【ファンダメンタル分析】亀田製菓【有価証券報告書】

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はじめに総括

特記事項

亀田製菓株式会社は2023年度において、特に純利益が前年同期比で28.5%増加する見込みであり、これは顕著な成長を示しています。この急激な増加は、コスト管理や効率化の成果が反映されていると考えられます。

2023年度の総括

亀田製菓は、2023年度において売上高が100,000百万円(前期比4.7%増)を見込んでおり、営業利益は4,500百万円(前期比0.7%増)、純利益は2,900百万円(前期比28.5%増)と、全体的に安定した成長を示しています。特に、純利益の大幅な増加は、効率的な経営とコスト管理の成果と考えられます。

資産・負債・純資産のトレンド

  • 資産: 有形固定資産が前年同期比で増加しており、亀田、水原、白根の各工場における増産や生産性向上のための投資が影響しています。
  • 負債: 設備投資の増加に伴い、短期借入金が増加する可能性があります。
  • 純資産: 利益剰余金の増加が期待され、全体的に健全な財務状況を維持しています。

来年度以降の事業計画

亀田製菓は、以下のような戦略を持って来年度以降の事業計画を進めると予測されます。

  1. 新製品の開発: 健康志向やプラントベースフードの需要に応じた新製品の投入を進めることで、売上の増加を図ります。
  2. 外市場の拡大: 特にアジア市場での需要が高まっているため、海外事業の強化を図ります。2023年度の海外売上高は前年同期比で109.8%の成長が見込まれています。
  3. 生産性向上: 亀田、水原、白根の各工場での生産性向上を目指し、設備投資を継続します。
  4. コスト管理の強化: 営業利益の安定した成長を維持するため、コスト管理をさらに強化します。

今後の動向予測

  • 売上高の成長: 米菓市場の成長や新製品の投入により、売上高は引き続き増加する見込みです。特に、2023年度の売上高は100,000百万円を超えると予測されています。
  • 利益率の改善: 営業利益率は4.5%、純利益率は2.9%と予測されており、効率的な経営が利益率の改善に寄与するでしょう。
  • リスク管理の重要性: 気候変動や競争環境、規制リスクなどの外部要因に対する柔軟な対応が求められます。

結論

亀田製菓は、2023年度において安定した成長を示し、特に純利益の大幅な増加が顕著です。来年度以降も新製品の開発や海外市場の拡大を通じて成長を続けると予測されますが、外部リスクに対する管理が重要な課題となるでしょう。

資産、負債、純資産の構成とトレンド

1. 資産の構成

  • 有形固定資産: 52,071百万円
  • 無形固定資産: 5,255百万円
  • 流動資産: 具体的な数値は記載されていませんが、一般的には現金、売掛金、在庫などが含まれます。

2. 負債の構成

  • 流動負債: 短期借入金、買掛金、未払金などが含まれますが、具体的な数値は記載されていません。
  • 固定負債: 長期借入金や退職給付債務などが含まれますが、具体的な数値は記載されていません。

3. 純資産の構成

  • 資本金: 具体的な数値は記載されていませんが、一般的には資本剰余金や利益剰余金が含まれます。

4. トレンド分析

  • 資産のトレンド: 有形固定資産は前年同期比で増加していることが示されています。特に、亀田、水原、白根の各工場における増産や生産性向上のための投資が影響しています。

まとめ

亀田製菓株式会社は、資産の増加が見込まれ、特に有形固定資産の増加が顕著です。具体的な数値や過去のトレンドについては、詳細な財務諸表を参照する必要があります。

営業利益率や純利益率の計算と収益性の判断

1. 営業利益率の計算

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものです。

  • 2023年度の売上高: 100,000百万円(前期比4.7%増)
  • 2023年度の営業利益: 4,500百万円(前期比0.7%増)

営業利益率の計算:

営業利益率 = (営業利益 / 売上高) × 100

営業利益率 = (4,500 / 100,000) × 100 = 4.5%

2. 純利益率の計算

純利益率は、当期純利益を売上高で割ったものです。

純利益率の計算:

純利益率 = (当期純利益 / 売上高) × 100

純利益率 = (2,900 / 100,000) × 100 = 2.9%

3. 過去との比較

過去の数値が具体的に示されていないため、一般的なトレンドを考察します。

  • 営業利益率のトレンド: 営業利益が前年同期比で0.7%増加していることから、営業利益率は安定していると考えられますが、成長率は鈍化している可能性があります。
  • 純利益率のトレンド: 当期純利益が前年同期比で28.5%増加していることから、純利益率は改善していると考えられます。これは、コスト管理や効率的な運営が功を奏している可能性を示唆しています。

4. 収益性の判断

  • 営業利益率: 4.5%は、一般的に食品業界では妥当な水準ですが、競合他社と比較することでより具体的な評価が可能です。
  • 純利益率: 2.9%の改善は、企業の収益性向上を示しており、特に純利益の増加率が高いことから、株主にとってはポジティブな要因です。

結論

亀田製菓株式会社は、2023年度において営業利益率は安定している一方で、純利益率は改善しており、全体的に収益性が向上していると判断できます。今後の成長戦略や市場環境の変化に注目しつつ、競争力を維持・向上させるための施策が重要です。

営業活動によるキャッシュフローの評価

1. 営業活動によるキャッシュフローの概要

営業活動によるキャッシュフローは、企業の本業から得られる現金の流入と流出を示します。これは、企業が持続的に利益を上げ、事業を運営するための重要な指標です。

2. キャッシュフローの生成

亀田製菓は、米菓を主たる製品としており、売上高は米菓に関連する市場成長率に影響を受けます。報告書では、米菓市場の成長率や、過去の業績を基にした将来のキャッシュフローの見積もりが行われています。

3. 減損損失の影響

2023年度には、Mary's Gone Crackers, Inc.に関連して減損損失(2,368百万円)が計上されました。この減損損失は、営業活動によるキャッシュフローに対してネガティブな影響を与える可能性があります。将来の不確実な経済条件の変動により、追加の減損損失が発生するリスクも示されています。

4. 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性についても言及されており、将来の課税所得の見積もりが営業活動によるキャッシュフローに影響を与える要因となります。収益力に基づく一時差異等の解消見込年度における課税所得の見積もりが重要です。

5. 退職給付債務及び費用の算定

退職給付に関する数理計算上の仮定が営業活動によるキャッシュフローに影響を与える可能性があります。特に、割引率や将来の給与水準、退職率などの仮定が重要です。

6. 研究開発活動

亀田製菓は、研究開発に1,124百万円を投資しており、これが将来的な製品の競争力や市場での地位に寄与することが期待されます。研究開発の成果が営業活動によるキャッシュフローの向上に寄与する可能性があります。

事業セグメントの収益状況や成長性、リスクの分析

1. 事業セグメントの収益状況

国内米菓

  • 売上高: 66,307百万円(前年同期比97.9%)
  • 生産実績: 68,911屯(前年同期比97.2%)
  • 利益率: 営業利益の具体的な数値は記載されていませんが、全体的に減収傾向にあります。

国内米菓セグメントは前年同期比で減収しており、特に単体米菓の減収が影響しています。百貨店向け商品や土産物用商品は市場回復に伴い増収となったものの、全体としては前年を下回っています。

海外

  • 売上高: 15,096百万円(前年同期比109.8%)
  • 生産実績: 17,334百万円(前年同期比119.8%)

海外事業は好調で、特にアジア地域(ベトナムなど)での需要が増加しています。北米のMaryʼs Gone Crackers, Inc.は生産活動の立て直しを図り、収益改善に向けた取り組みを進めていますが、全体としては前年を上回る成長を見せています。

食品

  • 売上高: 7,278百万円(前年同期比103.0%)
  • 生産実績: 4,041百万円(前年同期比94.4%)

食品事業はプラントベースフードや長期保存食の需要が高まり、全体として前年を上回る売上を記録しています。特に新製品の投入が功を奏しているようです。

2. 利益率の動向

  • 営業利益: 4,467百万円(前年同期比25.3%増)
  • 経常利益: 6,798百万円(前年同期比30.4%増)
  • 当期純利益: 2,257百万円(前年同期比19.2%増)

全体として営業利益は増加しており、特に国内米菓事業の生産効率向上や販売促進活動が寄与しています。海外事業は一時的な構造改革費用が影響したものの、アジア地域の成長が損失を縮小させています。

3. 事業ポートフォリオのバランス

  • 国内米菓: 減収傾向でリスクが高い。市場回復が期待されるが、競争が激化している。
  • 海外: 成長が見込まれ、特にアジア市場での需要が強い。リスクはあるが、成長機会も多い。
  • 食品: 新製品の投入により成長が見込まれ、社会課題に対応した商品開発が進んでいる。

4. トレンドの比較

  • 国内米菓: 売上高が前年を下回り、減少傾向が続いている。
  • 海外: 売上高が前年を上回り、成長が続いている。
  • 食品: 売上高が前年を上回り、成長が続いている。

結論

亀田製菓は国内米菓事業において減収が続いている一方で、海外事業と食品事業は成長を見せています。特に海外市場の成長が今後の収益を支える可能性が高く、事業ポートフォリオのバランスを見直す必要があります。国内市場の競争が激化している中で、海外市場の拡大と新製品の投入が重要な戦略となるでしょう。

新規参入の狙いや事業計画、リスク要因の評価

1. 新規参入の狙いや事業計画、現状

亀田製菓は、主に米を原料とした製品を展開しており、特に米菓に強みを持っています。新規参入に関しては、具体的な新規事業セグメントの記載はありませんが、以下の点が挙げられます。

  • プラントベースフードの開発: 近年の健康志向や環境意識の高まりに応じて、植物由来の食品開発に注力しています。2023年10月には、植物性100%のサラダチキン『植物生まれのグリーンチキン』シリーズを発売しました。
  • 機能性素材の研究: お米由来の植物性乳酸菌や米タンパク質、米ペプチドの基礎研究を行い、健康志向の製品開発を進めています。
  • 社会課題への対応: 高齢化社会や自然災害の増加に伴うニーズに応じた災害食や低たんぱく質米飯の研究開発を行っています。

2. リスク要因の評価

亀田製菓が直面する潜在的なリスクは以下の通りです。

  • 気候変動リスク: 農産物を主原料とするため、気候変動による原材料の供給不安や価格変動が事業に影響を与える可能性があります。特に、米の収量や価格に対する影響が懸念されています。
  • 競争環境: 食品業界は競争が激しく、新規参入者や既存の競合他社との競争が利益率に影響を与える可能性があります。
  • 規制リスク: 食品業界は規制が厳しく、法令遵守が求められます。新たな規制の導入や変更が事業運営に影響を与える可能性があります。
  • サプライチェーンのリスク: 原材料の調達や製品の流通において、サプライチェーンの混乱が発生するリスクがあります。特に、国際的な物流の問題や自然災害による影響が考えられます。

まとめ

亀田製菓は、米を中心とした製品開発に注力し、健康志向や社会課題に対応した新規事業の展開を進めています。しかし、気候変動や競争環境、規制リスク、サプライチェーンのリスクなど、さまざまな潜在的なリスクに直面していることも事実です。これらのリスクを適切に管理し、持続可能な成長を目指すことが重要です。

中期経営計画におけるキャッシュフローの見積もり

1. 経営環境とキャッシュフローの見積もり

  • 外部要因と内部情報の整合性: 経営環境や内部の予算情報を基に、資産グループの使用状況や合理的な使用計画を考慮してキャッシュフローを見積もっています。
  • 市場成長率の仮定: 米菓に関連する市場成長率の見込みが、売上高に影響を与える重要な仮定として使用されています。

2. 減損損失の計上

2023年度において、2,368百万円の減損損失を計上しました。将来の経済条件の変動により、追加の減損損失が発生する可能性があります。

3. 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果があるかどうかで判断されます。収益力に基づく一時差異の解消見込年度や課税所得の見積もりが重要です。

4. 退職給付債務の算定

確定給付制度に基づく退職給付債務は、割引率や将来の給与水準、退職率などの数理計算上の仮定を用いて算定されています。

5. 返金負債及び変動対価の算定

返金負債や変動対価は、過去の実績に基づいて見積もられています。将来の経済条件の変動により、これらの金額に重要な影響を与える可能性があります。

6. 研究開発活動

ライスイノベーションカンパニーとして、お米を主原料とした事業を展開し、機能性素材やプラントベースフードの研究開発に取り組んでいます。2023年度の研究開発費は1,124百万円です。

7. 設備投資

国内米菓の増産や生産性向上のための投資が行われており、特に亀田、水原、白根の各工場での合理化投資が重要です。

8. 人材戦略

人的資本の育成やダイバーシティの推進を重要課題としており、従業員の健康経営や女性管理職比率の向上を目指しています。

9. 気候変動への対応

TCFDへの賛同により、気候変動に関するリスクと機会を特定し、シナリオ分析を行っています。CO2排出量の削減やプラスチック使用量の削減に向けた具体的な取り組みも進めています。

10. 監査とコーポレートガバナンス

監査法人トーマツによる監査が行われ、内部統制の有効性が確認されています。取締役会は社外取締役を多く含む構成で、経営の透明性を確保しています。