%の増加)

2. 負債の状況

  • 有利子負債: 126,664百万円(2024年3月31日)
  • 負債の構成: 短期負債と長期負債の詳細は記載されていませんが、一般的に有利子負債は運転資金や設備投資に関連するものです。

過去との比較

連結会計年度(2023年3月31日): 有利子負債の具体的な数値は記載されていませんが、負債の増加があった場合、資産の増加に伴うものと考えられます。

3. 純資産の状況

  • 純資産: 総資産から総負債を引いた額
  • 純資産 = 総資産 - 有利子負債 = 206,151百万円 - 126,664百万円 = 79,487百万円

過去との比較

連結会計年度(2023年3月31日): 純資産は197,523百万円 - 有利子負債(具体的な数値は不明)で計算されますが、純資産の増加があった場合、企業の財務健全性が向上していることを示します。

4. 財務健全性の評価

  • ROA(総資産事業利益率): 8.8%(前年同期比1.5ポイント改善)
  • ROE自己資本利益率: 具体的な数値は記載されていませんが、ROAの改善は企業の収益性向上を示唆しています。

5. トレンドの分析

  • 資産の増加: 総資産が前年から増加しており、企業の成長を示しています。
  • 負債の増加: 有利子負債が増加している場合、資金調達のための借入が増えている可能性がありますが、資産の増加がそれを上回っているため、全体的な財務健全性は維持されていると考えられます。
  • 純資産の増加: 純資産が増加している場合、企業の自己資本比率が向上し、財務の安定性が増すことを示しています。

結論

美津濃株式会社は、資産の増加とROAの改善により、全体的に財務健全性が向上していると評価されます。負債の増加があった場合でも、資産の増加がそれを上回っているため、企業の成長が持続していると考えられます。今後の市場環境や経済情勢に応じた戦略的な資金運用が重要です。

売上高、営業利益、純利益の推移とトレンドの分析

売上高の推移

  • 2022年度: 212,044百万円
  • 2023年度: 229,711百万円
  • 増加額: 17,667百万円
  • 増加率: 約8.3%

営業利益の推移

  • 2022年度: 172,797百万円
  • 2023年度: 17,279百万円
  • 増加額: 4,482百万円
  • 増加率: 約33.5%

純利益の推移

  • 2022年度: 143,111百万円
  • 2023年度: 192,888百万円
  • 増加額: 44,177百万円
  • 増加率: 約44.4%

トレンド分析

  1. 売上高: 売上高は前年同期比で8.3%の増加を示しており、特に国内市場での販売が好調であったことが影響しています。また、海外市場でもフットボールやインドアスポーツ品の販売が伸びたことが寄与しています。
  2. 営業利益: 営業利益は前年同期比で33.5%の増加を示しており、売上高の増加に伴い、利益率も改善しています。販売費及び一般管理費が前年と同水準を維持したことも、営業利益の増加に寄与しています。
  3. 純利益: 純利益は44.4%の大幅な増加を示しており、特別利益の計上や為替差益などが影響しています。特別利益は固定資産売却益によるもので、これが純利益の増加を後押ししました。

結論

美津濃株式会社は、2023年度において売上高、営業利益、純利益のすべてで前年同期比の増加を達成しており、特に純利益の増加率が高いことが特徴です。これにより、企業の収益力が向上していることが示されています。今後もこのトレンドが続くかどうかは、国内外の市場環境や競争状況に依存するでしょう。

営業利益率と純利益率の計算

1. 営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

  • 2023年度の営業利益: 172億7千9百万円
  • 2023年度の売上高: 2,297億1千1百万円

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100 = (172.79 / 2,297.11) × 100 ≈ 7.52%

2. 純利益率の計算

純利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を売上高で割ったものです。

  • 2023年度の当期純利益: 143億1千1百万円
  • 2023年度の売上高: 2,297億1千1百万円

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100 = (143.11 / 2,297.11) × 100 ≈ 6.23%

3. 過去の数値との比較

次に、前年(2022年度)の営業利益率と純利益率を計算し、トレンドを比較します。

2022年度の数値

  • 2022年度の営業利益: 129億3千5百万円
  • 2022年度の売上高: 2,126億5千万円
  • 2022年度の当期純利益: 99億1千万円

2022年度の営業利益率

営業利益率 = (129.35 / 2,126.5) × 100 ≈ 6.08%

2022年度の純利益率

純利益率 = (99.1 / 2,126.5) × 100 ≈ 4.66%

4. トレンドのまとめ

  • 営業利益率:
    • 2022年度: 約6.08%
    • 2023年度: 約7.52%
    • トレンド: 営業利益率は前年から改善し、収益性が向上しています。
  • 純利益率:
    • 2022年度: 約4.66%
    • 2023年度: 約6.23%
    • トレンド: 純利益率も前年から改善し、企業の最終的な収益性が向上しています。

結論

美津濃株式会社は、2023年度において営業利益率と純利益率の両方が前年よりも改善しており、収益性が向上していることが示されています。これは、売上高の増加とともに、コスト管理や効率的な運営が功を奏した結果と考えられます。

営業活動によるキャッシュフローの状況

1. 売上高の増加

売上高は前年同期比で8.3%増の2,297億1千1百万円となり、国内外での販売が好調に推移しています。特に、フットボールやインドアスポーツ等の競技スポーツ品の販売が伸長しています。

2. 売上総利益の増加

売上総利益は前年同期比で12.3%増の909億4千6百万円となり、売上高の成長に伴い利益も増加しています。

3. 営業利益の増加

営業利益は前年同期比で33.5%増の172億7千9百万円となり、売上総利益の増加により、営業活動からの利益が改善されています。

4. 経常利益の増加

経常利益は前年同期比で37.4%増の192億8千8百万円となり、営業利益に加え為替差益なども計上されています。

5. 親会社株主に帰属する当期純利益の増加

当期純利益は前年同期比で44.4%増の143億1千1百万円となり、特別利益の計上や特別損失の抑制が寄与しています。

結論

美津濃株式会社は、2023年度において営業活動からのキャッシュフローが健全であることが示されています。売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてが前年同期比で増加しており、企業の事業活動が現金を生成していることが確認できます。特に、営業利益の大幅な増加は、企業の収益性が向上していることを示しており、今後の成長が期待されます。

各報告セグメントの収益状況

1. 各セグメントの売上高と利益

2023年度(2023年4月1日~2024年3月31日)

  • 日本
    • 売上高: 141,413百万円
    • セグメント利益: 12,037百万円
    • 利益率: 8.5%
  • 欧州
    • 売上高: 25,566百万円
    • セグメント利益: 528百万円
    • 利益率: 2.1%
  • 米州
    • 売上高: 33,886百万円
    • セグメント利益: 2,338百万円
    • 利益率: 6.9%
  • アジア・オセアニア
    • 売上高: 28,845百万円
    • セグメント利益: 2,282百万円
    • 利益率: 7.9%
  • 合計
    • 売上高: 229,711百万円
    • セグメント利益: 17,187百万円
    • 利益率: 7.5%

2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)

  • 日本
    • 売上高: 131,507百万円
    • セグメント利益: 5,995百万円
    • 利益率: 4.6%
  • 欧州
    • 売上高: 25,139百万円
    • セグメント利益: 1,669百万円
    • 利益率: 6.6%
  • 米州
    • 売上高: 31,067百万円
    • セグメント利益: 2,826百万円
    • 利益率: 9.1%
  • アジア・オセアニア
    • 売上高: 24,329百万円
    • セグメント利益: 2,276百万円
    • 利益率: 9.3%
  • 合計
    • 売上高: 212,044百万円
    • セグメント利益: 12,767百万円
    • 利益率: 6.0%

2. トレンド分析

  • 日本: 売上高は前年から約7.5%増加し、利益率も改善(4.6%から8.5%へ)。成長が顕著であり、利益の増加が大きい。
  • 欧州: 売上高は前年とほぼ横ばい(25,139百万円から25,566百万円)。利益率は低下(6.6%から2.1%へ)し、リスクが高いセグメントと考えられる。
  • 米州: 売上高は約9%増加(31,067百万円から33,886百万円)。利益率は若干低下(9.1%から6.9%へ)しているが、依然として安定した収益を上げている。
  • アジア・オセアニア: 売上高は約18.5%増加(24,329百万円から28,845百万円)。利益率は若干低下(9.3%から7.9%へ)しているが、成長が見られる。

3. 事業ポートフォリオのバランス評価

  • 成長セグメント: 日本アジア・オセアニアが成長セグメントとして特に注目される。日本は売上高と利益率の両方で顕著な成長を示しており、アジア・オセアニアも高い成長率を記録している。
  • リスクの高いセグメント: 欧州は利益率が低く、成長が停滞しているため、リスクが高いと評価される。米州は安定した収益を上げているが、利益率の低下が懸念される。

結論

美津濃株式会社は、日本とアジア・オセアニアでの成長が顕著であり、特に日本市場での利益率の改善が重要な要素となっています。一方、欧州市場はリスクが高く、改善が求められる状況です。今後の戦略としては、成長市場へのリソース配分を強化し、リスク市場の改善策を検討することが重要です。

新規事業セグメントの参入とリスク要因の評価

新規事業セグメントの参入

報告書には新規に参入した事業セグメントに関する具体的な記載はありません。ただし、企業はスポーツ以外の分野への技術応用を進めていることが示されています。特に、ライフイノベーション分野や産業資材分野への展開に力を入れており、これにより健康・快適・安全の領域での貢献を目指しています。

リスク要因の評価

報告書には、企業が直面する潜在的なリスクがいくつか挙げられています。以下は主なリスク要因です。

  • 経済状況の変動: グローバルな経済状況に影響され、景気後退や需要の減少が売上高に影響を及ぼす可能性があります。
  • 原材料価格の高騰: 天然素材や石油製品などの原材料価格が変動し、コストが増大するリスクがあります。
  • 環境規制の遵守: 環境保全活動や法規制の遵守が求められ、これに失敗した場合の社会的信用の低下が懸念されます。
  • 情報セキュリティのリスク: 顧客情報の漏洩やシステムの停止が発生するリスクがあり、これに対処するコストが業績に影響を及ぼす可能性があります。
  • 固定資産の減損: 収益性の低下により、固定資産の減損が発生するリスクがあります。
  • 人材の確保と育成: 優秀な人材の採用と育成が進まない場合、競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 災害・事故等のリスク: 自然災害や事故による操業の中断や物流の遅延が業績に影響を与える可能性があります。

結論

美津濃株式会社は、スポーツ関連事業に加え、他の分野への技術応用を進めているものの、経済状況や原材料価格、環境規制、情報セキュリティなど多くのリスク要因に直面しています。これらのリスクを適切に管理し、持続可能な成長を目指すことが重要です。

業績予測と中期計画

1. 業績予測

2024年度の業績予測は以下の通りです:

  • 売上高: 2,500億円(海外売上比率39%)
  • 営業利益: 190億円(営業利益率7.6%)
  • ROA: 9.0%
  • ROE: 10.2%

2. 中期計画(2026年度目標)

2026年度に向けた中期計画の目標は以下の通りです:

  • 売上高: 2,900億円(海外売上比率41%)
  • 営業利益: 250億円(営業利益率8.6%)
  • ROA: 10.5%
  • ROE: 10.6%

3. 計画達成のための戦略

美津濃は以下の戦略を柱として、目標達成を目指しています:

  • 海外強化: フットボールのシェア拡大や新規リージョン開拓を通じて成長を加速。
  • 国内事業再強化: 国内事業の根幹を成すチームビジネスをデジタルトランスフォーメーション(DX)を絡めて効率化。
  • EC強化: ユーザーへのダイレクトアプローチにより、利益と顧客価値を最大化。

4. 目標達成の可能性

市場環境: 国内外での販売が好調に推移していることから、売上高の増加が期待されます。しかし、円安や国際輸送運賃の高騰といったリスクも存在します。

競争力: 高付加価値商品やサービスの企画・開発、原価低減活動を通じて、収益性の向上が見込まれます。

リスク管理: 原材料価格の高騰や経済状況の変動、法規制の遵守など、外部環境の変化に対するリスク管理が重要です。

結論

美津濃は、過去の業績向上を基にした中期計画を策定しており、戦略的な取り組みを通じて目標達成を目指しています。しかし、外部環境の変化やリスク要因も多いため、これらを適切に管理しながら進めることが成功の鍵となるでしょう。