【ファンダメンタル分析】ローツェ【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

ローツェ株式会社は2023年度において、売上高、営業利益、純利益のいずれも前年同期比で減少しており、収益力の低下が見られました。特に純利益の減少率が大きく、企業の利益体質に対する懸念が生じる可能性があります。

1. 2023年度の総括

ローツェ株式会社の2023年度の業績は、以下のように要約されます。

  • 売上高: 93,247百万円(前年同期比-1.4%)
  • 営業利益: 24,138百万円(前年同期比-1.9%)
  • 純利益: 19,576百万円(前年同期比-8.4%)

これらの数値から、企業は市場環境の変化や顧客の需要の変動に直面していることが示唆されます。特に、半導体・FPD関連装置事業においては、顧客の設備投資計画の先送りや市場の需要減少が影響していると考えられます。

2. 財務健全性の評価

  • 流動比率: 2024年2月29日現在で約6.57%と大幅に改善し、短期的な支払い能力が向上しています。
  • 自己資本比率: 2024年2月29日現在で約10.75%と若干の低下が見られ、長期的な支払い能力に関しては注意が必要です。

3. 来年度以降の事業計画

ローツェ株式会社は、以下の戦略を通じて来年度以降の業績改善を目指すと予測されます。

  1. コスト管理の強化: 営業利益の減少を受けて、コスト削減や効率化の取り組みを強化する必要があります。
  2. 新製品の開発: 特にライフサイエンス事業において成長が期待されるため、新製品の開発や市場拡大を図ることが重要です。
  3. 市場ニーズへの迅速な対応: 顧客の需要の変動に対して柔軟に対応できる体制を整えることが求められます。

4. 今後の動向予測

  • 市場環境の変化: 半導体市場は国際情勢や経済の不透明感に影響を受けやすく、需要の変動が続く可能性があります。
  • ライフサイエンス事業の成長: この分野は今後の成長が期待されるため、企業の成長エンジンとしての役割を果たす可能性があります。
  • リスク管理の重要性: 環境問題や競争環境の変化に対するリスク管理が今後の業績に大きな影響を与えるでしょう。

結論

ローツェ株式会社は2023年度において収益力の低下が見られましたが、流動比率の改善やライフサイエンス事業の成長が期待される中で、コスト管理や市場ニーズへの対応が今後の業績改善に向けた鍵となります。企業はリスク管理を強化し、持続可能な成長を目指す必要があります。

財務健全性の評価

1.1 監査人の意見

監査人は、ローツェ株式会社の財務報告に係る内部統制が有効であると認めており、財務報告に関する内部統制の評価結果が適正に表示されているとしています。これにより、企業の財務報告が信頼できるものであることが示唆されます。

1.2 継続企業の前提

経営者は、継続企業の前提に基づいて財務諸表を作成しており、監査人はその適切性を評価しています。重要な不確実性が認められた場合には、監査報告書において注記事項に注意を喚起することが求められますが、特に問題は指摘されていないようです。

2. 財務諸表のトレンド分析

2.1 連結貸借対照表

  • 資産の構成: 連結貸借対照表における資産の増加や減少は、企業の成長や収益性に影響を与えます。具体的な数値は記載されていませんが、過去のデータと比較することで、資産の増加率や構成比率を分析することが重要です。
  • 負債の構成: 負債の増加は、企業の財務リスクを高める可能性があります。長期借入金やリース債務の時価評価が行われており、これらの負債が適切に管理されているかどうかを確認する必要があります。

2.2 連結損益計算書

  • 売上高: 売上高の増加は、企業の成長を示す重要な指標です。顧客との契約から生じる収益の金額を分析し、前年同期比での成長率を確認することが重要です。
  • 利益率: 営業利益や純利益の推移を確認し、利益率が改善しているかどうかを評価します。特に、販売費及び一般管理費の動向も重要です。

2.3 キャッシュフロー計算書

3. 結論

ローツェ株式会社の財務健全性は、監査人の意見や内部統制の有効性から見て良好であると考えられます。過去の数値と比較することで、成長トレンドやリスク要因を明確にすることが重要です。具体的な数値が必要な場合は、連結貸借対照表損益計算書の詳細なデータを参照し、トレンドを分析することをお勧めします。

流動比率自己資本比率の計算

1. 流動比率の計算

流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示します。

流動比率 = 流動資産 / 流動負債 × 100

2024年2月29日現在の数値

流動比率の計算:

流動比率 = (1,747 / 26,577) × 100 ≈ 6.57%

2023年2月28日現在の数値

流動比率の計算:

流動比率 = (561 / 24,977) × 100 ≈ 2.25%

2. 自己資本比率の計算

自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率で、長期的な支払い能力を示します。

自己資本比率 = 自己資本 / 総資本 × 100

2024年2月29日現在の数値

自己資本比率の計算:

自己資本比率 = (3,200 / 29,777) × 100 ≈ 10.75%

2023年2月28日現在の数値

自己資本比率の計算:

自己資本比率 = (3,400 / 28,377) × 100 ≈ 12.00%

3. トレンド分析

  • 流動比率のトレンド:
    • 2023年: 約2.25%
    • 2024年: 約6.57%
    • トレンド: 流動比率は大幅に改善しており、短期的な支払い能力が向上しています。
  • 自己資本比率のトレンド:
    • 2023年: 約12.00%
    • 2024年: 約10.75%
    • トレンド: 自己資本比率は若干の低下を示しており、長期的な支払い能力に関しては注意が必要です。

結論

  • 短期的な支払い能力流動比率の改善により向上していますが、流動負債が依然として高いため、注意が必要です。
  • 長期的な支払い能力自己資本比率の低下が示すように、負債の増加に対して自己資本が相対的に減少しているため、今後の資本政策や負債管理が重要です。

売上高、営業利益、純利益の推移と収益力の動向

売上高

  • 2023年度: 93,247百万円
  • 前年同期(2022年度): 94,518百万円
  • 前年同期比: 約-1.4%の減少

営業利益

  • 2023年度: 24,138百万円
  • 前年同期(2022年度): 24,608百万円
  • 前年同期比: 約-1.9%の減少

純利益

  • 2023年度: 19,576百万円
  • 前年同期(2022年度): 21,384百万円
  • 前年同期比: 約-8.4%の減少

収益力の動向

売上高は前年同期比で減少しており、特に半導体・FPD関連装置事業においては、顧客の需要の変動や市場環境の影響を受けている可能性があります。営業利益も減少しており、売上高の減少に加え、コスト管理や効率化の取り組みが十分に機能していない可能性が考えられます。純利益の減少は、営業利益の減少に加え、税金や特別損失の影響も考慮する必要があります。

トレンドの比較

売上高、営業利益、純利益のいずれも前年同期比で減少しており、収益力が低下していることが示されています。特に純利益の減少率が大きく、企業の利益体質に対する懸念が生じる可能性があります。

結論

ローツェ株式会社は、2023年度において売上高、営業利益、純利益のいずれも前年同期比で減少しており、収益力の低下が見られます。市場環境や顧客の需要の変動に対する対応が求められる状況です。今後の戦略としては、コスト管理の強化や新製品の開発、顧客ニーズへの迅速な対応が重要となるでしょう。

営業利益率や純利益率の計算

1. 営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

連結会計年度(2024年2月29日)

  • 売上高: 93,247百万円
  • 営業利益: 24,138百万円

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100
= (24,138 / 93,247) × 100 ≈ 25.9%

連結会計年度(2023年2月28日)

  • 売上高: 94,518百万円
  • 営業利益: 24,608百万円

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100
= (24,608 / 94,518) × 100 ≈ 26.0%

2. 純利益率の計算

純利益率は、当期純利益を売上高で割ったものです。

連結会計年度(2024年2月29日)

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100
= (19,576 / 93,247) × 100 ≈ 21.0%

連結会計年度(2023年2月28日)

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100
= (21,384 / 94,518) × 100 ≈ 22.6%

3. トレンドの比較

  • 営業利益率のトレンド
    • 2024年度: 約25.9%
    • 2023年度: 約26.0%
    • 営業利益率はわずかに減少しています。
  • 純利益率のトレンド
    • 2024年度: 約21.0%
    • 2023年度: 約22.6%
    • 純利益率も減少しています。

まとめ

営業利益率は2023年度から2024年度にかけてわずかに減少し、約25.9%となりました。純利益率はより顕著に減少し、約21.0%となりました。これらの指標は、企業の収益性を示す重要な指標であり、利益率の低下はコストの増加や売上の減少を示唆する可能性があります。今後の業績改善に向けた施策が求められるでしょう。

営業活動によるキャッシュフローの確認

営業活動によるキャッシュフローは、企業の本業から得られる現金の流入と流出を示します。具体的には、売上高、営業利益、運転資本の変動などが影響します。

1. 売上高

売上高は前年と比較して減少していますが、依然として高い水準を維持しています。

2. 営業利益

営業利益も前年と比較して若干の減少が見られますが、依然としてプラスの利益を確保しています。

3. 営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローは、通常、以下のように計算されます。

営業利益減価償却運転資本の変動を加減して算出します。

具体的な数値は報告書に記載されているキャッシュフロー計算書から確認する必要がありますが、一般的に営業活動によるキャッシュフローがプラスであれば、企業は本業から現金を生成していると評価できます。

企業の事業活動が現金を生成しているかの評価

  • 営業活動によるキャッシュフローがプラスであれば、企業は本業から現金を生成していると評価できます。
  • 営業利益がプラスであり、売上高も高い水準を維持していることから、ローツェ株式会社は本業からの現金生成能力があると考えられます。

結論

ローツェ株式会社は、営業活動によるキャッシュフローがプラスであると仮定した場合、企業の事業活動が現金を生成していると評価できます。売上高や営業利益の減少は見られますが、依然として高い水準を維持しており、事業の健全性は保たれていると考えられます。具体的なキャッシュフローの数値を確認することで、より詳細な評価が可能です。

各事業セグメントの収益状況や成長性、リスクの分析

1. 事業セグメントの収益状況

半導体・FPD関連装置事業

  • 売上高: 92,027百万円(前期比1.4%減)
  • セグメント利益: 24,608百万円(前期比8.3%減)
  • 利益率: 約26.7%(セグメント利益 / 売上高)

このセグメントは、半導体関連装置やFPD関連装置を含み、全体の売上高の大部分を占めています。売上高は減少していますが、依然として高い利益率を維持しています。

ライフサイエンス事業

  • 売上高: 1,220百万円(前期比2.9%増)
  • セグメント利益: 126百万円(前期比41.1%増)
  • 利益率: 約10.3%(セグメント利益 / 売上高)

ライフサイエンス事業は、売上高が増加し、利益率も改善しています。成長が見込まれる分野であり、今後の拡大が期待されます。

2. 事業ポートフォリオのバランス

半導体・FPD関連装置事業は依然として主力事業であり、全体の売上高の大部分を占めていますが、成長が鈍化している兆候があります。ライフサイエンス事業は小規模ながら成長を示しており、今後の成長セグメントとして注目されます。

3. トレンドの比較

半導体・FPD関連装置事業は、前期比で売上高が減少しており、業界全体の需要の変動に影響を受けています。特に、スマートフォンやパソコンの需要減少が影響していると考えられます。ライフサイエンス事業は、売上高と利益が増加しており、成長が見込まれる分野として注目されます。

4. 成長セグメントとリスク

  • 成長セグメント: ライフサイエンス事業は、今後の成長が期待される分野であり、特に新製品の開発や市場の拡大が鍵となります。
  • リスク: 半導体・FPD関連装置事業は、国際情勢や経済の不透明感、顧客の設備投資計画の先送りなどの影響を受けやすく、今後の業績に不安要素があります。

結論

ローツェ株式会社は、半導体・FPD関連装置事業が主力であるものの、ライフサイエンス事業の成長が期待される状況です。市場の変動に対するリスクを考慮しつつ、ライフサイエンス事業の拡大を図ることが、今後の成長戦略として重要です。

新規参入事業セグメントやリスク要因

新規参入事業セグメント

ローツェ株式会社は、2023年度より新たに「分析装置」分野に参入しました。この分野では、新製品の開発と既存製品の改良を進めており、一部モジュールの生産をベトナム子会社で開始しています。また、営業およびサービス面では、直接顧客をサポートできる体制を構築中です。この新規参入は、企業の成長戦略の一環として位置づけられています。

リスク要因

有価証券報告書には、企業が直面する潜在的なリスク要因がいくつか記載されています。以下は主なリスク要因です。

  • 環境問題による影響: 環境問題に対する懸念が高まっており、顧客からの要求が増加しています。環境問題への取り組みが不十分な場合、顧客からの取引が減少し、社会的信用の低下が企業の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
  • 災害等の発生による影響: 想定を超える大規模な災害が発生した場合、事業拠点や取引先に甚大な被害が生じ、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
  • 経済情勢の変動: 国際情勢の不安定化や物価高、世界経済の減速懸念などが企業の業績に影響を与える可能性があります。特に、半導体市場においては、需要の変動が直接的な影響を及ぼすことが考えられます。
  • 競争環境の変化: 半導体業界は競争が激しく、新たな技術や製品の開発が求められています。競争に遅れを取ると、市場シェアの喪失や利益率の低下につながる可能性があります。
  • 内部統制の不備: 内部統制が不十分な場合、財務報告における虚偽表示や不正が発生するリスクがあります。これにより、企業の信頼性が損なわれる可能性があります。

これらのリスク要因は、企業の経営戦略や財務状況に大きな影響を与える可能性があるため、適切なリスク管理が求められます。

取締役および監査役の構成

  • 社外取締役:
    • 青砥なほみ氏: マイクロンメモリジャパン株式会社の技術開発部門の責任者としての経験を持ち、半導体製造装置業界の知識を提供。
  • 社外監査役:
    • 下出一益氏: コーポレート・ガバナンスに関する経験を有し、常勤監査役として職務を遂行。
    • 金浦東祐氏: 弁護士かつ公認会計士で、法律、税務、財務、会計に関する知見を持つ。
    • 加来典子氏: 他社での監査等委員経験があり、法令に関する知識を有する。

監査の状況

  • 監査役会の構成: 常勤監査役1名、非常勤監査役2名の計3名(全員社外監査役)。
  • 監査役会の活動: 原則月1回開催し、監査方針や業務分担を定め、業務監査、会計監査、内部統制システム監査を実施。
  • 内部監査: 内部監査室が各部門及び子会社の業務に関する監査を実施し、結果を社長に報告。

会計監査の状況

内部統制システム

  • 基本方針: 法令、定款、各種規程に従い、内部統制システムを整備。
  • リスク管理: 事業上のリスクを把握し、必要に応じて対策を講じる体制を整備。

企業統治体制

  • 取締役会の運営: 毎月1回開催し、重要事項を協議。
  • 経営会議: 毎週1回開催し、事業執行に関する重要事項を協議。

監査報酬の内容

  • 監査報酬: 提出会社に対する監査証明業務の報酬は29百万円、連結子会社に対する報酬は32百万円。